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創作小説屋

創作小説置き場。BL・R18あるのでご注意を。

作品紹介

2015年06月23日 11時16分12秒 | ご挨拶・作品紹介

サイト内小説の紹介(2018年現在)


「風のゆくえには」シリーズ → 目次ご参照ください。

渋谷慶→誰もが振り返る美形。性格:まっすぐ男らしい。
桜井浩介→ごく平凡な容姿。性格:表面的には明るく優しい性格。内面はフクザツ。

BL小説(今って大人だとMLっていうの?)です。


*風のゆくえには~遭逢(完結) →目次こちら
高校1年生。二人が出会って、親友になるまでのお話。

*風のゆくえには~片恋(完結) →目次こちら
高校2年生春。浩介が女子バスケの先輩に恋してしまい…

*風のゆくえには~月光(完結) →目次こちら
高校2年生夏。写真部の合宿中、一冊のノートが浩介の目の前に突然現れ……

*風のゆくえには~巡合(完結) →目次こちら
高校2年生秋~冬。文化祭の準備に向け忙しい毎日を過ごす二人……

*風のゆくえには~将来(完結) →目次こちら 
高校2年生冬~春。ラブラブな毎日を送る二人。でもそのことが親にバレてしまい……。将来について考える物語。


*風のゆくえには~旅立ち(完結) →目次こちら 
高校3年生。まさかの!浩介浮気疑惑?!なんて話もありつつ……将来を決める大事な一年間のお話。


*自由への道(完結) →目次こちら
慶:大学1年生 浩介:大学2年生
浩介が親元を離れるまでの話。
慶の揺るぎない愛を感じられたり、他人からみた2人の姿が描かれてたりします。
浩介の生涯の友となるあかねさん初出のシリーズ。


*嘘の嘘の、嘘(完結)→目次こちら
慶:研修医 浩介:高校教師
浩介の教え子、泉・諒・侑奈の幼なじみ三角関係物語と、浩介の苦悩再開の物語。


*その瞳に*R18(完結) →目次こちら
慶:小児科医 浩介:高校教師
母の異常な束縛、慶に近づいてきた真木という男の存在。浩介の心が歪んでいく……


*閉じた翼(完結)→目次こちら
慶:小児科医 浩介:高校教師
愛するからこそ一緒にはいられない……。浩介が日本を離れる決意をする苦悩の数か月

*翼を広げて(完結)→目次こちら
慶:小児科医 浩介:国際ボランティア団体所属
離れ離れの、それぞれの3年間。


*あいじょうのかたち(完結) →目次こちら
慶:小児科医 浩介:フリースクールの教師
二人とも40歳過ぎました。長らく日本から離れていた二人が、帰国してからの話。浩介と両親との確執が主題。

 


*2つの円の位置関係(完結) →目次こちら
スピンオフ。慶の中学校の同級生、村上享吾と村上哲成の物語。中学生編。

*続・2つの円の位置関係(完結) →目次こちら
スピンオフ。村上享吾と村上哲成の物語の続編。高校・大学編。

*続々・2つの円の位置関係(完結) →目次こちら
スピンオフ。村上享吾と村上哲成の物語の続編の続編。大人編。


*グレーテ(完結) →目次こちら
スピンオフ。「その瞳に」「閉じた翼」時代の話。
慶にちょっかいだしてた真木さんが主役。


*光彩(完結) →目次こちら
スピンオフ的なGL小説。
浩介の生涯の友あかねさんと、その恋人綾さんとの20年愛。
浩介達の話と微妙に重なっていたりいなかったり。


*たずさえて(完結) →目次こちら
スピンオフ的な男女カップル物語。
二人の友人山崎と戸田先生の大人?の恋愛物語。
慶&浩介と、高校時代の友人達との再交流開始の物語でもある。

*現実的な話をします(完結) →目次こちら
スピンオフ的な男女カップル物語。
二人の友人溝部君の現実的な恋のお話。+浩介&慶のその後の話のおまけ付



*短編読切カテゴリー
R18的描写のない短編。一回読み切り。
気が向いた時に気が向いた時代の話を書いてます。


*R18カテゴリー
基本一回読み切り。気が向いた時に気が向いた時代の話を書きます。
基本的にただエッチしてるだけの話です。


*旧作
学生時代(今から20年以上前……)にノートに書いたものを、パソコンに打ち直したもの。



---------------


以下は、BLではないお話。すべて完結済。


*月の女王(長編)

高校時代にノートに書いていた話をパソコンに打ち直したもの+書き足したもの。
平凡な高校三年生・斉藤香の元に、月の戦士と名乗る4人の美形男女がやってきて……というファンタジー。



*産み分けSEX
*永遠の約束の果て
*窓越しの恋
*月の王子

すべて短編。「女による女のためのR18文学賞」が創設されてまもない頃に応募しました。
当時はまだ「性をテーマにした小説」というのが条件でした。
一次抜けはしたけれど、次の最終には残れなかったものが2つ。
一次にも引っかからなかったものが2つ。
さてどれがどれでしょう♪



*ある平凡な主婦の、少しの追憶(長編)

子育てに追い詰められた主婦が偶然昔の彼氏と再会して……みたいな話。
子供関係の話がリアルすぎて個人的に泣けます。


*べべアンの扉(中編)

いじめにあっていた中学生の女の子が大学生になって当時同級生だった男の子に会いに行く。
でも、彼は「ベベアンの扉」に行ってしまった、と……。ファンタジーです。


*パーソナル(中編)

目覚めると別人になっていた主人公。本当の自分を探し出せるのか?というお話。


*イノセントチャイルド(短編)

心に傷を持った主人公が、近所の子供たちのおかげで立ち直っていくお話。


*心中ごっこ(短編)

自殺しようとした中学生。キレイなお姉さんに心中を持ちかけられる。
昔、雑誌コバルトの短編に応募して、もう一歩で賞(だっけ?そんなの)には名前が載った。
でもそれだけ。なんで応募しようと思ったのかも思い出せない^^;




以上になります。

昔は色々お話思いついてたのですが、今は全然考えてません。

ただ、「風のゆくえには」シリーズに関してだけは、お話を考えるというよりも、
この人たち今何やってるかな……とか、このころ何してたのかな……とか、思ってると、
勝手に頭に再生されるので、それを書き写している感じです。

なので、「風のゆくえには」に関してだけは書き続けようと思ってます。



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風のゆくえには~ あいじょうのかたち9(慶視点)

2015年06月22日 07時57分15秒 | BL小説・風のゆくえには~ 愛情のかたち

 おれが公園に着いた時、浩介は水飲み場の横で苦しげに胸を押さえてしゃがみこんでいた。母親が何か言いながらその背に触れようとするのを、勢いよく振り払っている。

「浩介っ」
「………慶」

 急ぎかけより声をかけると、浩介は泣きそうな顔でおれの腕にすがりついてきた。

「慶、慶……っ」
「大丈夫…大丈夫だから……」
 ゆっくり息をさせる。
 近くのベンチに座らせ、その肩を抱き寄せる。

 その様子を浩介の母親は呆気にとられたような顔をして見ていたが、途中から小刻みに震えだした。

「どういうこと? どういうことことなのよ……っ」

 その時、おれは激しく後悔した。やはり日本に帰ってきた時点で、挨拶にいくべきだったんだ。

 おれの母の手術が終わって落ち着いてから……と言っていたのだけれど、落ち着いた頃に、今度は浩介が7針縫う怪我をしてしまい……。

 いや、これは言い訳だ。結局のところ、先送りにしたツケが回ってきたのだ。こんな風に何の心の準備もないまま、母親に再会させたくなかった。

 いや、それ以前に、やはり、日本に帰ってくるべきではなかったのではないだろうか……。



 本来ならば、浩介の母親が現れた当日中に、今後どうするか話をするべきだったのだけれど、おれの実家からの帰り道、浩介は妙に機嫌が良くて……。せっかくこんなに機嫌がいいのに、母親の話をして落ち込ませるのも可哀想な気がしてしまって、結局話をしなかった。要はまた先送りだ……。

 でももう先送りにするわけにはいかない。
 今日帰ったら必ず話をしよう。月曜日だから患者数は多いけれど、インフルエンザが落ち着いてきたので、今までほどは遅くならないはず。

 と、いう予想通り、19時前には診察が終わり、速攻で残務を片付け帰ろうとした19時半。

「渋谷先生、ちょっといいですか?」
 申し訳なさそうに声をかけてきたのは看護師の谷口さん。

 嫌な予感がする……。

「目黒樹理亜さんがまた手首を切って入院したそうです」
「…………」
「渋谷先生と話がしたいと言っているらしくて……お願いできませんか?」
「…………はあ」

 思わず大きくため息をついてしまった。よりもよってこのタイミングで嫌な予感的中だ。
 谷口さんが慌てたように手を振る。

「あ、ダメでしたら断りますので大丈夫ですよ?」
「いえ……行きます……」

 目黒樹理亜に関しては、浩介に怪我をさせたという点で怒りしかない。でも、浩介が彼女を気にかけているので、無視するわけにはいかない。


 谷口さんと一緒に樹理亜の病室を訪れると、看護師の西田さんが樹理亜の点滴のチェックをしているところだった。
 あいかわらずのピンクの頭の樹理亜は、ベッドのリクライニングをあげた状態で、点滴をしていない方の手を泳がせている。目の前に見えない壁があるパンマイムのような仕草……。

