四月十日(日)晴れ。
良い天気である。早起きして、家族で家の掃除をした。十時過ぎに、子供達を車に待たせておいて、統一地方選挙の投票へ。震災の関係で立候補した人たちの顔や政策があまり分からず、誰に投票して良いのか直前まで迷ったが、やはり保守系候補しかないか。
終了後は、この時期の恒例となっている桜の写真を撮りに出かけた。場所は近くを流れる大岡川である。いつの頃からは知らないが、弘明寺辺りから日の出町の先まで流れている大岡川の両岸に桜が植えられ、この時期になると桜見物の人で溢れるようになった。
私が子供の頃は、大岡川に桜の木などなかったような気がする。当時は、川岸の木といえば柳だった。私の育った黄金町から日の出町の駅に続く川岸には、半分川に突き出たバラックの怪しい飲み屋がズラーッと並び、とても子供が近寄れるような場所ではなかった。それでも、そんな家から通う先輩や同級生がいて、休みの日などは、昼間に遊びに行って、大人たちの世界を垣間見る冒険をしたものだった。黒沢明監督の「天国と地獄」の舞台となった場所として全国に知られた街も現在は、そんな面影のかけらもない。
私がいつも写真を撮る南区役所附近では、屋台が出て、一杯加減の人も多い。橋から次の橋まで一回りするだけだが、本当に桜がきれいだ。最近は、ここの桜の下で子供達の写真を撮るのが恒例となっている。川では、すぐ近くにある横浜商業(Y校)の生徒が川面に浮かんだ桜の花びらを掻き分けてカヌーの練習に汗を流していた。なにやら大きなミズスマシのようである。下の子供は、中学に上がったばかりなので、その制服に桜が良く似合う。
※日本桜の枝伸びて、花は亜細亜に乱れ咲く。意気で咲け桜花、八紘一宇の八重一重。(「桜進軍」)
桜は、日本人の死生観、無常観を体現している。桜の下で、酒を飲ませるといえば、別に外人だろうが、喜んで飲むに違いあるまい。しかし、日本人がなぜ桜を愛し、桜を愛でながら酒を飲むのか。それは咲くことよりも散ることの儚さ、哀れさをに共感し、己の人生と重ね合わせるからである。これは外人さんには分からないだろう。
今回の大震災で、日本人のマナーの良さに世界中から驚嘆する声が寄せられているが、そんなことは桜を愛する日本人には当然の事である。誉めてくれるのは嬉しいが、正直なところ「ナメンナヨ」と言った感じである。
軍人もしかり、陸軍の徽章は桜、海軍は桜に錨。先の大戦で散華なされた方々は、皆、靖国の桜の下で会おうと誓い合ったのだ。
夜は、愚妻がサリー姐さんの主宰する「てきとう会」に出席したので、留守番。慎ましく、ビール一本と、黒霧島を三杯飲んで寝た。