創作小説屋

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月の女王-34

2014年10月06日 22時57分29秒 | 月の女王(要約と抜粋と短編)


「これまで10日間、ずっと一緒にいたけど……みんなそれぞれ色々隠し事してたんだな」
 クリスがポツリという。
「………」
 白龍が目を伏せる。
「でも……」
 クリスは小さく続ける。
「オレ……白龍の気持ちは分かっていたつもりだよ」
「………」


 アーサーから、それぞれ一人で考える時間が必要なのでは?と提案され、それぞれに一人部屋を用意するといわれる。

 その準備中に、クリスが高村に連絡したい、と言い出した。
 アーサーから、話の内容は聞かせてもらうよ?と言われ、アーサーの目の前で電話する。

 今は織田家にいるが、心配いらない。指示があるまで待機してろ、というクリス。

 香も母に連絡する。母が無事であることに安心する。


 それぞれ一人部屋で休むことになる。
 窓には鉄格子がかけられており、ドアの外にはそれぞれ見張りが立つため、逃げ出すことは不可能。
 考える時間を…なんて言いながらも、ようは軟禁状態である。


 香(ミロクの姿)は、ベッドに腰かけ、足をプラプラしていた。
 とめどなく色々なことが頭の中を駆け巡っていく。

 ふいにクリスのセリフを思い出した。

「昔よくカトリシアの髪を結うのをやらされたんだよ」

 器用に編み込みの三つ編みにしてくれたクリス。

 カトリシア……一度だけ見たことがある、金髪の美少女。あの子がクリスの婚約者……。

「……………なんか」

 ヤな感じ。

 モヤモヤした気持ちを払おうと、窓辺に近づき、ふと何かの気配を感じて立ち止った。


 すると………

「小人………?」
 小さな小さな人。手の平に余裕で乗るくらいのサイズの少年。Tシャツに半ズボン姿。人間でいったら12,3歳くらいの外見。

「月の姫」
 愛想よく呼びかけられる。
「忍からの伝言だよ」


 逃げ出す算段はある。一緒に来てほしい。
 このままここにいては織田将の言うなりになるだけで、予言を成就させられない。
 月の姫と王子の体を元に戻すためにも、予言成就の可能性のある<秘密の場所>に行きたい。


 これからみんなにも伝えて回るんだよ、という小人に、「あなたは誰?」と問うと、小人の少年はニコリと笑った。
「僕はイーティルの王子、アル=イーティルだよ」



 昼食のためダイニングルームに集まった香たち。
 織田将、菅原司は外出していていないといわれ、ホッとする。
 作戦がばれないよう、なるべく普通に普通にを心がける。

 各ドア付近には監視役の黒服。
 一番強い能力者はアーサーになるようだった。


 昼食後、皿を下げたり食後のコーヒーを入れたりするために人の出入りが多くなったタイミングだった。
 爆発音が屋敷内のどこかから聞こえてきた。

 見張りの注意が一瞬それたすきに、一斉に、香たちが窓を突き破って外にでて走り出した。

 
 
 外に待機していた真田の車に乗り込もうとしたが、アーサー達に追いつかれる。
 真田の車がアーサーによって爆破され、絶対絶命……と思ったところに、

「クリス様!」

 高村の車が横付けされた。一斉にアーサー達への足止めのオーラを放つクリス・白龍・イズミ。

「早く乗って~~」

 高村の車から顔を出したのは、なぜかスタン=ウェーバー。
 スタンがオーラを乱射しながら時間を稼ぐ。アーサーが驚いて立ちすくむ。

 クリスがスタンに向かって怒鳴りつける。

「なんでお前が!」
「わけはあと!早く!」

 香・クリス・イズミ・白龍・忍・ミロクが高村の車に乗り込む。
 桔梗の運転するバイクの後ろに真田がまたがり、そのあとをついてくる。

 車とバイクは猛スピードで裏道を走り抜けていった。




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アル=イーティル、出てきた~♪♪

小人って憧れません?いたらいいな~って思いません?
小学生のころ、小さな国シリーズ好きだったんだ~~♪♪



次回は10月8日(水)です(たぶん)。よろしくお願いします。


コメント
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