「あー渋谷せんせー来てくれたー。言ってみるもんだねー」

 おれに気がついた樹理亜が手を振ってきた。

「わーホントに鮮やかだー。やっぱり渋谷先生すごーい」
「……何の話?」

 西田さんに会釈してから、ベッドの横の椅子に腰かけると、いきなり樹理亜に手をつかまれた。

「ほらーつかめるしー」
「目黒さん」

 西田さんが、こら、といって手を離させてくれた。樹理亜がムッとする。

「なによーいいじゃないのよー」
「谷口さん、私、他回って戻ってくるからそれまでよろしくね。じゃ、すみません。渋谷先生」

 西田さんがバタバタと出て行くと、部屋の中がシンとなった。谷口さんは部屋の隅の方に静かに腰をかけている。
 あらためて、樹理亜に向き直る。

「……鮮やかって、なんの話?」
 何から話そうか、と迷いつつ、とりあえず先ほどのセリフの意味を聞くと、樹理亜は驚くようなことを言いだした。

「浩介先生が言ってたんだよー。渋谷先生は鮮やかだって。ホントに鮮やかだねー。そういえばこないだも天使みたいに白くてキラキラしてたもんねー」
「……え?」

 意味が分からない。眉を寄せて見返すと、樹理亜はニコニコと言った。

「あたしねー目の前にスクリーンが張られちゃうことがあってねー色が薄くなってねー」
「……………」

 そういう症状、何ていうんだったか……つい最近も何かの資料で読んだな……

「それでねー浩介先生も同じでー、でも、渋谷先生と一緒にいるとならなくてー」
「え?」

 浩介が同じ? どういうことだ?

「ちょっと待って。話がよくわからない」
「だからー……」

 要領を得ない樹理亜の話を辛抱強く聞いて、分からない点を何度か質問して、ようやく理解した。

 浩介は中学時代、今の樹理亜と同じような症状がでていたらしい。そして、その色褪せた世界の中で、おれがバスケをしている姿だけが鮮やかに見えた、と……。

 高校一年の5月。初めて浩介と話した時のことを思い出す。

 あの日あいつはおれと顔を合わせるなり、おれを指さして「あーーーー!!渋谷慶!」と叫んだのだ。
 そして、中学のバスケの大会の試合でたまたまおれを見て、ファンになったんだ、と言っていた。小さな体でスルスルと間を抜けてツッコんでいくおれの姿がかっこよかった、とかなんとか……。

 世界が色褪せていただの、ブラウン管の中にいただの、そんな話は今まで聞いたことがない。

 聞いたことはないけれど……さもありなん、という気はする。
 あいつは親との確執の話もしたがらない。小中学校時代のこともほとんど話さない。でも、胸の内に苦しい思いをたくさん抱えていることはわかっている。

 話をすることで楽になるというならいくらでも聞く。でもあいつはそうではない。そういうことを、おれに知られたくない、と思っている。だからおれは聞かない。

『慶の瞳にうつる自分だけは好き。慶と一緒にいる時の自分が一番好き』

 いつだったか、そんなことを言っていた。
 おれはいつでもいつまでも、浩介にとって最高の鏡でありたい。一番居心地のいい居場所でありたい。


「浩介先生みたいに、あたしも渋谷先生と一緒にいたら、治るのかなーと思ったりしてー」
「…………」

 それはおそらく、根本的なストレスを排除しない限り治らないのではないだろうか。
 浩介は15年以上症状が出ていないと言っていたそうだ。15年前といったら、25歳。就職してから数年……。親元を離れて独り立ちできたと思えたころ、といえる。

 樹理亜を追い込んでいる正体も、おそらく親なのだと思う。

 先日、浩介のズボンのポケットから派手なピンクの名刺が出てきた。浩介がキャバクラの名刺を持っているなんてありえない。似合わなすぎて驚いていたところ、浩介は名刺の端を汚い物でもつまむように持って封筒にしまうと、樹理亜の母が訪ねてきたことを話してくれた。

 樹理亜の母親はピンクが好きで持ち物も全部ピンクにしているらしい。だから、娘の樹理亜も小さな頃からずっとピンク頭だったそうだ。学校でからかわれたりしなかったのだろうか。それに中学に上がったら校則違反になっただろう。

「ホントに……とんでもないよ」

 浩介が吐き捨てるように言っていた。
 浩介自身も、小さな頃からずっと母親の価値観を押しつけられていたようなので、自分と彼女の境遇を重ねているところがあるのかもしれない。


「もしかして……そのスクリーンをなくすためにリストカットしてるの?」
「うーん……そうだったり、そうじゃなかったりー。うーんでもそうのことが多いかなー。今日はそうー」

 樹理亜は自分の左手首の包帯をじっと見つめてから、ふうっと息を吐いた。

「ホントは後から痛くなってくるしー病院くるの面倒くさいしー切るのやめたいんだけどねーなんかもう癖、みたいなー」
「癖って……」
「あー浩介先生はいいなー切ったりする前に渋谷先生に会えたってことだもんねー」
「………」

 それは……

「浩介先生言ってたよー。渋谷先生は強い力でぐいぐい引っ張っていってくれるんだってー」
「…………」

『慶は、おれを自由への道に連れ出してくれた』

 そう言ったのは、浩介が実家を出て一人暮らしをはじめた時だったか……。

 でも、今なら分かる。おれは連れ出しただけで、何の解決もしてやっていないんだ。
 だからその数年後に浩介は日本を離れる決意をしてしまう。

 本当の意味での自由への道へと連れ出すことはできないのだろうか……。


「ごめん、谷口さん、書くものある?」
「はい」

 谷口さんがポケットからメモ紙を取り出して渡してくれた。それに二人分の携帯番号とメールアドレスを記入する。

「目黒さん、これ、おれと浩介の連絡先。今度また切りたくなったりしたら、絶対に連絡して。おれも浩介も仕事中は出られないけど、折り返しするようにするから」
「え!?」

 樹理亜が目を丸くした。ピンクの髪が揺れている。

「どうしてー? 渋谷先生、前に、あたしのこと関係ないって言ってたのにー」
「そうだね」

 バレンタインの時に樹理亜がチョコをくれようとしたが「関係ないから」と受け取らなかったのだ。でも今はあの時とは状況が違う。

「そうだったけど、浩介にとって目黒さんは大切な生徒の一人みたいだから」
「卒業生だけどねー。あそこの先生は優しいから卒業生も大事にしてくれてねー。浩介先生も生徒みたいに思ってくれてるみたいー」

 うふふ、と樹理亜は笑ってから、あれ?と首をかしげた。

「浩介先生にとって大切な生徒だと、渋谷先生に関係があるの?」
「うん」

 当たり前だ。

「浩介にとって大切な生徒なら、おれにとっても大切な生徒になるから」
「えーそうなんだー」

 樹理亜はへえと言いながらおれの渡した紙を、ベッドの脇に置いてあったカバンに大事そうにしまい込んだ。

「ほんと、二人は仲良しさんだねー。奥さんに焼きもち焼かれないー?」
「………………」

 そこはノーコメントで立ち上がると、

「じゃあ、ゆっくり休んで」
「はーい。渋谷先生と話してたらスクリーン消えたし、今日はちゃんと眠れそー」

 ベッドのリクライニングを戻しつつ、樹理亜が笑顔で手をふってきた。

 なぜおれがそのスクリーンとやらを消すことができるのかは分からないけれど、消せる力があるというのなら消してやる。
 浩介にも二度とブラウン管の中になんか入らせない。おれが、鮮やかな光となろう。


***


 うちに帰るともうすでに夕飯の支度ができていた。

「早いな……」
「おれ味噌汁作っただけだよ。おかずは全部昨日お母さんからもらってきたやつ」

 浩介は年末に帰国して以来、おれの母のことを「お母さん」と呼ぶようになった。ごく自然にそう呼ぶから、あまり深く考えてなかったが、考えてみたらまるで結婚でもしたかのようだ。

 浩介は食べながらも、このキンピラはどうしてこんなにシャキシャキしているんだろう。今度お母さんにレシピを聞いてみよう、などとまるで嫁のようなことを言っている。

「……浩介」
「ん?」

 食べ終わったのを見計らって呼びかける。機嫌の良い浩介に言いだすのは心苦しいけれど、意を決して言葉を継ぐ。

「電話しないか? お母さんに」
「え? お母さんに?」
「ああ」

 きょとんとする浩介。

「キンピラのこと? そうだね。電話で聞いて……」
「そうじゃなくて」

 箸を置き、正面から浩介を見つめる。

「お前のお母さんに、だよ」 
「………………」

 途端に浩介の顔がこわばった。

「なんで……」
「昨日、後日連絡するっていったからな。連絡待ってるだろうし」
「いいよ」

 浩介がぶんぶんと首を振る。予想通りの反応だ。

「じゃあ、おれが電話する。いいな?」
「え………っ」

 みるみる青ざめていく浩介。でもここで引きかえしては同じことの繰り返しだ。心を鬼にして言葉を続ける。

「電話する前に確認したいんだけど、そもそもお前、親に何て言ってあるんだ?」
「………何も」

 ぽつんと浩介が言う。

「何も言ってないよ。日本を離れてからだから、もう12年? 一度も連絡取ってない」
「じゃ、お前、今どこにいることになってるんだ?」
「ケニア……。前に異動になった時に、もし問い合わせがきても異動してないことにしてくれって頼んでおいたから」
「……………」

 徹底してる。浩介は日本を離れる時に携帯も解約してしまったので、直接は連絡も取れなくなっていた。後に再購入したけれど、当然新しい番号は教えていなかったというわけだ。

「おれとのことは?」
「大学の時に別れて、今はただの友達ってことになってるはず。あかねとは10年くらい前に別れさせられた」
「別れさせられた?」

 浩介とあかねさんはずっと恋人のフリをしていたのだ。それが別れさせられたって?

