浩介先生27才のお誕生日(2001年9月10日)の前日のお話です。
(長編『嘘の嘘の、嘘』と時期がかぶっているため、嘘嘘のネタバレしてます)
桜井浩介:高校教師。身長177cm
渋谷慶:研修医。超美形。天使のような外見を裏切る男らしい性格。浩介の高校時代からの親友兼恋人。身長164cm。
7月上旬、教え子の男子生徒を庇って交通事故にあい、肋骨を骨折した浩介。
その教え子から「自分は彼よりも背が高いから抱いてもらえない……」と悩みを打ち明けられ、「身長差は関係ない。自分達は両方してる」とついつい嘘をついてしまいました。(本当は、浩介×慶で固定です)
真面目な浩介先生、嘘をついたことがどうにもこうにも気になってしまい……
で、「そうだ!嘘を本当にすればいいんだ!」と思いついちゃいました。
かーらーのー、以下、浩介視点。単なる下ネタ。
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誕生日前日の夜、仕事終わりの慶がオレのアパートに来てくれた。明日の月曜日、オレは仕事だけど、慶は夕方まで休みなので、泊まってくれるという。
「で? 誕生日プレゼント決めたか?」
「うん」
食事が終わり、慶が買ってきてくれた誕生日ケーキを食べながら、毎年恒例の会話をする。今回は付き合いはじめてからちょうど10回目の誕生日だ。
「慶が欲しい」
「…………。だからお前、それ毎年言うけど……」
「あ、ちがくて。本当に慶が欲しいの」
「………………は?」
綺麗な眉をひそめた慶。ああ、その額に口づけたい。けど、話が進まなくなるから我慢我慢……
「あのね、前に話したお友達に片思いしてた男の子がね、晴れて両想いになったんだって」
「おお!そりゃ良かったな!……って、それで……」
「それでー……」
最後の一口のケーキを口の中に放り込み、コーヒーを飲み干す。
「その子ね、相手の子より自分の方が背が高いから、抱いてもらえないって悩んでて……」
「…………」
「それでつい、身長差は関係ないよ、おれは両方してるよって言っちゃって……」
「…………え」
慶のフォークを持つ手が空中で止まってしまった。
え、もしかして怒った……?
「あの……慶」
「お前……自分の生徒に言って大丈夫なのか?」
「あ」
それか。そうか。そういえばそうだった。
「ごめん……慶のことも言っちゃった……」
「え」
は? という顔をした慶にブンブン手を振る。
「でもでも、信頼できる子だし、話したのはお互い様というか……」
「…………」
「………勝手にごめんなさい」
頭を下げると、慶は「いや、それは別にいいんだけど」と言ってフォークを皿の上に置いた。
「じゃ、欲しいって……」
「あ……、うん。嘘ついてるの嫌だなって思って。だったらホントにそういうことにすればいいんじゃないかなって……」
「………………」
慶は、ものすごく真面目な顔でおれを見返してきた。
「体調はどうなんだ?」
「え、あ、肋骨のこと?」
「痛みは?」
「大丈夫だよ。もう、二ヶ月だよ?」
主治医の先生からは、少し前から軽度な運動はしてもいいと言われている。なのに、過保護な慶は、いくら大丈夫だといっても、この二ヶ月の間、一度もやらせてくれなかった。(まあ、抜きあいっこはしたけど……)
夏の旅行も、大丈夫っていったのに、キャンセルするし、ホント過保護……。それだけ心配してくれてるってことだけど………
「だから、お願い」
「……………」
「今日は慶がしてくれませんか?」
言うと、慶は真面目な顔を崩さず、残りのケーキを食べきってから、コーヒーカップに手を伸ばした。
「…………慶?」
「…………あー……」
「?」
飲み終わってしまうのがもったいないかのように、慶はカップに口をつけては離し、を繰り返してから、ボソッと言った。
「おれ、自信ないんだよなー……」
「? 何が?」
「するのが」
え?
