仮に「藤井聡太八冠達成」となればニュース速報級でしょうが、昨日は将棋界限定のニュース速報級の出来事がありました。朝日オープン1次予選で西山朋佳女流三冠が佐々木大地七段に勝利しました。
佐々木七段と言えば藤井聡太竜王・名人とのタイトル戦十二番勝負も記憶に新しい若手実力派です。快挙と言ってもいいんですが、内容的には完封でした。
西山さんは終盤が強い天才肌の女流棋士です。里見香奈女流五冠とともに女流二強ですが、里見さんも「出雲のイナズマ」ですから終盤には定評があります。しかし、西山さんの終盤の迫力は里見さんを凌ぎます。だからこそ里見さんは西山さんの将棋を徹底的に研究し、西山さんに難のある序盤・中盤でリードすることで西山さんに対抗しています。西山さんほどの終盤の爆発力は男性プロでもそれほどいないですね。
現在、西山さんの直近のプロ棋戦での成績が8勝3敗となりました。10勝5敗でプロ編入試験の資格を得るため、何とかあと4戦で2勝してもらいたいです。
仮に西山さんがプロ編入試験の資格を得たら、あとは西山さんの決断次第です。ただ、西山さんには奨励会三段時代、14勝4敗という成績を残しながら、順位の関係で次点となった過去があります。
14勝して運悪く昇段出来なかった人も何名かいますが、後にみなプロ棋士になっています。だから西山さんはただひとりの奨励会三段リーグで14勝してプロになれていない人なのです。是非、その時の悔しさを思い出して欲しい。藤井名人ですら13勝5敗での1位通過でした。
西山さんは藤井さんの奨励会時代の最後の対局相手でもあります。西山さんは7才年下の天才少年に「頑張ってね」と声をかけたそうです。西山さんは藤井少年の背中をどんな思いで見つめていたのでしょうか?是非、同じプロ棋士として藤井西山戦を見てみたいです。
西山さんの将棋には華があります。現在、王座戦で内容的には藤井名人相手に互角以上に戦っている永瀬王座の将棋に「華がある」という人はいません。永瀬さんは途轍もない努力型ですから。
高い才能を持っていなければ華のある将棋はさせません。魅せる将棋が指せる。その意味からも西山さんはプロになるべき存在です。