「あかねが同性愛者だってのがバレたんだって。でも、あかねは自分はバイセクシャルであっておれと付き合ってるのは本当だって嘘の主張してくれたらしいんだけど、うちの母が、そういう趣向の人間は桜井家の嫁にはふさわしくないから別れろって言ってきたって。いかにもうちの親が言いそうなことだよ」
「……そっか」

 そんな話、今まで一度も聞いたこともない。10年前というと、おれも浩介とまったく連絡を取らなかった時期だからしょうがないといえばしょうがないが……。

「アフリカにいると思っていた息子が、なんの連絡もなく日本にいたら……そりゃ驚くよな」
「…………」
「しかもいた場所が、別れたはずの男の実家の目の前」

 浩介の母親の顔は、驚きでいっぱいになっていた。

「その上、男の姪っ子と一緒にバスケなんかして遊んでた日にゃ、何が何だかって感じだよな」
「…………」

 南の娘、西子ちゃんが言っていた。浩介の母親は西子ちゃんを見るなり「南さんの娘さん?」と言ってきた、と。西子ちゃんは南とよく似ているのですぐに分かったのだろう。

「そこへおれが現れて……」

 あの時の、浩介の母親のおれに対するむき出しの敵意……。

「息子の肩を抱いてるのを目の前で見せられたりしたら……」
「やめてくれっ」
「……っ」

 浩介の絞り出すような声に驚いて言葉を飲み込んでしまった。珍しい。珍しいどころか、おれに対してこんな口調を使ったの初めてじゃないか? 普段だったらもっと柔らかい甘えたような言い方をする。
 浩介も、はっとしたように口をつぐんだ。おれの前では見せることのない一面が出てしまったことに動揺して、目が揺らいでいる。

 沈黙が流れる。
 何を言ったらいいのか……。

 と、その時。浩介の携帯が鳴りだした。

「………とれよ?」
「あ……うん」

 浩介はカバンから携帯を取り出したが、「知らない番号……」と首をかしげた。あ、そうだった。

「ああ、ごめん。今日、目黒樹理亜にお前の携帯番号教えたから、彼女かも」
「え、目黒さん、慶に会いにきたの?」
「いや、また手首切って入院してきた」
「え……」

 戸惑ったように浩介が電話に出た。やはり樹理亜だったようで、おれに向かって肯いてみせた。

(……助かった)

 内心ホッとしてしまった。あの雰囲気はいかんともしがたかった……。タイミングよく電話をかけてくれた樹理亜に感謝したくなってしまう。

 電話の内容はというと……
 ひたすら、うんうん肯いている浩介……何を話しているのか分からない。

「明日の退院の時には、おれか圭子先生がいくから安心して。その時にこれからのことも話そう」

 そういって、電話を切った。
 浩介は、うーーーーん……と、うなっている。

「なんだって?」
「今、目黒さんの母親が、目黒さんの荷物をもって病院に押しかけてきたって」

 面会時間はとっくに過ぎてるのに……

「それで、二度と帰ってくるな、と言われたらしい」
「え………」

 帰ってくるなって……まだ未成年の娘に対して言う言葉か?

「ちょっとごめん。おれ、これからあちこち電話かけないとだから……」
「ああ。大丈夫。洗い物ならやっとくから」
「うん。ごめんね」

 すいっとリビングのソファに異動した浩介。
 たぶん浩介も、安心してる。これ以上、親の話をしないですむ言い訳ができて。

 食べ終わった食器を運びながら、浩介の横顔を見つめる。

(お前だって、人の親子関係心配してる場合じゃないだろ)

 出かかった言葉を飲み込む。そんなことは浩介が一番よく分かっていることだろう……。



-------------------


長かった……。
イチャイチャが足りないので、途中でR18シリーズに逃避した私……。

具体的な日にちを書きますと、

2月22日(日)「あいじょうのかたち6」「R18・負傷中の…」←福祉祭りの日(浩介が手に怪我をした日)
2月24日(火)「R18・リベンジ」←朝っぱらからエッチしてたって話。

2月27日(金)「あいじょうのかたち7」←樹理亜の母親に会った日
3月8日(日)「光彩8」←あかねの恋人綾さんの娘のダンスの発表会を見に行った日
3月15日(日)「あいじょうのかたち8」←浩介母来襲
3月16日(月)上記の話

になります。


それから……『慶は、おれを自由への道に連れ出してくれた』と言ったのは、
自由への道6」でした。
当時まだ22歳の彼らは、これで自由になった、と思っていたのですがねー……。


次回は、浩介視点。暗い話が続きます。

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「風のゆくえには」シリーズ目次 → こちら
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(BL小説)風のゆくえには~R18・リベンジ

2015年06月18日 12時41分08秒 | BL小説・風のゆくえには~ R18・読切

BLのR18です。大丈夫な方だけどうぞ。


基本情報。

渋谷慶:小児科医。身長164cm。中性的で美しい容姿だけど性格は男らしい。
桜井浩介:教師。身長177cm。見た目ごくごく普通。優しそう。


二人は高校2年生の時からの付き合いです。今は一緒に暮らしています。

風のゆくえには~R18・負傷中の…」で、右手負傷中の浩介に速攻でいかされてしまった慶さん。悔しいのでリベンジするそうです。

本編ボチボチ書いているのですが暗いので、しばしこちらに逃避します。
今回も浩介視点で。



-----------------



『風のゆくえには~R18・リベンジ』



「明日リベンジな」

と、言っていたけれども、帰宅した慶はあまりにも疲れ果てていて、とてもそんな状態ではなかった。

 ただでさえ月曜日は患者数も多いのに、今はインフルエンザが大流行中らしく、病院内は戦場のようだったそうだ。

 帰るなり、「全身菌まみれな気がする……」と言って早々に風呂に入り、夕食もまだなのに、気がついたらソファーで眠ってしまっていた慶。寝顔は本当に天使そのものだ。愛おしさでいっぱいになりながら抱き上げ、ベッドに運ぶ。それでも起きない。相当疲れているようだ。慶は明日休みなので(慶は基本的に日曜と火曜が休み)、ゆっくり眠っていてほしい。


「…………?」
 いつもと違う感じがして目を覚ました。左手を泳がせてみて異変に気がつく。慶がいない。
 時計を見る。まだ6時前……外は薄暗い。
 
「………慶?」
「あーごめん。起こしたか」

 リビングから現れた慶が、するりとベッドの中に入ってくる。

「どうしたの?」
「昨日、歯磨かないで寝ちまったから今磨いてた」
「あ、そうか」

 考えてみたら、慶は食事もとっていない。仕事中にカロリーメイトを食べた、とは言っていたけれど…。

「悪いな。昨日、おれのことここまで運んでくれただろ」
「うん」

 少し冷えてしまっている体を布団の中でぎゅうっと抱きしめる。
 ああ、愛おしい……。

「まだ6時前だから、お前、あと1時間は寝られるけど……」
「うん」
「寝るか?」

 言いながら、慶の唇がおれの喉仏のあたりに吸いついた。寝るかって、そんなんされたら……

「そんなんされたら、寝てても起きるよ」
「みたいだな」
「………っ」

 慶の細い指が、パジャマの上からおれのものをまさぐりはじめた。そんなんされたらホントに起きるって。

「慶……」
「リベンジ、だよ。リベンジ」
「え、今から?」

 こんな朝っぱらから?!

「大丈夫。一時間あるからな。そっこーでいかせるっていっただろ」
「そ………っ」

 ごそごそと慶が布団の中にもぐりこんだ。おれのパジャマのズボンをおろしながら、下腹部に舌を這わしてくる。素直に反応して固く起き上がってきたおれのものの先を、細い指が辿ってくる。軽く爪を立てられ、ビクリとなる。慶は布団の中にいるので何をしているのか見えない。布団だけが人の形にこんもりと盛り上がっている。……が、

「苦しいっ。暑いっ」
 途中で布団がバサッとめくられた。

「け、慶?」
「布団の中あちーし息がくるしいっ」

 慶の顔が赤くなっている。か、かわいい……っ。

「けいー」
 手を伸ばしその赤い頬に触れようとしたところ、

「だーかーら、お前何もすんなっ」
 伸ばした両手をつかまれ、上にあげさせられた。
 ぶーっとふてくされてみせる。

「右手はともかく、左手はいいじゃんー」
「ダメ。お前絶対右手も出してくるに決まってる」
「えー……、え、なに?」

 ぐるぐるぐると白いものが目の前を舞っている。これは……包帯?

