約束通り、僕と君は桜並木をゆっくり歩く
4月も10日近くになると
さすがに見頃は過ぎつつあったが
とめどない花びらの涙が綺麗だった
足元には美しい死体が敷き詰められている
僕は普通でない
君はそれを知っているのか
使い捨てカメラで
花や僕を撮る無邪気な君
僕はたまにカメラを取り上げて君を撮る
僕にとっては花より君だから
君は笑顔の多い人だ
でも時折、寂しげな表情を見せる
僕が無理にでも
君との関係を続けようとすれば
僕は罪人になる
君の笑顔を奪い
悲しみの顔に変える罪人
「君の写真、少しくれる?」
「いいよ、別に」
僕は願う
来年の春、君が別の男と花見をしていることを
君の笑顔を護るために