棋王戦が開幕しました。第1局は挑戦者の藤井五冠が渡辺棋王に先勝しました。
個人的に印象に残ったのは、渡辺棋王が桂馬で金取りをかけた局面です。藤井玉を守っている金なので、このまま取られてしまえば厳しい。かといって逃げ場所も難しく、下へ引くぐらいかと思いましたが、左上に金が移動しました。これは気づきにくい手です。金でなく銀なら自然なのですが。
しかし、この手が勝敗を分けたのではないでしょうか。AIも最善手に推奨していました。
次にこの金がさらに上がって渡辺棋王の馬とぶつかり、結局は馬と金を交換する展開になりました。ここまで進むと藤井優勢がはっきりしてきました。
最終的には藤井五冠が粘る渡辺棋王を振り切りました。
ところで、この棋王戦、先手後手を決める振り駒で珍しいことがありました。歩を5枚振って表裏2枚ずつ、残る1枚は縦に横に立ってしまい、3回目でようやく藤井五冠の先手に決まったそうです。
確率的には相当低いと思うのですが。振り駒役の記録係も冷や汗が出たかもしれません。