「右も左も禁止」
 おれの胸の上に座った状態で、慶がおれの右手の包帯を一回取り、右手首と左手首をくっつけてまたまき始めた。さすが現役医師。巻き方が早い。

 ……ん? って、え? こ、これは……っ。

 両手首を縛られた自分を客観的に思い、はっと気がつく。

「これ、ある意味……緊縛プレイ的な?」
「………ち、違うからなっ」

 言いながら、ばあっと慶が真っ赤になった。か、かわいすぎる……。

「こうしておけば、右手使えねえだろっ。だから……っ」
「うんうん。使いません。使いません」

 ニヤニヤが止まらない……。
 慶が怒ったように、おれの両頬をつねってくる。

「お前、そのニヤけた面やめろ。ムカつく」
「だって、慶があまりにもかわいすぎて……」
「かわいい言うなっムカつくっ」

 両頬をおさえられ、唇を重ねられた。唇を軽く噛まれる。舌をからめとられ、強く吸われる。

「うー……」
 今、ぎゅうっと抱きしめたいのに、それができなくてもどかしい。
 もどかしさの反動で、下の膨張率が跳ね上がってくる。

「寒くないか?」
「だいじょぶ……」

 パジャマの下を脱がされ、スースーしているけれど、それどころではない。
 ゆっくりとしごかれながら、丁寧に足の付け根に舌が這ってくる。気持ち良すぎる……。

 慶の綺麗な顔……見惚れてしまう。

「慶……」
 怒られない程度に足をずらし、慶の股間にあててみる。……固くなってる。

「あー慶の触りたいー……」
「うるせえよ」

 慶は冷たく言ったが……

「いや、ああ、そうだな」
「え?」

 顔をあげて、ニッと口の端をあげた慶。

「おれもいきたくなってきた」
「え?!」

 そ、それは……っ。

「ちょっとまて」

 慶は器用に左手でおれのものをしごき続けながら、右手で自分のパジャマの下を脱いだ。
 それから……唾液をたっぷり含んだ口でおれのものを奥まで咥える。

「……う」
 唸り声みたいな変な声が出てしまった。ビクビクっと体が反応してしまう。

 そんなおれを目を細めて見下ろしながら、慶が腰をあげた。
 ゆっくりと慶の中に入っていく。いや、入っていくというより、おれが捉えられていく感じ……。

「慶……っ」

 慶の計算しつくしたような腰使い……根元まで咥えこんだかと思うと、抜ける寸前まで引き抜かれ、抜けそうなところでまた奥まで、というのを繰り返され、頭がおかしくなりそうになる。その最中に、慶の大きくなったものが、上下運動につられ下腹部に当たってくるのもまたたまらない感触で……。

「待って……こ……このままじゃ、中に、出ちゃう、から……っ」
 正常位とか後背位とかであれば、自分で調節して出る寸前に引き抜くことができるけれど、騎上位ではいかんともしがたい。やめるかゴムをつけるか何とかしないと、あとから慶が大変になる……っ。

「け、慶、ダメだって……」
「じゃ、やめるか」
「え」

 頂点に行きかけたところであっさりと引き抜かれた。行き場を失ったおれのものだけが奇妙にそそり立っている。

「あ……」
 いやいやいやいや、そうなんですけど……そうなんですけどーーーっ。

「……その顔」
 ぷっと慶がふきだした。

「お前、ほんとおもしれえな」
「………」

 ちっとも面白くない!! 

「もーっ慶ーっ意地悪ーっ」
「お前がダメだって言ったんだろ」

 くつくつと笑いながら、慶はもう一度、手でおれのものをしごきはじめてくれた。おれは気持ちいいけど……

「でもそれじゃ慶が全然……」
「ようは中に出さなきゃいいんだろ?」
「うん……だからゴム……」
「取りに行くのめんどくせー」
「もう、慶、そこのクローゼットの……、え」

 何? この感じ……

「慶……?」

 慶の眉が快楽のために寄せられている。
 中には入れず、入口のあたりで擦る感じ……。揺れ動くたびに、お互いのものがこすれ合う……。

「あ……」
 なんだろう、フワフワとしたような……頭の中が真っ白になっていくような……

「浩介……」
 慶の切ない目が近づいてくる。もう、我慢できない。

「お願い……手、取って……」
「……右手は使うなよ?」

 しゅるる……と包帯がほどかれ自由になる手。

 慶がおれからおりて横に寝そべる。足を絡ませながら、お互いのものを掴む。
 おでこをくっつけて、お互いの息遣いを感じながらしごき合い、そして……

「…………っ」
 我慢の限界で、おれのものが放出された。慶の引き締まった脇腹のあたりに乳白色のものが飛び出す。

「………やった」
 慶が小さく笑った。

 え? 何が、やった?

 という疑問はとりあえず横に置いて、慶の破裂寸前のものをぎゅっとつかみ激しく動かす。

「……あ……」
 すぐに、吐息と共に、慶のものも吐き出され、勢いをなくしていく……。

「あー……気持ち良すぎた……」
 燃え尽きてつぶやくと、慶がバシバシとおれの腕をたたいてきた。

「おれの勝ちな?」
「勝ち?」

 なんの話?

「だーかーらー、お前の方が先にいっただろっ」
「ああ……それ」

 だから、「やった」って言ったのか……。
 
 慶は子供みたいに頬を膨らませている。

「ああ、それ、じゃねーよっ。リベンジっていっただろっ」
「うんうん。慶さまの勝ちでございます。かないません。ホントに」

 ホントに、かなわない。

「お前ばかにしてんだろ」
「してないしてない。大好き。だーいすき」
「うるせーよ」

 慶はムッとした顔をして、サイドテーブルの上のティッシュで残骸をざっとふき取り、立ち上がると、

「洗濯したいけど、その前に風呂入るぞ。さっさとこい」
「はーい」

 上はパジャマ、下は何も着ていない慶の後ろ姿……そそられる。
 我慢できず、後ろからぎゅううっと抱きしめた。

「なんだよ?」
「お風呂で二回戦する?」
「……ばーか」

 脇腹をつねられる。

「しねーよ」
「えー」
「もう6時半過ぎてる。時間気にしながらやりたくねーよ」
「……確かに」

 あーあ。おれも休みだったら良かったのに。そうしたら一日中イチャイチャして過ごすのに……

 おれの気持ちを読んだかのように、慶はぎゅっと腰に手を回してくれ、

「まあ……お前が今日、早めに帰れたらな」
「えっ。うん! やった!」

 愛おしい慶を抱きしめる。
 慶がいつもより優しいのは、怪我をしているからだろうか。それならば7針縫ったかいがあったというものだ。治る前に慶の優しさを堪能しておこう。

「速攻で帰ってくるからね!」
「ちゃんと仕事しろよ?」

 苦笑気味に言う慶。
 ああ、愛おしい。今日帰ってからが楽しみだ。


----------------------------


以上終了。
単なる日常生活的な……。ホントになんのやまもおちもいみもないお話でございました。
作中は2月下旬なので寒いです。


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(BL小説)風のゆくえには~R18・負傷中の…

2015年06月15日 10時20分49秒 | BL小説・風のゆくえには~ R18・読切

BLのR18です。大丈夫な方だけどうぞ。


基本情報。

渋谷慶:小児科医。身長164cm。中性的で美しい容姿だけど性格は男らしい。
桜井浩介:教師。身長177cm。見た目ごくごく普通。優しそう。


二人は高校2年生の時からの付き合いです。今は一緒に暮らしています。

風のゆくえには~あいじょうのかたち6」の中で、右手の甲を7針縫う大怪我をしてしまった浩介。
さあ、お風呂とかどうします? って話です。

本編が辛い話に突入するので、その前にただ単にイチャイチャしてるところを書きたかっただけです。
今回は浩介視点で。



-----------------



「風のゆくえには~R18・負傷中の…」



 期待したおれが馬鹿だった……。

 うちの天使……渋谷慶は、素晴らしく美しい容姿をしている。何度見てもはっと驚くほど美しい。こんなに美しい人におれなんかが触れていいんだろうか、といまだに躊躇してしまう時がある。

 でも、そんな天使な外見とは裏腹に、中身は男男している。口も悪い。手も足もすぐ飛んでくる。

 そして何より、ムードとかそういうものをまったく考えてくれない。
 だからなんの予兆もなく、突然ものすごく甘~い言葉を言ってくれることもあれば、そこはちょっと甘い雰囲気で……というところで、妙に冷めた対応をしたりする。


 今回、おれが手の甲に7針縫う怪我をして……そうそう。縫ってくれたのは慶だ。
 慶の真剣な瞳、繊細な指先、キュッキュッと結ばれて行く皮膚の感覚……。
 なんだか興奮してしまって、勃ってしまいそうになるのを抑えるのに苦労した。やっぱりおれって変態だなあと思う。自覚はある。

 で、縫ったばかりだから、今日はお風呂入っちゃダメなの? と聞いたところ、

「一緒に入るか。おれが洗ってやるよ」

 って! そんなこと言われたら! そりゃ色々期待する。

 今でも一緒に風呂に入ることはある。でもそれはたいてい事後なので、そこでどうこうということはなく……
 今回は事後ではなく事前。あれやこれやと妄想が膨らむわけで……


