なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺癌の自然経過

2021年08月07日 | Weblog

 木曜日に呼吸器外来に来ている(大学病院から)先生から、間質性肺炎・肺癌の88歳男性を入院させてほしいと依頼があった。病状が悪化したというわけではなかった。

 妻と二人暮らしだが、その妻が(肉体的には元気な)認知症だった。家事はできていないが、ヘルーパーさんに来てもらっても揉めてしまうそうだ。詳しくはわからないが警察を呼んだこともあるという。

 別居の娘さんがとケアマネージャーがいっしょに来ていた。患者さんをレスパイト入院として妻から離して病院でみてほしい、という依頼だった。

 患者さん自身はぜひ入院というわけでもないようだが、周囲に言われて納得してようだ。病院で預かった後に、できればそのまま施設に入れたいという希望だった。

 妻の方は内科医院に通院していて、先生にお願いして精神科病院への紹介状も書いてもらったが、受診はしていなかった。

 

 この患者は、5年前から間質性肺炎と高血圧症・心不全で当院の呼吸器科外来に通院していた。3年前に陰影の悪化・呼吸苦で救急搬入されて、救急当番から連絡が来て、地域の基幹病院呼吸器内科に搬送してもらっていた。

 その時の入院時から在宅酸素療法が導入されて、通院は当院の呼吸器外来に戻されていた。2年前の2019年1月の胸部CTで右上葉に結節影が疑われた。

 2019年の胸部CTでわずかに増大していた。年齢と間質性肺炎から治療適応はないので、そのまま経過観察になった。

 2020年4月の胸部CTでは、明らかに増大していた。

 そして2021年8月5日はさらに増大している。

 

 この夫婦には実子はなく、娘さんは1歳の時に養女になった(施設にいたそうだ)。あまり強くは言えない立場ということだが、今回は見かねてこういう依頼になったそうだ。

 別に呼んで話を訊くと、いろいろ困っていたらしく、これまでの経緯をノート1ページに記載したものを見せられた。

 間質性肺炎と診断された際に呼吸器内科からは、5年くらいの予後と説明されたそうだ。年齢は平均寿命を越えているし、何があっても不思議ではないと思っていますと言っていた。

 

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