きのうはやあるきのじいさんにおいぬかれる

犬と酒依存症のおっさんが、車椅子を漕ぎながら、ネガティブに日々見たり聞いたり感じたりした暗めの話題を綴ります。

「脊髄損傷(頚髄損傷+胸・腰髄損傷)のある方へ・大阪府」を要約してみた。その3

2020-03-26 20:02:18 | 脊髄内血管腫との邂逅
⑧脊損者と定期検診
【要約】直接の因果関係はないが、40代以降の脊損者の生活習慣病などの有病率が高い。また、市町村の成人健康診断が車いす使用者の受診に配慮できていなかったり、胃部X線検査のバリウム服用が脊損者にとって禁忌事項であったりすることなどから、成人検診についても脊損専門医に相談が必要。
【一言】生活習慣病は今のところ大丈夫だが、「バリウム服用は禁忌」というのは初耳。無茶苦茶大事なことだが。そもそも脊損専門医というのがいるのか。

⑨脊損者が常に注意しなければならない副次的症状・疾患等
【要約】a床ずれ(褥瘡)、b尿路感染、c呼吸障害、d胃腸機能障害(イレウス、胃アトニー、呑気症、憩室など)、e痛みとしびれ(幻覚痛、損傷した脊髄神経の損傷面や神経伝導路への刺激、姿勢が原因の痛みなど)、f骨粗鬆症、g異所性骨化、h皮膚と爪の異常、iウイルス感染症やバクテリア(細菌)感染症、蜂窩織炎・蜂巣炎、j体重増加
【一言】aに関しては今のところないが注意は必要。入院時に、麻痺のため寝返りが打てない時期に一度褥瘡になりかけ、2時間に一度看護師に体の向きを変えてもらった時期があった。睡眠不足できつかった。bに関しては、ときどき濁るが、大事に至った(抗生物質投与)のはこれまで2度。頻度として多いのか少ないのかは分からない。cは「頚損と高位胸損は、呼吸筋の機能にマヒの影響が出るので、くしゃみや咳払い、嚥下がうまくいかず、タンなどが肺に溜まりやすくなり、肺炎や呼吸器系の病気になりやすくなる」とのこと。これは関係ないと思っていたが、確かに咳払いが上手くいかなくなったのは確か。いつも喉に何か引っかかっている感じ。dに関しては今のところない。eについては、なんとも言えない。痛いというのと違和感があるのとが半混ざり。不快感は常にあるが。fは「受傷後数ヶ月で骨の密度が著しく低下し、正常の半分程度になるとその後はほぼ安定」し「足をぶつけたり、脚をひねったりすると容易に骨折する」とのこと。まさにその通り。一方でgはまだない。hは「巻き爪や陥入爪が皮膚に食い込んで出血したりする」らしいが、爪の形は確かに少し変になった。ラン時代にも爪剥がしたりとかしたし変形もしていたがそれとはまた別の感じ。また「水虫になると自然には治らず広がる」らしいので気をつけねばと。iは今のところない。jはいつも危うい。「必要なエネルギーは通常の2/3から1/2程度にまで減少」しているのは確かで、食事量も以前より少し減ったのはそういうことも関係しているように思う(ただ飲酒は少し戻った)。水泳以外の車いすスポーツは脚や体幹の筋肉を使わないので、それほどエネルギーを消費しないらしいが、とりあえず、漕ぐことは続けなければならないとは思う。

⑩トータル・リハビリテーション(全人的リハビリテーション)について
【要約】脊損者へのリハビリテーションは、医療的リハビリテーション(安静期・回復期・固定期)にとどまらないトータル・リハビリテーション(全人的リハビリテーション)としての訓練プログラムがある。前期訓練は、安静期から回復期にかけての医師の指示に基づくものであり、ベッド上や病棟での生活指導と訓練、基本的な運動機能や動作についての訓練で、排尿と排便のための訓練も始まる。多くの場合この時期は「障害受容」しきれていないが、本人が現実を受け入れて、乗越えるしかない。「強引に始まる」前期訓練を乗越えれば、1~3ヶ月後には訓練の効果が実感できる。
後期訓練は、日常生活に結びついた目的のある動作の訓練で、ここでの目標は、IADL(手段的日常生活動作能力)で、床面と車いすとの間の移乗、車いすと自動車との乗降、起居、整容、入浴、排泄、更衣、移動、食事などの日常習慣的生活動作、買い物、炊事・調理、洗濯、掃除などの家事動作、さらに、日常生活や社会生活に関わる動作、パソコン操作、自動車運転、公共交通機関利用、外泊訓練へと広がる。体調管理の面からは、脊損になってから約3年で一通りの状況を経験し安定する。約6ヶ月の医療と生活のためのリハビリテーション訓練と、約3年後の生活上の身体的安定は別のものなので、この間は我慢と注意が必要。
【一言】リハビリの先生はともかくとして、病院の看護師さんは、入院中の事故防止に神経注いでいるのか、退院後に向けてのスキル習得にはあまり熱心ではなかったように思う。日常生活や社会生活に関わる動作をもう少し、やっておきたかった。事故がない限り外出も必要だったということが今になって分かった。後期訓練は、実生活上の動作なので、帰宅してから要領を身に付けたものも多い。説明では、まだ生活上の身体的安定はしていない、ということらしい。後1年後に安定するのか、まだ2年だがもう安定しているのかよく分からない。

⑪トータル・リハビリテーションの復帰期と発展期
【要約】医療的リハビリテーションを終えて退院してから、職業的リハビリテーションや社会的リハビリテーションといわれる時期がある。脊損者は、退院後の生活復帰と再建、在宅生活や社会生活に向けて、特に就労のための職業的リハビリテーションや、障害を持った状態で社会に出て行くための様々なノウハウ(情報や知恵)やハウツー(方法)やスキル(技術)などの「脊損の生活技術(生活力と社会力)」を獲得するための社会的リハビリテーション訓練プログラムがある。社会は標準的な仕様の対応しかできていない。様々な問題に柔軟に対応して適応するには、なおいっそうの工夫や努力が必要になる。
【一言】より実際的な訓練、ということか。「脊損の生活技術」を身に付けるということは、「脊損の生活スタイル」を確立するということ。「慣れる」というコトバは、正直あまり好きではないが、この好きではない状態も、そのうち気にならなくなるのかもしれない。それが「慣れる」ということなのだろうが。

せきそん、というカテゴリーでくくられる世界が確かにあるように思う。

最近やっと、そういうことに漸く気付き始めたという感じ。そういう世界というのもちょっと変な感じだが。
ただ、気付くことで、ああ、特別なことではないのだなと安心できるようになったのも確か。