閃き

変化も気付く事も無い平凡な毎日の中にきっと閃きがあるはず。閃きを求めた記憶

老齢の技術者

2016-06-09 07:37:25 | 閃き
南へ出張して老齢の技術者と面談し、会食する事になった

午後3時、海辺の市場に併設してある商業施設で待ち合わせた

駅からバスで到着すると、丁度その技術者も到着したところの様で、片手をあげて挨拶した

それから潮風を感じられるテラス席に腰を落ち着け、飲み物を注文して商談に入った


老齢の技術者は御年70歳になる

弊社とは未だ直接のお取引は無いが、古くからある友人を介して知り合って以来のお付き合いである

お付き合いと言ってももっぱら技術情報の交換が主で、その後一杯酒を呑むのが楽しみだという程度のお付き合いである

技術者は日本内外の特定の会社にたいして技術指導して生計を立てている程の実力者で今も現役である

その技術者からとある商品の製造販売を引き継いで欲しいと依頼があった

年間に大した売上げにはならないが、ある商品を委託製造している業務である

高齢になったので今の内に後継に譲ろうというお噺である

社内で検討した結果、お受けする方向で進める事にした


移行までの詳細について打合せ双方が納得した所で、恒例の一杯会に移った

静かな海が一望できる眺めの良い席を予約して頂いていたので、雰囲気だけで酔いそうである

近海の海の幸を肴に酒がすすんだ


老齢の技術者は最近の技術は開発に対する日本企業の姿勢には不満をもっている

特に大手企業は失敗を恐れて手を出さなくなったし、新しいことに対するイノベーションが無くなったと嘆いた

大学や公設試も独立法人化され予算確保の為に開発した技術(特許)を海外へ売りさばいている

日本の税金を利用して作り上げた最先端の技術は、日本に購入するだけの会社が無いのでやむなく海外へ販売してでも運営資金を作らねばならないのが現状なのだ

技術の国際交流の名の下に各国からの研究者を受け入れ、最先端研究チームにも容易に加え教えている

この様なザルのような対応で本当に良いのであろうか?と老齢の技術者は嘆く

後5年は頑張ると言い張る姿には今の日本には無い力強さを感じた