白雲去来

蜷川正大の日々是口実

「東京物語」に感動した。

2011-04-05 23:54:55 | インポート

四月四日(月)晴れ。

 良い天気なのだが、花粉が多く飛んでいるらしく、目が痒いは、くしゃみが出て仕方がない。原発事故や地震で避難するより、花粉症のない北海道に非難したいものだ。

 震災から、一ヶ月になろうとしているが、被災地でようやく復興の兆しが見えてきたというのに、それに水を差すように、福島の原発事故が、一向に改善、終息に向わない。これ以上被害が大きくなり、避難地域の範囲が広がったなら、一体、政府はどうするつもりなのか。

 最近は、原発関係のニュースを見るのもアホらしくなって、ニュースそのものに興味がなくなってしまった。酒が飲めないので、ノンアルコールのビールを買って飲んだが、ウェーッ!何じゃこの味は、と思いながら、体調の悪い私が悪いのですと言い訳しながら飲んだ。

 夜は、BSで、山田洋次監督が選んだ日本映画の名作の第一作目、小津安二郎監督の「東京物語」を見た。昭和二十八年の松竹映画で、主演は、「寅さん」の御前様の笠智衆。それに東山千栄子や原節子、山村聡、杉村春子、香川京子、大坂志郎、東野英治郎、十朱久雄などの名優が出演している。

 年老いた両親の一世一代の東京旅行を通じて、家族の絆、夫婦と子供、老いと死、人間の一生、それらを冷徹な視線で描いた作品である。今日の核家族化と高齢化社会の問題を先取りしていたともいえる。

 実は、この映画は、二十代の後半に見たことがあった。当時は、地味で、退屈で、暗い映画だと思って、全く印象に残らなかった。その思いが頭の片隅にあって、録画するのをやめようかとも思ったが、考える事があり、見てみた。

 やはり、若い頃には分からなかった、映画の筋や味わいが、砂漠に水が浸み込むように理解できて、胸が熱くなった。歳をとるということは、感性も成長するということを、実感した。先日、高峰秀子の「私の渡世日記」を読了していたのが良かった。

 久し振りに、見終わった後に、感動して中々眠れなかった。しかし、笠智衆は、「寅さん」のころとほとんど変っていないのが不思議な気がした。

 もちろん原節子もよかったです。明日は、高峰秀子主演の「二十四の瞳」だそうです。

Photo ※当時のポスター。


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東電は、全国にある保養所を解放せよ。

2011-04-05 23:13:18 | インポート

四月三日(日)晴れ。

 昨日、東京行きの電車の中で読んだ「週刊文春」に信じられないような記事があった。それは、福島の原発の事故現場で命懸けで働いている自衛隊やその他の人たちが、前線基地としているのが、原発の事故現場から二十キロほど離れている東電の保養所。

 その保養所には、ホテル並みの部屋が完備されているにも関わらず、鍵をかけて一切使用させず、自衛隊員らは、冷たいタイル張りの廊下にマットを敷いて寝ているらしい。レストランのテーブルや椅子をどかせて、その床にも寝かせているとのこと。なぜ部屋を使わせないのかといえば、「汚れると困る」というのが東電側の理由。ふざけた話ではないか。

 さらに驚いたのは、東電の保養所は全国に二十箇所以上もあるとのこと。「文春」のグラビアに掲載されていた鎌倉の保養所などは、一山丸々使った施設で、そこいらのホテルより素晴らしい。その保養所の一つたりとも東電は解放していないというのだ。原発の事故で避難している人たちは、体育館や埼玉アリーナなどで、それこそ身を寄せ合いながら寝ているというのに、東電は、保養施設をそういった人達のために解放しようとはしない。

 原発の事故現場の第一線で働いている人たちはともかく、「文春」の記事が本当であるならば、会長や社長、その他の役員は、皆国賊と言っても過言ではない。ひょっとすると、いざとなったら自分達が避難するために保養施設を確保しているのかもしれない。そしてそいつらの家族や孫達は、海外に避難させているのかもしれない。それを調べるマスコミはいないのか。

 こういった事実があるにも関わらず、テレビなどのマスコミは、報じようとしない。穿った見方だが、電気という通信の「命」を押さえられているので、東電を批判すると、「計画停電」の範疇に入れられたり、落ち着いたときにCMをもらえないという危惧があるのかもしれない。

 そういえば、新聞をはじめテレビも、一切「メルトダウン」という用語を使用しないのは、各社、各局が東電に阿り、申し合わせをしているとしか考えられない。そうだとしたら、東電は国民の怨嗟の的となり、必ずや、東電の会長や社長は「的」とならざるを得ないだろう。

 東電は、なぜ、自分の保養所の床に自衛隊員を寝かせているのか。

 東電は、なぜ、全国に二十箇所以上もある保養所を被災者や避難民に解放しないのか。

 この問いに答える義務があると思うが、どうだろう。


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こんな時期でも、浮世離れした店は満席でした。

2011-04-05 22:37:05 | インポート

四月二日(土)晴れ。

 久し振りの東京行きである。今日は、夕方からお世話になっている方々から「うなぎ」のご招待にあずかった。私は、鰻で一杯やるのが好きである。しかし、体調はイマイチ。それでも酒を控えれば大丈夫と、自分に言い聞かせて、イザ出陣。

 当初はなぜ四時などという中途半端な時間なのか疑問に思ったが、お店に着いて納得した。五時を回ると、お客が並び始め、一時間待ち位はザラということ。それで、お客の比較的少ない四時になった。お店は、荒川区南千住の「尾花」。私は始めてであったが、東京では知る人ぞ知る名店らしい。

 予約は一切受け付けず、売り切れたら閉店と、店の案内にあった。まずは、白焼きに、うまき。そして「いかだ」。何かと思ったら、白焼きではなく、蒲焼をイカダに見立てて大皿にどーんと出てきた。それを三人前。最後は「うな重」。とてもご飯を完食出来なかったが、さすがに満足した。これで体調が万全であったなら言うことがないのだが、それが少々残念だった。

 下世話な話で恐縮だが、メニューを見ると、とても私のような浪人風情が来れるような店ではない。何しろ「イカダ」の一枚が、「一万三千円位」とあった。定価の後ろに「位」がつくのだ。最初は一瞬見間違いかと思ったものだ。贅沢を言わせていただければ、このお店は「きもやき」がない。まあそれでも充分ですが。

 食事中に、また地震が来た。もう慣れっこになったのか余り驚く人はいなかった。世の中が暗くても、こんな浮世離れした店は満席でした。

P1000107 ※うなぎの名店「尾花」。ウエイティングの人たちです。

 食後は、喫茶店なのにお客が並ぶという「バッハ」へ。ここも始めての店なのだが、コーヒーがとても美味しかった。

P1000108 ※コーヒーの「バッハ」の看板です。

 時計を見るとまだ六時前。たまに行く浅草の、ウイスキーの博物館の「ネモ」へ。ここで軽く飲んで、早々と帰宅した。連れて行って頂いた方々にスペシャル・サンクスである。


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