本編がシリアス展開なので、気分転換に明るい読切を一つ。
R18にはならない程度にイチャイチャさせよう第一弾。
渋谷慶 ……医学部4年生。身長164cm。天使のような美形。でも性格は男らしい。
桜井浩介……高校教師一年目。身長177cm。ごくごく普通。
二人は高校時代からの親友兼恋人同士。
浩介のアパートは慶の通う大学のすぐ近くにあるため、半同棲状態です。
浩介23歳の誕生日当日。
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今日はせっかく、慶がいつもの「研究室の何とかかんとか」って予定を全部断って、アパートで待ってくれているらしいのに……
今日に限って部活内でもめ事が勃発して、それを収拾するのに時間がかかってしまい、アパートのドアを開けたときには、もう9時を回っていた。
「ただいま……」
慶の靴もある。クーラーが効いた涼しい室内。部屋の電気もついている。でも返事がない。
「慶ー? 遅くなって……」
ごめん、と言いかけ、息を飲む。
慶がベットで丸くなって寝てる。その横顔が……。
「……天使だな」
毎日のように見ているのに毎日感動してしまう。透き通るような白皙。すっと通った鼻梁。少し癖のある柔らかい髪の毛が目元までかかっている。どこをとっても完璧な天使。完璧な美の結晶を模した人形のようだ。
クーラーの設定温度、結構低めなのに、何もかけずに寝ている。このままでは風邪を引いてしまう。
天使のような額に口づけたい衝動をどうにか抑え、足元にあるタオルケットを広げてそっとかけたところで、
「………あれ。寝てた」
バチッと慶の黒々とした瞳がこちらを見かえした。途端に人形でなくなる。生き生きと息が吹き込まれる。
「何時だ? 9時10分? 遅かったな。お帰り。お疲れ様」
「う、うん。ただいま」
この人、ホントに寝てるときと起きてる時のギャップが激しい。黙ってる時と喋ってる時のギャップも相当だけど。
「誕生日おめでとう。ケーキ買ってきた」
「あ、ありがと………」
慶はぴょんっとベッドからおりると、「あーこれサンキュー」と言いながらさっさとタオルケットをたたみ、
「プレゼント、結局まだ買ってねえんだよ」
まっすぐにこちらを見上げた。う……可愛い……。
「何が欲しい?」
「何って………」
一番欲しい物は……
「おれ、っていうのはナシだからな」
「………」
先手を打たれてグッと詰まる。慶はビシッと人差し指を立て、
「物だ物。物を言え」
「……だって欲しい物なんかないよ。おれは慶がいてくれればそれで」
「だから、そんなの誕生日じゃなくても、いつでもおれはお前のもんだろ」
「え?」
「あ」
途端に、ばーっと赤くなる慶。
「あ、いや、特に深い意味は……」
「慶………」
ホントにこの人は……時々びっくりするほど嬉しいことをポロッと言ってくれる。
やっぱり、おれの欲しいものは慶だけだ。
「ねえ、慶……。やっぱり慶をちょうだい」
「だーかーらー……」
呆れたように言いかけた慶の唇を指で押さえる。
「今日だけおれの人形になって?」
「は?」
眉間にシワを寄せた慶。ああ、どんな顔してても慶は可愛い。
「抵抗なし。文句なし。何も言わない人形ってこと」
「…………。何する気だよお前」
「決まってるじゃーん」
さっと慶の細い腰を抱き、白い耳朶をくわえる。
「お前……っ」
「とととっ」
蹴られそうになるのをかろうじて避ける。危ない危ない。
「欲しいなー慶が欲しいなー」
「………分かった」
ムッとした顔で慶はうなずくと、
「抵抗なし。文句なし。声も出さないってことな?」
「え」
「声も出さないってことな?」
「……………」
それは勝負ってことですか? 出たよ。勝負好き……。
「声は……」
「出さねーよ。絶対出さねーよ。絶対絶対出さねーよ」
「……………」
分かりました……。
「その勝負、受けて立ちます」
「おう。負けねー絶対負けねー」
「…………」
言いながら、バサッバサッと服を脱いでいく慶……。
なんでこの人、ホントになんでこんなにムードというものを知らないんだろう……。
でも、そんな慶が好き。大好き。
「慶ー」
「……………」
イーッとしてみせた慶の唇をそっと舐める。頭を引き寄せ、唇を重ねる。そのままベッドに押し倒し、足を引き上げ、その指を咥える。ビクッとして足を引っ込めようとした慶に、
「お人形さん? 動かないで」
「…………」
鼻にシワ寄せる慶。かわいすぎる。
そのままゆっくりと慶の足の先から髪の毛の先まで唇を這わせる。慶の体全部におれのしるしをつけよう。
誕生日のプレゼントは慶。慶はおれのもの。全部全部おれのもの。
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以上、R18にならないでイチャイチャさせよう企画でした。
このくらいならOKですよね??
この勝負がどうなったのかというと……。
はい。慶の勝ちです。声も出さずにイキました。
いや、書きあらわすなら「……くっ」ぐらいの声は漏れました。
でもそれで「今声出た!」とかいうと、慶が怒るだろうから、
大人な浩介が「慶の勝ち!」って言ってあげました。えらいです。
で、終わってから、夜ご飯食べてないことに気がついて、これから夜ご飯&ケーキを食べます。
浩介君、幸せな誕生日でした。
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本当にありがとうございました!!今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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