スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

大成建設杯清麗戦&第四部定義七

2024-07-12 19:03:01 | 将棋
 10日に虎ノ門で指された第6期清麗戦五番勝負第一局。対戦成績は福間香奈清麗が44勝,加藤桃子女流四段が13勝。
 大成建設の執行役員による振駒で福間清麗が先手となり5筋位取り中飛車。後手の加藤女流四段が超速銀を採用して6筋で銀が向かい合う形に進みました。終盤で先手に大きな誤算があったため,後手が優位に立って最終盤に。
                                        
 これは☗3二銀までの一手詰めを狙っていますから対応しなければなりません。☖同桂と取りましたが☖同金も有力で,その方がよかったかもしれません。
 後手が桂馬で取ったのは開いた地点に☗2一飛と打たれても大丈夫とみたからのようです。ところが先手は☗2二銀と打ちました。これが後手の読み筋にはなかったようです。
 この手自体は詰めろになっていないので☖4九角成としましたが,これが危険な一手。☖3一金と受けておくべきでした。
 先手は☗2一飛の王手。これに対して☖3一香と受けましたがこれが最終的な敗着とのこと。
                                        
 第2図で手の余裕を得た先手が☗4九銀と馬を取り,これが詰めろとなって逆転しました。
 第2図の☖3一香では☖3一金と打つべきだったとのこと。これは飛車取りになっていますのですぐに馬を取るわけにはいかず,☗同銀成☖同銀☗5一成桂☖4二玉と進みます。そこで☗4九銀と馬を取ることになりますが,その局面は先手玉が詰みなので後手の勝ちです。ただこの手順が難しいということであれば,☖4九角成が実質的な敗着で,先に☖3一金と受けておくべきだったということになるでしょう。
 福間清麗が先勝。第二局は24日に指される予定です。

 良心conscientiaと意識conscientiaに関する考察はこれだけです。次の探求に移ります。
 同じ第六章の中で,國分は第四部定義七に言及しています。これは次の定義Definitioです。
 「我々をしてあることをなさしめる目的なるものを私は衝動と解する」。
 この定義は,ある事柄を衝動appetitusと解するintelligereといわれていることから分かる通り,衝動に関する定義です。ところが國分は,この定義に別の解釈を施しています。これが僕にとっては大いに頷ける解釈でした。ただここではすぐ國分の解釈に入るのではなく,前もって僕の方から前提となることを詳しく説明していきます。それを説明しないと僕が國分の解釈になぜ頷いたかということが理解されなくなってしまうからです。
 『エチカ』では,第一部定理一六にある通り,神の本性の必然性necessitate divinae naturaeから無限に多くのinfinitaものが無限に多くの仕方で生じることになっています。したがって,自然Naturaのうちに存在するあらゆるもの,ここでいうものというのは物体corpusだけでなく思惟の様態cogitandi modiも含むのですが,そうしたものが無限に多くのものの一つひとつを構成するのですから,どのような物体もどのような思惟の様態も,神を直接的な原因causaとして生じるといわれなければなりません。これは具体的には第一部定理二八第二部定理九で示されていることです。
 このとき,神の本性の必然性というのは,僕たちが自然法則といっている事柄と同じです。というか,自然法則というのはもしも物体の世界だけに適用されるのであれば,神の本性の必然性は自然法則よりも広くわたるということになるのですが,スピノザがいわんとすることを正しく理解しようとするなら,神の本性の必然性と自然法則は同じことを意味し,自然法則は僕たちの精神mensの世界にも適用されると解する方が安全です。だから第四部序言ではスピノザは神と自然を等置しているのですし,第三部序言では自然の働く力agendi potentiaは至るところで同一であるといういい方をすることで,それが物体的自然に適用されるわけではなく,知性的世界,あるいは同じことですが思惟の世界にも適用されなければならないということをいっているのです。
 では神の本性の必然性とは,具体的には何を意味するのでしょうか。

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