 ……が、しかし。期待したおれが馬鹿だった。
 マッパで風呂の椅子に座り、わくわくしながら待っていたおれの前に現れた慶は……

「…………慶、なんで服着てんの?」

 短パンにTシャツ姿の慶……。

「はあ? 何言ってんだよ?」
 慶は呆れたように言うと、「手出せ」といって、おれの右手をスーパーのレジ袋で覆ってグルグル巻きにした。

「腕あげてるの疲れたら言えよ?」
「………はーい」

 そうだ……。期待したおれが馬鹿だったんだ。慶はそういう人だ……。
 
「お湯、熱くないか?」
「うん。ちょうどいい」

 髪の毛をわしゃわしゃと洗われる。慶の細い指が気持ちいい。
 シャンプーを流されるのに下を向いていたら、慶の足の指が目に入った。慶は足の指まで長くて美しい。
 ああ、その指にしゃぶりつきたい………と思った矢先、

「いてっ」
 いきなりゴンっとシャワーのヘッドで頭を殴られた。

「な、なに……」
「変なこと考えてんなよ」

 冷たーい目が見下ろしてくる……。何でわかったんだろう……。

「次、体洗うぞ」
「…………はい」

 これがまた機械的。患者の処置を冷静に行う医者のようだ。
 ……慶は本物の医者だから、例えがそのままだな……。

「腕……消えちゃったね」
「あ?」

 目の前を行ったり来たりする慶の右手首を見て、思わずつぶやく。
 おれが怪我をしたときに、慶はものすごく動揺して……震える手を止めるために、自らで自分の手首に噛みついたのだ。しばらく歯形がくっきりとついていたが、もう今はうっすらと赤くなっているだけだ。

「あーあ。せっかくの愛のしるしだったのに」
「あほか」

 あきれたようにいう慶。
 上半身を洗い終わったところで、泡を流される。

「………慶」

 その右手を掴み、薄く残っている痣にそっと口づける。びくっとして引っ込めようとした手を強く掴んだまま、立ち上がり、こちらを見上げた唇に……と思ったら、

「いてっ」
 ゴンっと頭突きされた……。

「もーー慶ーーー」
「もーじゃねーよ。何しようとしてんだよ」

 つ、冷たい……。

「だいたい、本来、今日は風呂禁止なんだからな。さっさと上がるぞ」
「えー」
「えーじゃないっ。ほら、下は左手で自分で洗えるだろ」
「洗えませんっ」
「洗えっ」

 泡のついたタオルを無理やり渡される。あーあ……

「下こそ洗ってほしかったのになー」
「………なんか言ったか?」
「いえ、なにも」

 この狭い空間で怒らせるのも怖いので、粛々と作業を続ける。慶は不機嫌そうに腕を腰に当てたまま隅に立っている。

 普段左手で洗うということはしないので結構難しい。しかも右手を使えないのでバランスも取りにくい。足の裏を洗おうとしたらよろけてしまい、とっさに慶に腕を掴まれた。

「あ、ありがと」
「足はあぶねえな。やってやるから座れ」

 一度石鹸をシャワーで流してくれてから、今度は風呂の縁に座るように言われた。浴室内をあたためるために風呂は沸かしてあるけれど、おれは今日は入ってはいけないらしい。

 慶が、寒いだろうから、とタオルで髪を軽くふいてくれ、バスタオルを肩からかけてくれた。

 慶、優しい。でもものすごく機嫌が悪い。悪いけど優しい、という変な感じだ。

 最後に残った足の洗浄。
 足の指、人に洗われるとくすぐったい。逃げ出しそうになるおれの足を強く掴んだまま、慶は一本ずつ丁寧に洗ってくれる。

「………ごめんな」
「え?」

 ボソッとつぶやいた慶。……ごめんな?って?

「何が?」
「おれがもっと上手く対応できてれば、お前にこんな怪我……」
「えっ慶は何も悪くないじゃんっ」
「いや、おれが悪い」

 慶は下を向いたままだ。

「慶?」
「……………」

 両終わり、ざっと流される。

「おれはお前を守れなかった」
「何言ってんの。慶がいたからすぐ止血もしてもらえて……」
「その前の話だよ。おれがもっと用心してれば……。それにそもそも、目黒樹理亜があそこで手首切ろうとしたのはおれのせいだろ」
「んーーーそれはどうかなあ……」

 言うと、慶は「え?」と顔をあげた。
 うわ、何そのカワイイ顔。ちょっと涙目。かわいすぎ。どうしてくれよう。
 ……なんていうおれの心の声など露知らず、慶が眉を寄せた。

「どういうことだ?」
「いや、なんていうか……失恋の腹いせとか、そういう問題じゃない感じがする。あの子はもっと深いところで病んでる」
「…………そっか」

 ふうっと大きくため息をつく慶。

「まあ……どうであれ、おれ、あの子とはしばらく顔合わせないようにするな。自分でも何言うかわかんねえ」
「………」
「おれは人間できてねえからな。お前を傷つけた本人を目の前にして冷静でいられる自信はない」
「………慶」

 その白い頬を囲み……たいところだけど、右手はビニール袋でガサガサ言うので、左手だけ頬に触れる。

「おれ、愛されてるね」
「今ごろ気がついたのか?」
「ううん。知ってた」

 そっと唇を合わせる。ああ、慶の唇。今まで何度重ねただろう。でもいつでも初めてのような愛おしさがつのってくる。

「慶……」
 唇の柔らかさを味わいながら、慶の細い腰に左手を伸ばした……が。

「いてっ」
 もー! 三回目!! 今度はビシっと手をはじくように叩かれた。

「なんでー!!」
「だから、風呂禁止。さっさと上がんねえといけねんだって」
「だったら、さっさと上がる。上がってからするっ」
「いや、しばらくしねえから」
「……………え」

 慶の真面目な顔に、言葉を飲む。

 なんでーー!!

「どう気をつけたって、右手に負担かかるだろ」
「大丈夫だよっ。気をつけるからっ」
「無理無理。しばらく我慢しろよ。だいたい、1、2週間しないことなんて普通にあるじゃねえかよ」
「そうだけどっ」

 慶の右腕をとり、今日の痣に素早くキスをする。

「今日はどうしてもしたいっ」
「だから……」
「我慢できない。無理。怪我した時からずっと我慢してたんだよ?!」
「なんだそりゃ」

 慶は呆れたように、ため息をついた。

「しょうがねえなあ……」
「じゃ、してもいい?」
「ダメ」
「なん………っっ」

 なんで、と言い終われなかった。
 だって……慶の……慶が……

「慶………っ」
「ん」
 慶が……おれのものを含んでいる。ゆっくりと舌がまとわりついてくる。

「ちょ……っ」
 頭に血がのぼる。風呂の縁から立ちかけたのを、慶に力強く抑え込まれた。慶はこの外見のくせに鍛えているから力も強い。普通に腕相撲とかしてもおれが負ける。殴り合いの喧嘩……は、したことがないから分からないけれど、身長の差ものともせずおれが負けるのは目に見えている。

「慶……っ待って……っ」
「………なんだよ?」

 口から離されたおれのものが、慶の鼻の先でそそり立っている。奇妙な光景だ。完璧に整った綺麗な顔の目の前にあると、余計にグロテスクで、おぞましさすら感じる……。

「こんなことしてもらうの、申し訳ないというかなんというか……っ」
「何をいまさら」
「!」

 ぺろり、と赤い舌に先の方をなめられ、全身に快楽の震えが走る。
 上目遣いの慶……。

「お前何もすんなよ? 特に右手」
「う………」

 もう返事もできない。
 こんな本格的なフェラをされるのは久しぶり……もう何年振り? 10年以上ぶりじゃないか?

 今でも時々してくれるときもあるんだけど、何というか……冒涜感がハンパないので、すぐに挿入に切り替えてしまう。あ、いや、挿入行為に冒涜感がないのかと問われれば、それもそれで、あるにはあるんだけど……。

 昔は、汚したい願望、みたいなものがあった。壊してしまいたい、と思ったり……。
 その綺麗な顔にぶちまけてやりたいという誘惑と何百回と戦い、一度負けて実行してしまった時には、地の底まで落ち込んだ。
 そんな歪んだ欲求の理由が、若さゆえのことだったのか、親との物理的距離が近かったせいなのか、両方なのか、今となっては分からない。

 でも、20代後半に日本を離れて、慶と3年も離れて暮らしてから、おれの中の慶に対する神聖度はさらにはね上がった。ただひたすら愛おしい。汚すなんてとんでもない。
 それが年齢を重ねたことによる心境の変化なのか、親との距離が離れたおかげなのかは、判断しかねるところなんだけれども……。

「慶……」
「あ?」

 慶の左頬が膨らんでる。歯でかむようにして横にずらしていて、先が今ちょうど左頬にあたっているのだ。器用な舌が艶めかしく動いている。

 こんな綺麗な人にこんなことさせるなんて、神への冒涜だ。でも、でも……。

「気持ち良すぎる……」
「お前の真似だけどな」
「!」

 いきなりヘソのあたりをなめられ、ビクッとなる。
 慶の右手が激しく上下に動き出した。時折、先の方を指の先が辿り、粘液状のものでくるくると円をかく。

「お前、いつもしてくれるだろ」
「それは……っ」

 脇腹のあたりにも唇が這ってくる。手も休まることを知らない。

「け、慶……、もう……」
「ん」

 最大限に膨張している。もう、限界だ。
 再び、咥えてくれる慶。血管が切れそうなほどの快感が脳に達する。

「慶、慶、離して。いっちゃうって」
「いけよ?」

 先の方を舌と唇でからめとられ、手で強くしごかれ続けている。
 無理だ。このままじゃ……

「だから離してって。このままじゃ慶の……」
「いいから」

 上目遣いの慶。色っぽすぎる。もう限界だ。限界だけどーーー!!

