急性虫垂炎穿孔による限局性腹膜炎で手術となった4歳半の女児の経過。
7月23日(金)の夜間から嘔吐が始まった。おそらく嘔吐の前に軽度の心窩部痛があったと推定されるが、訴えなかったのだろう。
7月24日(土)は38℃の発熱があり、地域の基幹病院を受診した。吐き気止め(鎮吐剤)が処方されたが、内服後に嘔吐した。右下腹部痛を訴えるようになり、夜間に悪化した。
7月25日(日)に同院を再度受診した。受診時には腹痛が軽減していて、診察後に帰宅となった。
7月26日(月)は発熱が続いて食事ができないため、当院小児科を受診した。ケトン血性嘔吐症(昔の自家中毒症)として点滴を開始した。
検査結果でCRPが13.1mg/dlと高値であったことから、腹膜炎が疑われた、腹部単純X線でニボー形成を認めた(麻痺性イレウスの所見)。(炎症をきたした)回盲部周囲には消化管ガスがない。
腹部エコーで右下腹部に腹水貯留と糞石を伴う拡張した虫垂を指摘された。急性虫垂炎穿孔による限局性腹膜炎として、小児外科のある赤十字病院に搬送となった。緊急手術(腹腔鏡下手術)が行われて、経過は順調だった。
小児科の先生は小児科通信を院内メールで流している。この症例では、「下痢を伴わない嘔吐は要注意!(腸重積と急性虫垂炎)」とあった。「虫垂炎は2晩越すと穿孔するが、経過が土日にあったったのが不運だった」、ともあった。
当院の小児科は72歳の小児科医が一人でやっている。基本的には平日日中のみの対応になる。夜間・休日はずっと外来管理している小児だったり場合に緊急性がなければ対応することもある(電話で点滴指示をして翌日診察で対応できる場合など)。
住所からは当院が近いが、土日に基幹病院にお世話になったのは、そういう事情による。当院が後医は名医的になったが、こちらでも思いがけない検査値の異常が診断のきっかけになった。
内科だと、患者さんが心窩部痛→嘔気・嘔吐、発熱→腹痛の右下腹部への移行を訴えてくれる(ことが多い)。そして安易だが、とりあえず血液検査、とりあえずCTで何とかなっている。訴えがはっきりしない認知症の高齢者でもCTが拾い上げてくれる。それに比べて小児はむずかしい。