「慶……」
「前にしたとき、お前スゲー痛がったし……」
「それは……」
「それにおれ、途中で萎えちゃったし」
「…………」
それ、気にしてたんだ……
「でも慶、それ、8年も前の話だよ」
「あー……まあなあ……」
うーんと唸った慶。
「でも、絶対、お前みたいに上手くできねえぞ?」
「……っっ」
嬉しい発言に、鼻血が出そうになる。
小首を傾げた慶を今すぐ押し倒したい。けど、今日は我慢我慢……
「………そんなこと言って、おれ達、慶が主導権握ってること多いじゃん。騎乗位の時なんか完全に慶でおれ何もさせてもらえないし」
「あー……」
「あの感じですればいいんじゃないかと思うんですけど、いかがでしょうか?」
「あー……」
慶は、あー、とか、うー、とか言った挙げ句、観念したようにうなずいた。
「………誕生日だしな」
「うん!」
誕生日プレゼントは慶で、お願いしますっ!
***
とは言ったものの……
おれの方がものすごく不安だ。
一応、この数日間、いつも使っているジェルを自分の指にまとわせて、自分でしてみたら、二本までは何とかなるようになった。けど、それ以上は怖くてできなくて……
「まあ……するの自体、久しぶりだからな。すぐ臨戦態勢だな」
「臨戦態勢……」
確かに……
少ししごいただけで、慶のものはすぐに力強く芯を持った。そこにジェルを塗りつけてあげる。……指二本の倍以上あるよな……ホントに入るのかな……
「正常位は体に負担かかるだろ。やっぱバックにするか」
「う………うん」
覚悟を決めて枕を抱え込んでうつ伏せになる。と、
(うわわわわっっ)
慶の細い指が、するりと中に進入してきた。探るように、中をえぐってくる。こ、これは……っ
「け……慶っ!?」
「あ、悪い。つい……」
「って!?」
「直腸診っていって、大腸ガンとか大腸ポリープとかを……」
「けーいー!!」
なんでここで医者モード入ってんのーー!!
「真面目にやってよ!」
「あー、悪い悪い」
あはは、と笑いながら、今度はたぶん指の数を増やして様子をみてる感じ……。そんな時間かけられても耐えられない。緊張度が上がるだけだ。
「慶……」
さっさとやって、というのを遠回しにいうには何と言えばいいだろうか。
「あの……」
「まあ、やってみるか」
「…………」
慶はあっさりというと、熱いものを入り口にあてがった。
「はじめが入ればあとは何とかなるだろ」
「う……うん」
こういうとこ、ホント慶は男らしい………………、と!
「…………!!!!」
うっと声が出そうになるのを何とかこらえる。8年前のあの異物感がよみがえってくる。
「……ちょ、浩介、力抜け」
「………う」
そ、そんなこと言われても……っ
「息止めんな。吐け」
「…………」
ふーふー、と息を吐き出しお腹から力を抜く。
慶がぐりぐりと中に進入してきて……ぐっと奥まで入りきった感じがした。
なんとか出来た………!?
「…………きっつ」
「…………」
苦笑気味にいった慶。
そして、しっかりと腰をおさえられ、ゆっくりと律動がはじまる。
「………っっ」
声を上げないのがやっとだ。ものすごい異物感。こんなんで「一つになれた」なんて喜びを感じることなんてできるわけがない。
(早く終わって……っ)
申し訳ないけど、そんなことを思ってしまう。
(この感じ、なんかに似てる……)
なんだろう……、と思って、はっ!と気がついた。
(あれだ、あれ。胃カメラだ)
数ヵ月前、実家でのストレスからか、胃痛がひどくて病院に行ったら、念のため胃カメラを飲まされたのだ。喉の部分のみ麻酔をしただけなので、カメラが自分の中に入っていく感じがありありと分かり……
(そっくりだ。早く抜いてくれ、終わってくれって感じが……)
もしかしたら、正常位でして、慶の感じている顔を見ながらだったら、また違うのかもしれないけれど、バックだから何も分からない。
異物感は確かに続いているので、8年前と違って萎えていないことは喜ぶべきなんだろう。でも、でも……
(早く終わって……)
ほとんど泣きそうな気持ちでそう思っていたところ……
「浩…っ、ちょ、もう、我慢できねえ」
「…………っ」
わずかな息づかいしかしていなかった慶が、突然、腰を押し付けるようにして言ってきた。
「…………うん。イって?」
それは願ったり叶ったりだ!と思って言うと、慶は小さく「違うっ」と否定した。
(違うって、まだイかないの!?)
