マイ愛読書、稲葉賀恵さんの「マイ・フェイヴァリット」(集英社)
何度もページを開いてはいたのですが、
いつもはきものを「眺めて」ため息をつくだけ。
今回はゆっくりと読んでみました。
前には気づかなかった、
いや、気づいてもスルーしていたこの言葉が
心に染み入りました。
「お一人でお寂しくはないですか」
この言葉は、稲葉さんが、「一目ぼれ」した
お坊さまに伺ったお言葉。
なんといういいお顔、表情。
お坊さまは、奈良の大宇陀にある臨済宗のお寺、
松源院の泉田宗健ご老師。
初めてその方を目にしたのは華やかなお茶会。
「盛装した人たちが集うなかで、手紡木綿の藍染の僧衣」
という質素なお姿。
稲葉さんはおっしゃいます。
「~~清浄な空気があたりを包んでいる。~~
なんと新鮮だったことか」
ぜひもう一度お目にかかりたいと切望し、叶い、
禅の世界を垣間見た稲葉さま。
「~~お一人で~~」という問いを
投げかけたというもの。
大学を出て修行の道一筋。
そんな初対面のお坊さまに、こんな
投げかける稲葉さまもエラいけど、
お相手がそれを許容する雰囲気を
醸していたんでしょうね。
稲葉さまの表情も素晴らしい~。
品格は表情に現れる?
で、そのお答えが素晴らしい。
「人は、本来孤独であると、
ということをかみしめて
生きていきたいと思っております」
シーン。
しかしまあ、ここまでは想定内のお返事。
キメのセリフは、
「~~本当の美しいものというのは、
一人でいないと見えてこないものですよ」
おお!!
「あれ、面白かったよね」
「これ、きれいだよね」と、
誰かに賛同を求めてようやく「面白い」
「きれい」と納得する俗な世界にあって、
「本当の美しさは~~」という言葉は
心に響きます。
まてよ、同じような言葉を耳にした覚えがある。
記憶をたどってみると、
「~~周りの人たちの顔色を読み、答え合わせするのも
ときには必要かもしれないけど、自分が「面白い!」と
思うもの、自分だけでも信じること大事ヤン」
おお、又吉さんでした。
道を追求する人は、
同じような考えで日々を過ごしているのね。
では再度復唱。
「本当の美しさというのは、
一人でないと見えてこないものですよ」
でワタシも~~。
「ホント、KYなんだから~~」との子供たちの声が
聞こえてきそう。
もう一つ、気になったのは「木綿藍染の僧衣」
同じようなことをスタイリストの原由美子さんも
かつて、おっしゃていました。
「パリコレでパリに行ったとき、
街で掃除婦のおばあさんが
着ている藍色の服の美しさが印象に残った~~」
20代だったワタシは
「パリコレに行って掃除婦のおばあさんの
服装がきれいだった、ですか」と思ったものですが、
今ならわかるような~~。
確かに藍は美しい~~。
パリコレ借り写真です。
コムデギャルソンの川久保さんも。
それも色あせた藍は、
竹内まりあの「人生の扉」じゃないけど
~~美しい~~。
モダンなきものにも藍。
これだけは、
「どんだけ多くの人を敵に回しても
ワタシ一人でも本当に美しいと~~」
何一人で力んでいるのやら。
「一人でないと本当の美しさは~~」というより
「我田引水」、悟りには遠い~~紫苑でした。
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