映画や芝居などの
着物やヘアがステキなのは、
そこにストーリーを
感じるからだと思います。
そんなことを実感させてくれたのは、
「コスメときもの」ののんさまのブログ
蝶子の微妙に変わっていく立場を
髪型で説明してくださいました。
で、こちらは立場や性格をきもので
表している例として、
先の「おはん」で紹介。
おはん(吉永小百合)とおかよ(大原麗子)、
二人のきものがとても対照的です。
さて、この物語は、
おはんと所帯を持っていた男(石坂浩二)が、
おかよという芸者といい仲になり、
一緒に住んでいるのですが、
そこに元女房のおはんと逢い、
密かに会い続けるというお話。
つまり元女房が、
愛人みたいな立場になると
いう込み入ったお話。
二人のあいだを行き来する男の
心のアヤなるものが骨子
ではあるのですが、ここではパス
二人の女のきものが対照的で面白いのです。
アンティーク派VS紬派、
といったところでしょうか。
芸子おかよは、最初派手な襦袢で登場、
ほとんど、紫、青といった
明るい色のきものを着ています。
DVDはなく、ビデオなので映像が悪い
それに対し、
おはんのほうは一見地味な紬。
でもよく見てみると、
半襟の黄色、帯締めの赤、帯の赤、
紺、白、そしてちらりと見える襦袢に、
とても鮮やかな色を使っています。
幸吉とよりを戻すシーンでの
襦袢姿は見事に鮮やか。
つまり一見大人しく見える女の
秘めた情熱、をきもので表現
おかよと一緒にいながら、
幸吉は元妻のおはんとも家を
借りたりするのですが(コイツ)、
そのシーンでは明るいオレンジに緑の帯
歓びをきもので表しています
初見のときには、
おかよの派手なアンティークに
心魅かれましたが、
今回見直してみると、
心情をうまく表したおはんのきもの、
すごいなと見直しました。
おはんの秘めた色っぽさが
ビンビン伝わってきます。
うーん、上級テクだな(笑)
子供を亡くしたおはんが
幸吉のもとを去るラストシーン、
電車を待っているおはんがなぜかひっそりと、
笑いともいえない笑みを見せます。
このシーンの吉永さんの美しさ、
不可思議な女心。
「細雪」とは別の、妖艶な美しさです。
監督は「細雪」と同じ市川昆。
この方は大原麗子さんの
「ちょっと愛して長~く愛して」の
CMフィルムも撮っています。
この名コピーは
樋口可南子さんの夫君である
糸井重里氏です。
名だたる人たちの力が結集した名フィルムです。
吉永さま、
この映画で日本アカデミー賞を受賞、
作品も日本アカデミー賞など数々の賞を
授かっていますが、
残念ながらDVDにはなっていなんですね。
DVDにして、
ぜひ後世まで残して欲しい作品です。
きものは繊細な女心の表れでございます。
応援ありがとうございます。