うわ、もう無理だよ……っと、絶望的な気持ちになったところで、
「え?」
急に体が楽になった。慶が引き抜いたのだ。でも、まだまだ戦闘態勢なのに……
「慶? どうし……」
「だから、我慢できねって」
「え?」
次の瞬間、乱暴気味に枕を取られ、仰向けに寝かせられた。そしてその綺麗な顔が近づいてきて、おもむろに唇を重ねられる。
「!?」
激しく吸い込まれ、息が苦しくなる。同時に下も温かい手で握られ、しごかれ、あっという間に固くなってしまった。
「け、慶……?」
「考えてみたら、二ヶ月以上ご無沙汰だった」
「え」
「お前が欲しくてケツの穴がウズウズして我慢できねえ」
「…………っ」
わ、そんな、直接的な表現、珍し……っっ
「……っ」
雑にジェルを塗られ、慶の入り口にあてがわれる。
「慶……っ」
「お前の、くれ」
「あ……、んんんんんっ」
ズズズと入っていく感触。捕らえて離さない熱さ。慶の中が蠢いていて………
「慶……慶っ」
「病人は動くな。じっとしてろ」
「もう病人じゃ……、んんんっ」
あとはもう、何も考えられなかった。
慶の中は熱くてきつくて、慶の白い喉が、息づかいが色っぽくて、快楽の頂点に確実に連れていってくれて……
「慶、イっちゃう……っ」
「待て……っあとちょっと……っ」
「ん……あっ」
抜ける寸前まて腰をあげてから、グッと深く押し入れられる、というのを何度もされ、もう限界が……っ
「慶……っ」
握っていた手に更に力を入れて、その愛おしい瞳を見上げると、
「浩介」
「………っ」
ふっと優しく名前を呼ばれ、心臓が鷲掴みされたようになる。
「慶……」
ああ、おれは愛されてる。
そして、何よりもこの人を愛してる。
「慶……っ」
「ん」
身を起こし、抱きしめる。抱きしめられる。キスをする。全てが繋がる。一つになる……。
「大好き慶」
「……ん」
このままずっと、一つでいたい。ずっとずっと、一つでいたい……。
***
「あ、しまった。今日はおれがするんだった」
終わってから、狭いお風呂に無理やり一緒に入っている最中に、慶が今更なことを言い出した。
「もう一回するか?」
「…………う」
もう勘弁願いたい………
そう思っていたら、慶がケケケと笑った。
「もう二度とごめんだって顔してる」
「え?! そ、そんなことは……っ」
「じゃあ、するか?」
「…………」
黙ってしまったら、慶はくくくと笑って、オレの頬にチュッとキスしてくれた。
「誕生日おめでとう」
「え」
「12時過ぎた」
「あ、ホントだ」
デジタル時計が0時を過ぎたことを示している。
「プレゼントは……」
「もう充分です……」
「そうか」
慶は引き続き、くくくと笑い続けている。
愛する方法なんてどっちでもいい。こうして、一緒にいて、笑ってくれていれば、もう充分だよ。
「慶。来年も再来年も、ずっとずっと一緒にいてね?」
「当たり前だ」
にっと笑って、今度は唇にキスをくれた慶。
あなたがいてくれれば他には何もいらない。
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お読みくださりありがとうございました!
ちなみに、この誕生日の一年後が「その瞳に1」になります。
ということは、「来年」は一緒にいますが「再来年」は別々ですな……
あ、さらにちなみに。8年前に慶が萎えちゃったという話は、2015年5月に書いた「受攻試行・慶視点」「受攻試行・浩介視点」になります。初めての挿入!編です。浩介が大学1年なのでまだ身長が176センチです。
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