「ダメダメダメダメ!! ごめん!」
「うわっ」

 立ち上がりながら、思いきり慶の両肩を押して引き剥がした。
 その拍子に、慶が尻餅をつく。
 そして………

「あ………」

 おれの乳白色のものが、慶のTシャツと短パン両方にぶちまげられてしまった……。

「ご、ごめん!」
「なんなんだよっお前はっっ」

 怒って立ち上がった慶。そりゃそうだ。怒るよね。怒るよね……でもっ。

「ごめん、ホントごめん!! でも無理!無理無理無理!!」
「……なにが」

 慶が冷静な目で見上げてくる。こわい……こわいけど。

「あのままだと、慶の口の中に出してたよ、おれ」
「………おれはそのつもりだったけど?」

 ムッとしたように慶が口を引き結んだ。

「お前だっていつもしてんじゃねーかよ」
「おれはいいんだよ。でも慶はだめだよ。汚れちゃう」
「はああ?」

 呆れたように言う慶。

「なんだよそれ? 意味わかんねーな」
「わかんなくてもいいよ。とにかくダメだよ。慶はそんなことしちゃダメなんだよ!」
「………意味わかんね」

 ざっと勢いよく慶がシャツを脱いだ。

「!」

 うわっという声をなんとか飲み込む。
 何度見ても美しい肢体。無駄なものが一切ない。完璧な体。

「慶………」

 慶は怒ったように下も勢いよく脱ぎ、床にたたきつけた。こ、こわい……。

「それ、おれ洗うよ……」
「いい」

 シャワーからカランに切り替え、ジャブジャブとTシャツと短パンに付いた汚れを洗い流している慶。

「慶……ごめんね」
「…………」

 無言………。
 怒らせてしまった……。せっかくしてくれてたのに……。

「慶………」
「……………お前さ」

 水道を止め、洋服を絞りながら、慶が言う。

「おれに気遣いすぎだよ」
「え、そんなことは……」
「もっと、邪険に扱って大丈夫だぞ?」
「邪険て」

 思わず目をパチパチさせてしまう。

「とりあえず、もう上がれ。もう一度シャワーで……」
「慶……」

 ぎゅうっと後ろから抱きしめる。

「だから、もう上がれって」
「うん。慶のもしたら上がるね」
「はああ? 何いって……っ」

 後ろから左手を伸ばし、慶のものを優しく掴む。途端に固くなる。いつもながら反応がいい。

「こうす……っ」
「右手使えないからいつもみたいにできないけど……」
「だから……っ」
「大丈夫。右手は絶対使わない。………ね?」

 ゆっくりとしごきながら、慶のうなじに唇を這わせる。慶がビクッと震える。ああ……かわいすぎる。

「慶……」

 その先のぬるぬるしたところを丁寧に……と、思ったが、

「だーかーらー!」
 
 慶が叫んだ。

「上がれっていってんだろ!」
「うわわわわっ」

 し、信じられない!!

「冷たーっっ」
 いきなり冷水のシャワーをぶっかけられた。

「け、けいー……」
「さっさと上がれ! このバカ! アホ!」

 大げさでなく、本当に文字通り蹴りだされた……。

「慶さーん、ちょっと慶さーん?」

 コンコンコンとすりガラスの戸をノックするけれど、シャワーの音しか聞こえない……。

 まずったなあ……本当に怒らせちゃったのかなあ……。

 うーんうーんと洗面台の前で唸っていたら、シャワーの音が止み、戸が開いた。

「………お前まだ着替えてないのか?」
「あ……うん。着替える。着替える……」

 左手だけだと、パンツを履くのですらなかなか難しい。四苦八苦していたら、慶が自分は腰にタオルを巻いただけの状態で手伝いはじめてくれた。ぐるぐる巻きにされていた右手のビニールも取ってくれる。

「しばらくは着替えも一人じゃ無理だな」
「んー脱ぐのは一人でできたんだけどねー」

 慶の髪から水がしたたり落ちている。

「慶の方こそ早く着替えないと風邪引いちゃうよ」
「あー大丈夫」

 なぜか着替えはじめない慶。こちらに背を向けている。

「どうかした?」
「どうもしない。どうもしないから、さっさと出てけ。狭いんだから」
「……………」

 もしかして………

「慶……」
「なんだよ。……あっお前っ」

 パッと慶のタオルを取り上げる。

「……やった!」
「何がやっただ!」

 真っ赤な顔をして怒鳴る慶。そんな顔をしても無駄無駄。

「ここでする? ベッドいく?」
「だからしねえって言ってんだろ!」
「うん。大丈夫。しない。抜くだけ。じゃ、ここで」
「人の話聞けっ」
「だって邪険に扱っていいっていったじゃーん。希望は聞きませーん」
「邪険ってそういう意味じゃ……、あ」

 くうう……その声、たまらない。慶の体を壁に押しつけ、大きくなっていた慶のものを口にふくむ。押し返そうとする手をぐっと掴む。普段は力勝負ではかなわないけれど、こういう時は勝てるのは、慶の心の中に本当はOKって気持ちがあるからなんだと思う。そんなこといったらメチャメチャ怒られるだろうから言えないけど。

 本当なら左手でしごきながら、右手の指は後ろに突っこみたいところなんだけど、

「お前、右手は使うなって……」
「……はーい」

 右手を体に添わせた時点で、慶の左手に手首を掴まれたので右手は諦める。でも、舌で転がしたり吸い込んだりするたびに、敏感に、掴まれている腕に指がぎゅっと食い込んでくることにそそられる。

「浩介……」
 慶の右手がおれの髪を掴む。目がうるんでいる。
 どうしたら慶が気持ちいいのか、どこをどうしてほしいのか、そんなこと全部全部わかってる。
 左手の速度を速める。慶の息使いも早くなっていく。

「こ………っ」
 軽く噛んだのと同時に、びくっと慶の体がそり、指がさらに食い込み……そして一気に解放された。
 喉をついた温かいものを一滴漏らさず飲みほし、丁寧になめきって、おれがようやく口を離したところで、

「……………くっそー」
 いきなり慶がしゃがみこんだ。

「え、なに、どうしたの?」
「………負けた気しかしねー」
「へ?」

 負けた気? なにそれ?

「右手使えないハンデあるのに、なんでこんなあっさりいかされてんだよ、おれ……」
「慶?」

 慶は膝を抱えたまま、おれを睨みつけると、

「明日リベンジな」
「え」
「おぼえとけっ。ぜってーそっこーでいかせてやるっ」

 そして勢いよく立ち上がると、「さみーから風呂入ってくる」と言い捨てて、すりガラスの向こうに再び入っていってしまった。

 おぼえとけ?
 そっこーで?
 明日……リベンジ?

 そ、それは……

「………慶さーん?」
 コンコンコン、とすりガラスをノックすると、

「なんだよ?」
 不機嫌そうな慶の声が聞こえてきた。

 か、かわいい……

「明日といわず、今からでも」
「うるせえっ」

 バッシャーンとすりガラスに向かって水が勢いよく飛んできた。

 慶……愛おしくてたまらない。

 手の怪我のせいで、あれやこれやできないのは不便だけど、あれやこれやしてもらえるのは……おいしすぎる。たまには怪我もしてみるものだ。

(こんなに幸せでいいのかなあ)

「!」
 鏡にうつる自分の姿が目に入りそうになり、慌てて背を向ける。
 鏡の中の自分は言うに決まっているのだ。

(お前にこんな幸せは似合わない。お前に慶は似合わない) 

 油断すると過呼吸がおこりそうになる。
 
 慶、慶……。心の中で呪文を唱える。
 慶の笑顔を思い浮かべる。大丈夫大丈夫……。

「こーすけー」
「は、はい!」

 ご本人の声にびっくりして返事をすると、

「上がったら、手、見るからなー。それまで包帯取るなよー?」
「はーい」

 大丈夫。おれには慶がいるから大丈夫。

 慶がしてくれた包帯をギュッと押さえ、おれはゆっくりと息を整えた。



---------------------------



思いのほか長くなってしまいました。
R18はただイチャイチャさせるのが目的だから、あんまり内面のこととか書きたくないんだけど、ちょっと書いちゃった。また本編でも同じようなこと書くかもな。
でも本編は基本、具体的性描写は避けているので(それ書き始めると楽しくて脱線しちゃうからさ)、その鬱憤はこちらで晴らすようにしています。

明日のリベンジ……。手縛ってフェラのあと騎上位、とみた。そっこーでいかせられることでしょう。


追伸:
明日のリベンジの話書きました。→「風のゆくえには~R18・リベンジ」
ホントにやってるだけの話。やまなし・おちなち・いみなし。


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風のゆくえには~ あいじょうのかたち8-2(南視点)

2015年06月12日 13時00分46秒 | BL小説・風のゆくえには~ 愛情のかたち

 手巻き寿司パーティーは大盛況のうちに終わった。
 浩介さんは終始ニコニコと楽しそうだった。時折、浩介さんがお兄ちゃんのことを目を細めて愛おしそうに見ていることも、お兄ちゃんが心配そうに浩介さんを見ていることも、時々二人が目があっては微笑みあっていたことも、私は見逃さなかった。ええ。見逃しませんとも!

