悩み続けた日々が
まるで嘘のように
忘れられる時が
来るまで心を閉じたまま
暮らしてゆこう
遠くで汽笛を聞きながら
何もいいことがなかったこの街で
せめて一夜の夢と
泣いて泣き明かして
自分の言葉に嘘はつくまい
人を裏切るまい
生きてゆきたい
遠くで汽笛を聞きながら
何もいいことがなかったこの街で
作詞・谷村新司、作曲・堀内孝雄。1976年9月リリース。
先日、谷村新司さんが亡くなりました。体調不良で休養されていたのは知っていましたが、こんなに早く旅立たれてしまうとは思いませんでした。抜群の歌唱力と曲づくりの才能。温厚な人柄。尊敬できる方でした。ご冥福を祈ります。
「遠くで汽笛を聞きながら」の歌詞を改めて振り返りたいと思います。
冒頭の「悩み続けた日々が~心を閉じたまま、暮らしてゆこう」
この部分は少し後ろ向きにもとれるのですが、今の気持ちは必ず忘れられる日が来るから、それまではとりあえず生きていこうという前向きな受け取り方も出来ます。
3番の「自分の言葉に嘘はつくまい、人を裏切るまい」
たとえ自分が裏切られても、同じような人間にはならないという気高い決意が感じられます。
そして1番の「暮らしてゆこう」が3番では「生きてゆきたい」に変わり、そのため、次に続く「遠くで汽笛を聞きながら」が同じ言葉でありながら、違う響きで捉えられます。
そして最後の「何もいいことがなかったこの街で」
この街に住み始めた頃の気分の高揚まで想像すると少し切ないですね。
この歌詞は人生の本質を間接的に表現しているようでもあります。盟友の堀内孝雄さんと生み出した後世に残る名曲です。
谷村さん、お疲れ様でした。