先週の日曜日に、警察からの連絡で27歳男性が救急搬入された。日直は内科の若い先生だった(女性医師)。
男性は愛知県在住で、県内の高校教員だった。3年前に精神科を受診したことがある(詳細不明)。その日の午前中、市内のある家の敷地内に入り込んでボーッと立っていた。住民が気付き、警察に連絡した。
駆け付けた警察官が、発熱があって問いかけに対する返答がおかしかったので、救急要請した。当院搬入時は体温38.9℃だった。
血液検査でRBC572万・Hb16.9g/dl・Ht50.9と血液濃縮を認めた。BUN39.3・血清クレアチニン1.61と脱水による腎障害があり、CK14604・AST361・LDH574と筋原性酵素が上昇していた。
熱中症・脱水症として点滴を開始した。当初問いかけには、はいいいえの簡単な返答しかできなかったが、次第に話ができるようになった。「旅に出たくなって、当地(東北)に来た」と話したそうだ。しかし、内容が理解できないような発言もあった。
電話を父親につないで話をしてもらうと、まったく普通に会話をしていた(と感じたということ)。電話が終わると、自分で点滴を抜いて走り出した。病院内を走りまわり、数人の職員で囲い込んでようやく落ち着いた。
病院での対応(外来であるいは入院で点滴継続)は困難と判断して、警察に保護を依頼した。病院で抑制して点滴を行うのも困難だ。警察で保護してもらい、できるだけ水分を多く経口摂取させるよう指示した。
電話で父親に事情を説明した。翌月曜に父親が病院を訪ねてきたので、また事情を説明している。おそらく迎えに来た父親に連れられて、愛知県に戻ったのだろう。新幹線なら当地を午前中に出れば、夕方には戻れる。
この青年はいったいどういう病気なのだろうか。内科的には熱中症・脱水症・腎前性腎不全・横紋筋障害になる。現在抗精神薬は使用していないので、悪性症候群ではないのだろう。
精神科的には何か。年齢的には統合失調症かどうかになる。幻覚・妄想はあったのか?。人生に悩んでの行動?とか人格障害の問題とはしがたいようだ。連れ帰った後に父親は精神科を受診させたのだろうか。