 手巻き寿司パーティーでは、どの具材の組み合わせが一番おいしいかを発表しあったり、新たな組み合わせの開発をしようと盛り上がったり、最後の一すくいのイクラを誰が食べるかでじゃんけん大会をしたり……と、渋谷家ではわりと恒例の光景だったのだれども、浩介さんにはどれも新鮮で驚きの連続だったらしい。

 食器の片付けをしながら、浩介さんが「素敵な家族で羨ましい」といったのに対し、西子が素で、

「浩兄だって、家族の一員じゃん」

と言い、浩介さんが嬉しそうに笑みをこぼした。我が娘ながら花丸百万個の素敵発言だ。



 母の体調は、期待通り順調に戻ってきていた。
 手術後しばらくは毎日病院に通わなくてはならなかったり大変だったのだけれども、父も自炊できる人だし、私も姉もわりと近くに住んでいるので交代で様子を見に来たりして、どうにか乗り切った。

 兄も折をみてはちょこちょこ実家に顔をだしていた。
 しかし、その実家通いのための電車内で、浩介さんのお母さんに偶然姿を見られたことが、今回の来襲につながったようだ。うちの実家と浩介さんの実家は最寄り駅が隣なのだ。


 夕食の片付け後、西子は彼氏と狩りに行く約束をしているそうで(ゲームの話ですっ)、ネット環境の安定しているお兄ちゃんの部屋にいき、両親とお兄ちゃん達と私とでリビングで食後のコーヒーを飲んでいた時のことだった。

 浩介さんがおもむろに、頭を下げてきた。
 今日は申し訳ありませんでした。おそらく、今後も母親が迷惑をかけることがあると思います……と。

 僕の両親は、昔から子供を自分の所有物としか思っていない。少しでも意に反することをすると徹底的につぶしにかかってくる。
 どうにか、渋谷家の皆様にご迷惑がかかることのないよう説得しますので……と。

「まあ、うちのことは気にしないで大丈夫だよ」
 震える手を握りしめて頭を下げている浩介さんの肩を、父がポンポンとたたいた。

「我々は細々と年金生活してるくらいでね、失うものは何もないから何があっても大丈夫だよ」
「…………」
「それよりも、君たちが幸せに暮らすことを最優先に考えなさい」

 お父さん、やたらとカッコいいことを言うと、「明日提出期限の絵があるから」とアトリエにこもりに行ってしまった。自分で言ってて照れたんだろう。顔赤かったし。でもかっこよかったよ。


 残された母と私とお兄ちゃんと浩介さん。しばらくの沈黙のあと、母がポツリといった。

「まあ……子供の成長っていうのは、母親の通信簿みたいなところあるからね。自分の思う方向に行かせようと思う気持ちは分かるわよ」
「うん。分かる分かる! 通信簿だよね!」

 私も西子が小さい頃には特にそう感じることがあったため、激しく同意したけれど、お兄ちゃんと浩介さんは、ハテナ?という顔をした。
 キョトン、としている男2人に、いい?と人差し指を立ててみせる。

「言葉が遅いのは母親の語りかけが少ないから、とか、夜泣きをするのは昼間たくさん遊ばせてないから、とか乳幼児時代なんて、どんだけ母親に責任負わせんだよってくらいまわりから責められるんだよ」
「……………」
「小学校上がってからも、朝食はどのようなものを食べさせてますか? 夜は何時に寝かせてますか? そんな時間に寝かせてるから、成績が悪いんですよ。お母さんの責任ですよ。とかね」
「ああ……」

 だからなのかな……とお兄ちゃんが言った。

「子供が風邪引いても、自分が引かせてしまったって妙に責任感じてる母親って結構いるんだよな」
「でしょ?」

 お兄ちゃんは小児科医。ネットの口コミ掲示板ではやたら評判高いので、どう接しているのか興味がある。

「お兄ちゃん、そういう時なんて答えるの?」
「子供は風邪を引くものです。それで強くなっていきます。一緒に乗り越えましょう……みたいな」
「うわ。完璧」

 こりゃ渋谷先生、人気出るわけだ。

「すごいね。お兄ちゃん。そんなん言ってくれる先生のとこなら通いつめるわー」
「別に普通だろ」

 肩をすくめるお兄ちゃん。イケメンで優しくて頼りがいがあって、我が兄ながら外面は完璧だ。外面はね。

「責任感じてる母親にとって、そのセリフはすっごい救いになってると思うよ?」
「そうよね。子供に起きることは、親の責任ってところあるからね」

 母が深く肯いた。

「子供が人の道から外れず育つのかどうかも、親の責任……ってね」
「……それは」

 お兄ちゃんが何かいいかけて、黙った。
 奇妙な沈黙が流れる。
 この沈黙は……兄の問いかけだ。

「おれのことにも責任を感じているのか?」

 という……。母がその沈黙の意味を悟ったようにつぶやいた。

「まあ、慶のこともね、今でこそ吹っ切れたけど、責任感じてたことあったのよ」
「え」

 お兄ちゃんも私も、そして浩介さんも母を見返す。
 ちょっとドキドキしてきた。浩介さんの前で変なこと言わないでよ?お母さん……。

「慶のことは、本当にほったらかしで育てちゃったからね」
「ほったらかしって……」
「生まれてすぐのころは、椿の小学校のPTAの仕事が忙しくて全然構ってやれなかったし……」
「………」
「南が生まれてからは、ほら、ねえ……椿に任せっぱなしだったし」

 私は生まれてから小学校高学年になるまで体が弱くて入退院を繰り返していた。その間、お兄ちゃんのことは8歳年上のお姉ちゃんがずっと面倒をみていたらしい。だからなのかお兄ちゃんは重度のシスコンだった。

「だから、高2のお正月だったわよね? 浩介君と付き合ってるって知って……。ああ、親の愛情不足のせいで歪んだ方向に走ってしまったんだって、ほったらかしてたこと後悔したのよね」
「え!!」

 私とお兄ちゃん、同時に「え!」と叫び、浩介さんは真っ白い顔をして固まった。

「いやいやいやいや、そんなの関係ないし!」
「関係ない!関係ない! だいたい、愛情不足って思ったことない!」

 あわてて手を振る渋谷兄妹。すると、母は頬に手をあてて、

「それか……小さい頃面白がって、女の子の格好させたりしてたのが良くなかったのかしら、とか……」
「え、そうなの?」

 それは初耳。

「南が生まれる前にね。だって慶ってばそこらへんの女の子より可愛かったから、つい……」
「うそ! 写真とかないの?!」
「それは大昔、ネガごと処分した!!」

 お兄ちゃんがプリプリ怒って叫んだ。

「だいたいそんなの2歳になる前の話だろっ」
「だけど気になってたのよ。でも、こないだ浩介君が、慶が亭主関白だって言ってくれて……」
「え?!」

 ちょっと待て。それは聞き捨てならない。

「え、お兄ちゃんの方が亭主、なの?」
「南、そこに食いつくなっ」
「食いつくでしょっ。それは精神的な話? それとも肉体……」
「みーなーみーっ」

 思いっきりクッションを顔におしつけられ、言葉が続かなかった。

「お母さん! そういうこと言いふらさないでよ?!」

 お兄ちゃん、すごい剣幕。しょうがない。この件に関しては今度浩介さんを問い詰めよう。

「言わないわよ。まあ、とにかく親は子供のことに責任を感じてるって話よ」
「…………あの」

 今まで黙っていた浩介さんが、思い切ったように切り出した。

「お母さんは……慶さんと僕のこと……反対ですか?」

 おおっと。直球な質問!
 母はあっさりと答えた。

「当然、昔は反対してたわよ? でも今は大丈夫。それに前に南に言われたのよね。『お兄ちゃんを暗黒時代から救い出したのは浩介さんだよ』ってね。だから浩介君には感謝しないとと思ってるのよ」

 おお。そんなこと言いましたな。

「暗黒時代?」
 なんのことだ?というお兄ちゃん。浩介さんも目をパチパチさせている。
 あら、自分の消したい過去は忘れたふりですか?

