なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

右下腹部痛

2021年08月26日 | Weblog

 火曜日に市内の医院から、右下腹部痛の35歳女性が紹介されてきた。

 その前の週に排尿時痛で受診して、膀胱炎として治療を受けた。その時から軽度に右下腹部痛があったそうだ。腹部触診を受けて圧痛を感じたという。第3世代セフェム系の経口薬で膀胱炎は軽快した。

 その日は朝起きた時から右下腹部痛がひどかった。同じ医院を受診して、当院に紹介されたという経緯だった。当院受診時は右下腹部痛の程度は朝よりも軽減している。

 腹部は平坦・軟で右下腹部に圧痛があるが、腹膜刺激症状はなかった。医院の検査では白血球10200・CRP0.2と急性期の炎症反応だった(院内でできるらしい)。

 症状としては急性虫垂炎疑いだが、先週の膀胱炎の時からあったこと、朝に強かった痛みが軽減していることは合わない。紹介でもあり、腹部造影CTを行った。

 上行結腸の左側に沿って虫垂が上側に上がって、末端ではくるっと回っていた。虫垂自体はすぐに指摘できる大きさではあるが、壁肥厚とはいえない。周囲脂肪織の炎症像もなかった。

 そして大きな卵巣嚢腫が下腹部正中にある。(子宮筋腫で子宮全摘の既往がある)捻転の症状とするほどの痛みではないようだが、否定はできない。下腹部正中に圧痛はまったくないが、右卵巣だとすると圧痛は右下腹部でもいいのか。

 消化器科医に相談したが、虫垂炎とはいえないと言われた(その日外科医は夏休みだった)。抗菌薬内服で1日経過をみることにした。処方はオグサワ(オーグメンチン+サワシリン)にした。

 水曜日に外来に来た時は、右下腹部痛はさらに軽減していた。前日と比べると、白血球6800・CRP0.9と軽快し始めた時のパターンと思われた。同じ抗菌薬を追加して、来週まで経過をみることにした。

 卵巣嚢腫については婦人科外来に紹介した。腹部エコーの所見と腫瘍マーカー正常域で良性卵巣嚢腫とされた。これは経過をみるようだ。

 卵巣嚢腫が捻転しかけて、治ったところなのかどうかはわからない。

 

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