白雲去来

蜷川正大の日々是口実

「憚りながら」が、有隣堂の売上げ第一位になっていた。

2010-05-18 01:56:03 | インポート

五月十六日(日)晴れ。

 朝起きて、雨戸を開けると、良い天気である。私が、太陽の光がとてもありがたいと思うようになったのは、網走時代の経験によるものだ。北海道の春、特に最北端の街、網走では、時候の挨拶ではないが、本当に春とは、名ばかりで、まだ、ようやく雪解けが始まったばかりの雪の白と、大地の黒だけの景色しかない。春というのは、白と黒とのモノトーンの季節なのである。

 何もする事のない、土、日などの免業日。食事を済ませば、アット言う間に、体から温かさが去っていってしまう。雑誌をめくるときの風、いや空気の動きさえも寒く感じる、網走の春。それでも、昼近くになると、弱々しい春の日差しが、独居の窓から入ってくる。その陽を背中に感じる時、何かとても幸せな気持ちになるのだ。しかし無情にも、その陽は、少しずつ移動する。その動きに合わせて、体も移動させるのだが、一時間もすれば、また亀のように顔や手をすくめて、寒さに耐えなければならない。

 決して、感傷などではなく、雨戸の隙間から差し込む陽を見ると、その頃の事を思い出す。あの時ほど、太陽がありがたいと思ったことはなかった。朝目を覚まして、良い天気だと、それだけで楽しくなるのは、あそこでの経験があったからこそだ。

 珍しく、家族全員ですごす日曜日。上の子供が、近々、体験学習とやらで、二泊三日の行事に出掛けるので、新しいジャージが欲しいとリクエストされ、買い物に付き合った。私は、のんびりと、店内にあるコーヒーショップで読書。

 帰宅したら、古い読者である北海道は、深川市在住の和田さんより、「行者にんにく」が大量に送られてきた。今年のわが家は、「行者にんにく」の当たり年である。千葉に住む社友の田久保君、札幌の石澤君、そして帯広の谷口総本部長と、ご恵送頂いた。  

 また、タイミング良く、全て食べてしまって、なくなると、それが分かっていたように不思議と頂く。ありがたいことだ。子供達は、さすがに無理だが、愚妻と一緒に、天ぷらや、醤油漬け、そばつゆ漬け、冷奴の薬味などで楽しんでいる。

 話は変るが、道友で、尊敬する後輩の一人である横山孝平君から薦められた、「警察庁長官を撃った男」(鹿島圭介著・新潮社)を買いに伊勢佐木町の有隣堂(伊勢佐木町では一番大きな書店)に行ったら、何と、先日紹介させて頂いた、後藤忠政氏の著書「憚りながら」(宝島社)が、有隣堂の文芸書の売上げ第一位となっていた。更に驚いたのは、「品切れ中」と言うのだ。あらためて後藤氏の影響の大きさを再認識した。友人の宝島の編集長に電話したら、非常に感激していた。

Photo ※凄いですね。

 夜は、社友のカメちゃんに誘われて、藤棚の「やまと」へ行った。その後、カメちゃんの馴染みの、すし屋「一休」へ転戦。懐不如意の折、ご馳走様でした。人生の大事な「一杯」、良き友の心遣いで、酒と肴と友情に酔った。感謝合掌。


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