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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

直腸癌

2021年08月29日 | Weblog

 金曜日の午前中に施設からFAXが送られてきた。直腸癌の96歳女性が亡くなったという。

 もともとは気管支喘息で通院していた。他院の喘息治療でちょっと有名な先生が診ていた。その病院や地域の基幹病院に気管支喘息発作で入院した既往がある。

 喘息発作で当院に入院したことをきっかけに、退院後は当院の外来に通院するようになった。ICS/LABAの吸入とモンテルカスト内服、心不全の利尿薬内服で治療していた。

 高齢で在宅介護が困難になって、施設(老健)に入所となった。ご本人はその施設がかなり気に入っていた。軽度で認知力低下はあるが、もともと陽気で話好きだった。施設嘱託医が処方するので、当院通院はなくなった。

 2019年の11月に血便が出て、地域の基幹病院消化器内科を受診した。直腸に全周性の腫瘍を認めて、直腸癌と診断された。下部消化管内視鏡検査も治療も拒否した。当時94歳で手術はしないだろうと思うが。

 経過観察となり、当院内科外来に紹介されてきた。本人の希望は、気に入っている施設で過ごしたいということだった。

 その後、持続的に血便はあったが、鉄剤投与で何とか貧血の程度は同じで保っていた。出血量が多くなって、輸血のために3回入院した。(CT像は今年の入院時)

 入院した日から、いつ施設に帰れるか、と訊かれた。施設では血便が続く入所者をみたくはないのだろうが、長年入所しているのと、本人のキャラクターもあり、入所を継続していた。当院としては、悪化時(出血による貧血・ショック)はいつでも入院できることにしていた。

 最期は入院で看取るつもりでいたが、急な出血で一気にショックとなり、そのまま亡くなったのだろう。家族も病院への搬送を希望しなかったようだ。

 大好きな施設で亡くなったので、本人は本望だったのかもしれない。

 

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