ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

竜王戦、新人王戦から見えたもの

2018-10-14 08:02:13 | 将棋
いよいよ竜王戦が始まりました。羽生さん、やはり強かったですね。このタイトル戦が始まると、今年も終わりに近づいたかとせかされる思いになります。羽生竜王、挑戦者の広瀬八段ともに充実しているので、内容的には素晴らしいものが見れるのではないでしょうか。

改めて羽生善治の執念を感じさせました。感想戦での羽生さんの顔は紅潮し、興奮を隠せない様子で、時折、笑みすら浮かべる広瀬八段の顔と見比べると、どちらが勝ったのかよくわからないほど対照的でした。これまでの数々のタイトル戦で、羽生さんに対して執念で上回った棋士がいただろうか?いたとすれば、僕の知る限りでは、1995年の王将戦の谷川浩司しか思いつきません。自らも被災した阪神・淡路大震災。そのさなかに行われた王将戦。「師弟」からそのまま引用すると羽生さんは「最終第七局の、最後の一手を指す手つきが、重々しかったのが印象に残っています。谷川先生は、普段、軽やかな手つきなんですよ」と語っています。

羽生さんは今回の竜王戦で負けたら、タイトル100期は達成できないと考えていると推測します。昨年の渡辺明竜王を破り、永世七冠を達成したとき「これが最後のチャンスだと思っていた」と語っています。おそらく今回も似たような思いはあるでしょう。羽生マジックの成分は執念でできていると僕は思う。そんな羽生さんに広瀬さんが勝つのは容易ではありません。

その前日に行われた藤井七段と出口奨励会三段の新人王戦第一局も激しい競り合いになりましたが、やはり最後に勝負を制したのは藤井聡太でした。羽生さん、藤井さんに負けた二人に共通するもの。好青年。優しいんですよ。人間にとって優しさは尊いものだと思います。しかし勝負師としては、マイナスに作用することが多いですね。出口君も今すぐプロになっても、好成績を残せるだけの力を秘めていますが、現在23歳ですから、あと3年でプロになれなければ、基本的には退会となります。三段リーグについては、再考する余地はあると思いますね。

広瀬さんも、若いころから、西の豊島、東の広瀬というほどの才能を持っている棋士ですし、実力的には羽生さんを上回っているかもしれません。しかし、もって生まれた性格というのは、なかなか変えられるものではないですからね。羽生さんのような執念を持てというのは酷な話です。果たして藤井聡太君の今のモチベーションは羽生さんのように長く続くものなのか?それは容易ではないけれど、彼が大成するためにはものすごく大切な要素ですね。


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