1勝1敗で迎えた第3局は163手で藤井聡太叡王が菅井竜也八段を下しました。それにしても凄い勝負でした。予想通り居飛車対振り飛車の対抗形になり、第2局に続きお互い穴熊に組みました。第2局は同じ相穴熊で菅井八段の快勝でした。それでも藤井叡王は再び穴熊で挑みます。
大雑把に言えば「読みの藤井、感覚の菅井」。この将棋も中盤から終盤の入り口ぐらいまで菅井の感覚が冴え、また、こうした将棋の経験値でも藤井を大きく上回ることもあり、ペースを掴んでいるように見えました。
攻める菅井、守る藤井。藤井叡王も必死に踏みとどまり、千日手指し直し(同じ局面が4回繰り返されること)で先手後手を入れ替えて再戦かと思われましたが、藤井叡王が局面を打開します。飛車を捨てて勝負に出ました。この手はAI的にも良くはなく、菅井優勢に傾きました。
その後もしばらく菅井が攻め、藤井が守る展開が続きましたが、藤井叡王が2二角と9九にいる玉とは随分離れた場所から角を守りに効かせました。対して菅井八段は端歩を突いて藤井玉を縦から攻めようとしましたが、これが疑問手で、この辺りのやり取りで攻守が入れ替わり、最後は藤井叡王らしく菅井玉を即詰みに討ち取りました。死闘と呼ぶにふさわしい激戦でした。
これで藤井叡王が2勝1敗と防衛に王手をかけましたが、菅井八段も充実していて、まだまだ分かりません。
ただ言えるのは叡王戦の持ち時間の短さです。藤井叡王にはよくあることですが、菅井八段が持ち時間を使い切るのは珍しいことです。同じ4時間にしても1分未満は切り捨てるなどもう少し工夫して、対局者に落ち着いて考えさせてあげたいですね。