ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

藤井聡太、2018年この一手

2018-12-30 18:31:52 | 将棋
12月28日、藤井聡太七段は今年最後の対局を白星で飾りました。対局相手が気の毒になるほどの圧勝でした。終盤に見せた5七桂、凄い踏み込みでした。この将棋の棋譜で名前を伏せていたら、僕は谷川浩司九段をまず思い浮かべていたはずです。藤井君の将棋はサッカーでいえば、ディフェンシブに構え、相手のわずかな隙を逃さず、鋭いカウンターで確実にゴールネットを揺らすタイプだとは思うのですが、時にこうした激しい将棋も指せるんですよね。

今年印象に残った一手ですが、AI超えといわれた対石田五段戦の7七飛車成り、対里見女流四冠戦の1八歩打ちも一瞬の逆転劇でした。それでも僕の中では、やはり最年少棋戦優勝を飾った朝日オープン決勝、広瀬八段戦(当時)の93手目、4四桂打ちですね。飛車にタダで取られてしまう場所なんですが、結局、広瀬さんは取ることができず決め手になりました。まさに天才の一手でした。

現在、個人的な見方では佐藤天彦名人、広瀬章人竜王、豊島将之二冠、渡辺明棋王が四強で、それに続く10人ぐらいのグループの中に藤井君も含まれていると思われます。来年はトップグループに彼が肩を並べ、一気に抜き去ることさえ可能性はあるのではないでしょうか。16歳という伸び盛り、若さの勢いは時に想像を超える事がありますから。初タイトル、大いに期待したいです。

それにしても藤井聡太は凄い。平成の将棋界はずっと右肩下がりでした。今から12、3年前、当時新人だった糸谷哲郎八段は言いました。「斜陽産業の将棋を僕らの世代で立て直したい」と。その言葉通り、糸谷さんは将棋の普及に東奔西走するのですが、彼も予想していなかったでしょう。この2年のV字回復は。藤井君のこれまでの棋士にないスター性、それと糸谷さんを含めた若い棋士を中心とした熱心な普及活動が実り、奇跡は起きました。タイトルも新たに叡王戦が加わり、女流タイトルも一つ増えるそうです。これからさらに将棋界を発展させるためにも藤井君の活躍は不可欠です。16歳の肩には重荷かもしれませんが、藤井聡太ならばできるはず。彼は将棋界の未来です。
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まだ1日あるからわかりませんが、多分年内最後の更新になると思います。今年一年ありがとうございました。よいお年を。
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