五月二十二日(土)晴れ。
今日も良い天気である。朝食後に、上の子供を連れて事務所へ資料を取りに行く。その帰りにせがまれて有隣堂へ。下の子供は、アウトドアー派で、全く本などに興味がないが、上は、暇さえあれば、「書店に連れて行って」とせがむ。連れて行くのは良いのだが、本の値段もバカにならない。お互いに二冊ずつ買ったら、一万円札がなくなるときもある。今日買った本は、日経PB社から出ている旅名人ブックスのシリーズの中の「上海歴史散歩」。二千二百円プラス税である。お金を払おうと思ってレジに並んでいたら、ちゃっかりと子供が、「はいお父さん」と二冊渡された。懐不如意の折に、上の子供との本屋行きは、嬉しいが恐怖でもある。
夕方は、出かけていた下の子供を駅に迎に行くついでに、駅まで歩いた。ブツブツ言う子供を説得して、帰りも歩いた。週に二、三度は歩くようにしなければ。
夜は、晩酌をしながら「上海歴史散歩」を読んだ。単なるガイドブックではなく、写真も説明も、もちろん上海の歴史の解説もしっかりしていて、大正解であった。今まで、様々なガイドブックを読んだが、この本が白眉ではないかと思った次第。先日、レンタルしたDVDで、戦記映画復刻版シリーズの中の「上海・支那事変後方記録」という記録映を見た。
公開は昭和十三(一九三八)年で、前年に起きた第二次上海事変のその後を撮影したものである。映画は、海上から、上海の外灘(バンド)のビル群をパンしながら映し出すが、「上海歴史散歩」によると、さすがに川辺の景色は変ってしまったが、建物はその時代とほとんど変っていないそうだ。
児玉先生の「児玉機関」や、阿片王として有名な、里見甫が率いていた「里見機関」などの事務所のあった「ピアスアパート」や、「ブロードウェイ・マンション」、「憲兵隊本部」などの建物も現存しているし、「上海ブルース」に歌われた「ガーデン・ブリッジ」もあるそうだ。いわゆるオールド・上海と呼ばれた街並は、近代化の波に飲み込まれようとしているが、日本人が住んでいた戦前の建物もまだかなり残っていると書いてあった。
いつかは、そんな街並を眺めつつ、ディック・ミネの歌った「上海ブルース」でも口ずさみながら歩いてみたいものだ。
※素晴らしい旅の本を読んでいると、本当に現地にいるような気持ちになるから不思議だ。
※興味ある方は、聞いてみて下さい。