「暗黒時代ですよー。ほら、お兄ちゃん、中3の夏に足怪我してバスケできなくなって……」
「それが暗黒時代?」
「じゃなくて。その上、お姉ちゃんがお兄ちゃんの主治医だった近藤さんと付き合いはじめて……」
「……………」

 お兄ちゃん、嫌~な顔をしはじめた。けけ。ざまあみろだ。

「ひどかったよねーあのころのお兄ちゃん。全然しゃべらないし、口開いても『うるせえ』とかそんな言葉だけでさ、ずっと部屋にこもってて出てこないし、ときどきクッションとか壁に投げてたし、ずっと眉間にしわよってたし」
「それは10代男子にありがちな反抗期ってやつだろっ」
「いやー反抗期とはちょっと違ったよねーあれは八つ当たりだよねー。まあ不良になったりしないで、その鬱憤を部屋にこもって受験勉強することで晴らしてたってあたりがかわいいもんだけどね」
「…………」

 反論できないお兄ちゃん。浩介さんは驚いたようにお兄ちゃんを見つめている。

「で、高校に入っても、あいかわらずなんか暗ーく毎日勉強ばっかりしてて、口もきかなくて……」
「それはあの高校のレベルに追い付くのに必死で……」
「でも、そんなとき!」

 お兄ちゃんの言葉を遮り、パンッと手を打つ。

「お兄ちゃんは運命の出会いをするのです。それが放課後の体育館で一人バスケの練習をしていた浩介さんでした」
「……………」
「浩介さんに出会ったことで、お兄ちゃんは暗黒から脱却し、キラキラな青春……うわわ」

 再びクッションを顔におしつけられた。

「お前、もう黙れ」
「えーこれからがいいところなのにー。ねえ? 聞きたいでしょ? 浩介さん」
「え……あ……」

 浩介さんは戸惑ったような表情をしている。

「浩介さん? どうかした?」
「あ、いや……、慶がお姉さんと仲良かったって話は聞いたことあったけど、そんな時代があったのは初耳で、びっくりしちゃって」
「そっか。もー、あの数ヶ月は家庭内すっごい険悪な雰囲気でホント最悪だったんだよ。ねーお母さん?」
「本当よね。どうなっちゃうのかと思ったわよねえ」

 母もうんうん肯くと、お兄ちゃんはブスーッとした顔をして、

「あーはいはい。すみません、すみませんでした! 申し訳ありませんでした!」
「椿もお嫁に行くのに慶のこと気にして気にして……」
「それは昔、椿姉にも謝ったよ!」

 勘弁してくれ、とお兄ちゃんは立ち上がった。コーヒーのおかわりをしにいくらしい。

「だからね、浩介さんには感謝してるんだよ。あの暗黒お兄ちゃんを元にもどしてくれて……」
「え……そんな」

 浩介さんが目をまん丸くしていると、母が「そういえば」と人差し指を口にあてた。

「前から思ってたんだけど、浩介君と椿って似てるわよね?」
「え」
「ちょ、お母さん」

 私もそれは高校生のころから思っていたけれど、触れないでいたんだよっ。

「ねえ? 南もそう思わない?」
「あー……」

 母が気にせず言ってくる。

 いやいやいや、それ、微妙じゃないですか? だから好きになったみたいな感じしちゃうし。
 しかも今の話の流れも、大好きなお姉ちゃんを取られて暗黒時代に突入したけれど、似ている浩介さんが現れたから元に戻れた、みたいになっちゃうじゃん。

「ちょっと、お母さんっ」
 台所から慌てたようにお兄ちゃんが戻ってきた。

「変なこといわないでくれる?」
「別に変なことじゃないでしょ」
「変なことだよっ」

 お兄ちゃんのこの慌てよう……。
 え、もしかして、自覚あったの?! 浩介さんとお姉ちゃんが似てるって!

 お兄ちゃんは焦ったような顔をして、浩介さんの隣にすとんと座ると、

「浩介、あのな、そういうことじゃ……」
「え、そういうことって?」
「あ、いや……」

 口をつむぐお兄ちゃん。
 浩介さん、大きく瞬きをして、お兄ちゃんを見返した。

「おれ、似てる?」
「え、あの………」

 お、お兄ちゃん、墓穴掘らないでよ?!
 そこへ母が空気を読まず、横から口を出した。

「似てるわよー。だから一緒に台所に立ってても違和感がないのね」
「お母さんっ」

 お兄ちゃんと私、再び同時に叫んだ。きょとんとする母。
 そんな中で………

「わあ………嬉しい」
「え」

 ほうっとため息をつくように、浩介さんがつぶやいた。

 ………嬉しい?

「嬉しいって……浩介?」
「だって、嬉しいよ。すごく。すっごく」

 お兄ちゃんににっこりとほほ笑みかける浩介さん。

「この23年の疑問にやっと答えがもらえた感じ」
「23年の……疑問?」

 お兄ちゃんはもちろん、私も母も、ハテナ、と首を傾げた。
 でも、たぶん、浩介さんにはお兄ちゃんしか目に入っていない。見ているこちらが照れてしまうほど、まっすぐにお兄ちゃんの瞳だけを見つめている。

「おれね、ずっと不思議だったし不安だったんだよ。どうして、慶はおれを選んでくれたんだろうって」
「不安て」
「不安だよ。慶はいつでも強くて綺麗で輝いてて眩しくて……。おれなんかと一緒にいていいのかなって思うし、おれなんかふさわしくないっていつも思ってるし」
「浩介……」

 え……と声をあげそうになるのを、口を押さえてこらえる。浩介さんてばそんな風に思ってたんだ。
 横をみると、母も同じように、口を押さえて話の成り行きを見守っていた。うん、余計なことを言わないようにそのまま口押さえておいて!お母さんっ。

「でも、よかった」
 浩介さんはふと目もとを和らげた。

「慶の大好きなお姉さんに似てるっていうのが理由なら、納得できるというか……ちょっと自信がつくかも」

「……………あほかっ」
「いてっ」

 ゴンっと、浩介さんのこめかみのあたりに、お兄ちゃんのゲンコツが思いきりヒットした。い、痛そう。

「ばかばかしくて話しする気にもなんねー」

 立ち上がり、浩介さんを正面から見下ろすお兄ちゃん。

「なんでそうなるんだよっ。おれは別に椿姉に似てるからお前のこと好きになったわけじゃねーよっ」
「慶」
「おれにとってお前は……っ」

 わあ!!こんなシーン目の前で見られるなんてー!!……って息をひそめて見つめていたのに……
 はた、とお兄ちゃん、私とお母さんがいることを思い出してしまったようだ。 

 お兄ちゃん、気の毒なくらいバーッと顔を赤らめると、

「そ、そろそろ帰るぞっ。おれ荷物取ってくるっ」

 わたわたとリビングから出て言ってしまった。
 ちぇー。もっと聞きたかったのに……。

「慶があんなこというなんて、ねえ?」
 母がクスクス笑いながら、私のことを肘でつついてきた。

「ああ、面白かった」
「面白かったってお母さん……」

 意外とうちの母、性格悪かったりする。

「浩介君、もっと自信もって大丈夫よ? 慶はあれで一途な子だから、ずっとあなたのこと好きでいるわよ」
「お母さん……」

 浩介さんはどう受け取ったものかと戸惑っている感じだ。

「でもなんで僕なんかを……」
「僕なんかって」
「あの、お姉さんと僕って、どこが似てますか?」

 浩介さん真剣……。
 母は、んーっと一度上を向いてから、人差し指をピッと立てた。

「真面目なところ。優しくてフワフワしたところ。それでいて中では激しい感情が渦巻いているところ。……ってとこかしら?」
「……………」

 浩介さんが驚いたように目を瞠った。

 真面目と優しくてフワフワはともかく、激しい感情が渦巻いている? お姉ちゃんと浩介さんが?

 ハテナハテナハテナ、と思っているところに、西子とお兄ちゃんがリビングに入ってきた。

「お母さーん。てっちゃん今からお風呂入るっていうから、今のうちに帰りたいんですけどっ」
「浩介も帰るぞ。明日早いんだろ?」
「あ……うん」

 浩介さんはお母さんとまだ話したそうだったけれど、自分とお兄ちゃんのコーヒーカップを持って立ち上がった。

「下げるだけでいいわよ。洗うのはいいから置いておいて」
「はい」

 台所に行きながら、浩介さんとお母さん、何かコソコソ話している。なんだろう……。
 でも、それが終わってこちらをむいた浩介さんは何か憑き物がとれたようなスッキリした顔をしていて……

「西子ちゃん、今日はビックリさせちゃってごめんね。明日頑張ってね」
「うん。ありがとです」

 浩介さんに両手でピースサインをつくってみせる西子。そういえば明日クラス対抗のバスケットボールの試合があるんだった。

 毎回恒例の、母のあれ持って行けこれ持って行け攻撃で、きた時の倍の荷物を持って渋谷家を後にした私達。

「浩介さん、さっきお母さんに何て言われたの?」
「え」

 ピッと車のロックが解除された音。浩介さんは、にっこりとすると、

「内緒」
「えー」
「じゃ、南ちゃん、西子ちゃん、またね」
「えー」

 私のブーイングをものともせず、運転席に乗り込む浩介さん。
 お兄ちゃんも眉をへの字にしたまま、助手席に乗り込み、こちらに手を振った。

「じゃあな、気をつけて帰れよ」
「えー」

 答えてくれないまま、二人を乗せた車はいってしまった。
 くそー。気になる……。

「ちょっと戻っていい? おばあちゃんに聞きにいってくる」
「ダメダメっ。早く帰ってくださいっ」
「えー」

 西子に拒否られ、しょうがなくこちらも車に乗り込む。

 諸々疑問点に関しては、おいおい追求していくことにしよう。
 今日は思いのほか、おいしいシーンをたくさん見られた。今書いている小説のネタに使えそうだ。
 とりあえず、お兄ちゃんと浩介さんがいまだラブラブだということが確認できて、満足のいく一日となった。


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ということで、南ちゃん視点でした。

長々と書いてしまった……。

「あいじょうのかたち」の私の中の最大目的(?)は、『浩介救済』なんです。
浩介は、自分が慶に愛されている、ということは分かっているのですが、
なんで自分なんだろう?っていう不安をずっとずっと抱えているんです。
なんでこんなに綺麗で完璧な人が自分なんかを求めてくれるんだろう……と、不安で仕方がない、という……。

慶母が浩介に言ってくれた言葉、は、また後日。浩介視点の時にでも書きますかね。
浩介さん、今の幸せを壊させないために、とうとう両親との対決を決意いたします。
でも次回は、順番からいったら慶なので、慶視点いっときますかね。


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