ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

僕らは今日にしか死ねない

2017-02-10 21:51:14 | Weblog
見知らぬ少女が死んだという

外国で戦渦に巻き込まれたのではなく

事件や事故でもなく

闘病生活を送っていたわけでもない

元気だった少女が突然、死んだという


不条理という言葉が浮かぶが、少し青くさい

もう長いこと生きてるんだから


僕らは他の生物との違いを見せつけるため

心に思想や希望

それから理想や尊厳、努力、未来

さまざまな、美しいと感じる物を作り上げてきた

良かれと思い、作り上げてきたのだ

そして、その心の風景を眺め、うっとりしていた


しかし、こうして少女が突然、死んだ時

それらの建物が揺れだし、崩れそうになり、僕らは動揺を隠せなくなる

どうしたのだろうかと?


他の生物たちが、僕らを蔑むような目で見ている

「もう、いい加減分かれよ」と

僕らは明日に死ねない

みんな今日、死ぬんだ

3日後の今日、30年後の今日、50年後の今日


僕らが生命の一員である限り、死は特別なことじゃない

そんなことまで忘れていた。忘れようとしていた

心の埋め立てに夢中になって

そんなことまで忘れていた
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