六月二十二日(金)曇り。
今、あらためて野村先生の本を読んでいる。先生の本の中に書かれている言葉を「野村秋介語録」としてまとめようと思っている。もちろん、私の機関誌にも掲載するが、来年は、野村先生の没後二十年と言う節目の年となるので私なりに、先生の知の遺産を遺しておかなければと、遅まきながら思い立った次第である。
友人で、尊敬する山平重樹さんが、以前双葉社より「新宿ヤクザ伝・阿形充規とその時代」という本を上梓した。普段、民族派の指導者としてお世話になっている阿形先生の半生を綴ったものだが、私の好きな一冊でもある。特に、阿形先生の兄貴分であった福岡幸男氏が、かつて新宿で一世を風靡した伝説の男、三声会の三木恢などを射殺した事件のくだりは、どんな実録映画を見るよりも迫力がある。
福岡氏は、無期懲役で千葉刑務所に服役し、そこで野村先生とお会いする。その後、仮釈放となって出所し焼肉店を開店する。そのお祝いに野村先生の代理で行った。その祝いの席には、錚々たる斯界の重鎮の方々が座っておられ、とても緊張したことを良く覚えている。
その「新宿ヤクザ伝」が今度は、文庫本となって発売されるのだが、何と私にその本の解説の大役を仰せつかった。もとより才能のカケラもないので断れば良かったのだが、つい了承してしまった。依頼されたのは、原稿用紙四枚、二千字程度なのだが、緊張して中々手が付けられずにいた。締切は今月一杯なので、ようやく机に向かった。何とか、書き上げたが、どうも納得できない。もう少し考えて、もう一回書いてみることにした。
夜は、我が酔狂亭で月下独酌。