なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

穿孔性腹膜炎

2021年08月13日 | Weblog

 水曜日の当直の時、午前0時過ぎに隣町の救急隊から腹痛・嘔吐の54歳男性の搬入依頼が来た。地域の基幹病院は他の患者さんに対応していて、受け入れできないという。

 当院に来てもらうことにしたが、検査だけして搬送になる可能性があった。当院では外科手術できないので、急性腹症の対応は難しくなっている。

 患者さんは一人暮らしをしていて、聾啞者で筆談になる方だった。救急要請をして親戚の女性がいっしょに来ていた。救急隊の話では、前日(日を跨いだので)の昼から腹痛が続いているそうだ。その後、嘔吐もしていた。

 座位で搬入されたので、膝立をして横臥してもらった。腹部は固く、筋肉が発達している方でわかりにくいが、筋性防御というよりは板状硬かもしれない。腹部の触診では右下腹部に圧痛があるようで、虫垂炎穿孔による腹膜炎を疑った。

 予想通り?これは当院で検査だけして搬送になる。すぐに胸腹部CTを行うことにした。

 CTでは腹腔内遊離ガス像を認めた。胃癌らしい腫瘤は認めない。肝周囲とダグラス窩に腹水貯留がある。胃十二指腸潰瘍の穿孔による腹膜炎だろうと判断された。虫垂炎ではなかった。

 地域の基幹病院の外科医に連絡すると、引き受けてもらえた。搬送は午前1時を過ぎていた。翌朝外科医がCTを見て、球部のガスと胃拡張の所見から十二指腸潰瘍の穿孔だろうと言っていた。

 

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