なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性腎盂腎炎~血液培養陽性

2021年08月19日 | Weblog

 月曜日の午後に、耳鼻咽喉科医から連絡が来て、尿路感染症の66歳女性の入院をお願いしたいという。何故耳鼻咽喉科と思ったが、その日発熱外来を担当していたのだった。

 患者さんはもともと精神遅滞があり、授産施設で過ごしていた。65歳以上になって老人保健施設に入所となったらしい。以前にも尿路感染症(急性腎盂腎炎)で入院した既往があった。

 尿カテーテルが留置されていた。救急外来の看護師さんが尿培養を提出しました、という。どうやって提出したか訊くと、尿カテーテルの途中から出していた。 

 それだと留置カテーテルと尿バック内の定着菌が出てしまう。カテーテル留置の場合は、尿カテーテルを入れ替えて、そこから尿を採取することになっている。改めて尿培養を提出してもらった。

 胸腹部CTで肺炎像はなく、肝胆道系の異常も肝機能障害もない。尿カテーテル留置の場合は、尿を採取すれば混濁して細菌がいるのは常態なので、尿路感染症の診断は除外診断になる。

 尿培養と血液培養から検出された菌が同じにならないと確定診断にはならない。血液培養2セットを提出しようとしたが、看護師さんから取れませんと言われた。

 この患者さんは採血・点滴できそうな末梢静脈がほとんどなかった。血液検査も耳鼻咽喉科医が動脈から採取していた。点滴は右上腕の静脈からかろうじて入れていた。

 左右の大腿静脈から動脈血培養として2セット提出した。本来、鼠径部は採血にふさわしくない。といって、他の動脈から20mlの血液を採取するのは難しい。

 静脈からの血液培養も、20mlの注射器をとろうとすると、少しずれてしまって途中から引けなくなったりする。最近は看護師さんに翼状針を静脈に刺してもらっている。それを当方が20mlの注射器で引くと、楽に血液が取れる。

 動脈からの血液培養でも、当方が翼状針を上腕動脈に刺して、看護師さんに20mlの注射器で引いてもらうのがいいのかもしれない。

 

 尿培養と血液培養2セットから大腸菌が検出された。白血球15700・CRP25.4と炎症反応が高値で、CT(ただし単純)で明らかな腎膿瘍などはないが、発熱が続いて、少しずつ解熱傾向になって来ている。

 抗菌薬は、施設入所者・尿カテーテル留置ということで第4世代のセフォゾプランで開始していたが、セフトリアキソンに変更とした。

 

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