創作小説屋

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月の女王-43

2014年10月27日 22時36分56秒 | 月の女王(要約と抜粋と短編)
あと3回で終わらせる!ために、サクサク要約。

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「オーラを無くすなど許さん。予言は成就させない」

 司がぎりぎりとマリア(香の姿)の腕をねじ上げている。

「やめろ!!」
『ちょっと!痛いってば!!何するのよ!!』

 マリアが思いきり足を振り上げ司のすねを蹴り上げた。

「………っ」
 司がひるんだすきに、マリアが倒れているアーサーの元に駆け寄る。

「なんで予言のことを知っている?」
 クリスが司を睨みつけると、リンクスがトランシーバーのようなものを床に置いた。そこからも、クリスの声が聞こえてきている。

「……盗聴器?」
「………まさかっ」

 スタンが慌てて自分の体のあちらこちらをまさぐると、パーカーの帽子の奥から小石ほどの大きさの機械が出てきた。

「………信じられない」
 呆然とスタンがつぶやく。
「オレを利用したの?リンク」

「先にオレを裏切ったのはお前の方だ。スタン」
 ふいと視線を外し、無表情に言うリンクス。


「オーラは王家の象徴。それがなくなるなどあってはならない」

 司のオーラが膨らんでいく。闇のような暗い暗い漆黒のオーラ。


 月光の間に似た部屋からガラスが割れる音が聞こえてきた。
 窓から侵入してきたのは菅原司専属先鋭隊の5人の男子学生。そしてポニーテールの美少女、本庄妙子。

 ミロクをとらえようとする先鋭隊と妙子。
 ミロクをかばう忍と真田。戦闘態勢をとる白龍とイズミ。

 香に手を伸ばす司とリンクス。

「やめろ!」

 香の前に飛び出すクリス。
 リンクスの腕にとびつくスタン。

 司の漆黒のオーラが広がっていく……

 と、その時。

『香、今よ!!』

 突然、マリア(香の姿)が叫んだ。
 
 一瞬の間のあと、香が立ち上がり、クリスの腕をつかむ。

「クリス、お願い!」
「!」

 胸に飛び込んできた香をとっさにクリスが抱きかかえる。
 途端に香の体がふにゃりとなる。魂が抜けたのだ。

「ミロク?!」
 ミロクも香と同じように忍の腕の中でぐったりとしている。

「月の女王が……っ」
 白龍とイズミの叫び。
 まぶしい光が近づいてきている。

「よ……予言は……」
 我に返ったように、司がオーラを充満させる。

「予言は成就させない!!」
「!!」

 香に向かって漆黒のオーラが放たれる。クリスがそちらに背中を向け、香を抱え込んだ。

「クリス!」
 白龍が叫ぶ。

 漆黒のオーラがクリスに直撃する……と思われたが。

「何?!」
 オーラが途中で向きをかえ、上に向かって吸い込まれていく。

「オーラが……」
 クリスからも鮮やかな青いオーラが立ち上っていく。見渡すと、白龍からもイズミからも、スタン、リンクス、アーサー、皆それぞれのオーラが立ち上り、空に佇んでいる月の女王へと吸い込まれていっている。
 色々な色が入り混じったまぶしい光彩。まさにこの世のものとは思えない美しさ。 



「見事なものだな」
 ひときわ大量の闇のオーラを空に吸い上げられながら、部屋に入ってきたのは……

「ち、父上……」
 司が呆然とつぶやく。

 そこにいるだけで空気が変わる威圧感の織田将。司、忍、ミロクの父親であり、現デュール王。

 息子にちらりと一瞥をくれると、織田将は入口を振り返った。

「さ、入ってくれ」

 促されて入室してきたのは、神経質そうなメガネの長身の白人男性。

「………マーティン」
 呆気にとられたクリス。そこにいたのは、マーティン=ホワイト。現テーミス王であった。


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オールスター全員集合、の回です。

ネタバレになりますが、織田将とマーティン=ホワイトはお友達なんです。
戦国ものとかで、敵国だけど子供同士は友達、な関係って憧れません?
今あらためて思いましたが、この物語、そんな私の大好きな設定を入れるだけ入れ込んであります^^;


本庄妙子と菅原司の関係もここで説明しておきます。

本庄妙子の母親はデュール臣下の家柄の娘でした。能力も何もありません。
父親はうっすらテーミスの血が入っている地球人。

父親と、長谷川広樹の姉との浮気をきっかけに両親は離婚。

まだ離婚する前、妙子は父親と広樹の姉と広樹と一緒に、遊園地や動物園に遊びにいったことが何度かあります。
父からは、会社の部下とその弟、と紹介されていて、妙子もそれを鵜呑みにしていました。
父からは口止めされていたけれど、うっかりそれを母に話してしまったことで、浮気が発覚。

母は妙子を連れ、家を飛び出しました。
路頭に迷っていたところを、偶然、司に声をかけられます。

母は司の愛人の一人となりましたが、一年も立たないうちに病死。
引き取るという父の申し出を妙子は断固拒否。
そこで司が後見人となり、今にいたります。


妙子の父は優しく優柔不断な男でした。
妙子は父のそんなところが大好きで、大嫌いでした。
妙子が強引で粗暴なところのある司に惹かれるのは、その反動かと思われます。

コメント
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