ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

初恋の遠い空

2018-12-08 00:08:12 | 
「中学の同窓会、来る?」
同じ高校の他のクラスの少女が僕に問う
机を挟み僕の目の前に立つ美しい君
卒業から一年も経ってなかったが
ショートカットだった君の髪は背の方まで伸び、大人びて見えた

君が教室を去った瞬間から周囲は君を僕の彼女だと信じ込んだ
本当に迷惑な女
苛立ちと憧れが中学の頃から変わらない
彼女と話すと言葉が短く切れてしまうのも変わらない

帰る方向が同じだからたまに自転車を並べて話し、また話さず
粋がりのセブンスター、矢探れのマルボロ
君は注意もせず、嫌な顔もしないので僕は悲しくなった

その時彼女は言った「背、伸びたね」と
今は長身の彼女より僕の方が背が高い
それが男らしさと幼い勘違いをして僕は満更でもない

「彼女出来た?」
出来たとでも言えば、君は僕の肩を揺すって祝福するだろう
本当に気に食わない
告白でもしてやろうか
しかし、僕の高々15年のプライドが鼓動を高鳴らせそれを許さない
こんなに近くにいるのに、君ははるか遠い空

コメント
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