スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

WTミッドナイト&第四部定理一八備考

2024-07-20 19:10:44 | 競輪
 18日に佐世保競輪場で争われたウインチケットミッドナイトの決勝。並びは久田‐松本‐隅田の四国中国,後藤‐岩谷‐阪本の九州で平原は単騎。
 岩谷がスタートを取って後藤の前受け。4番手に平原,5番手に久田で周回。残り3周のバックに入ると後藤が誘導との車間を開けて後ろを牽制。残り2周のホームに入って久田が発進しましたが,待ち構えていた後藤が突っ張りました。バックに入ってまた久田が叩きにいったものの,そのまま打鐘になり,3番手と4番手,4番手と5番手の車間が開いて周回中と同じ隊列のまま。ホームに戻ってまた久田が発進しましたが,バックに戻って岩谷が番手から発進。久田は不発で松本が自力に転じました。追いついてきた平原が阪本の内にいき,直線の入口では2番手が平原,阪本,松本で併走。外の松本がそのまま外を追い込み,フィニッシュ寸前で岩谷を差して優勝。岩谷が8分の1車輪差で2着。岩谷マークの阪本が4分の3車身差で3着。内の平原が4分の1車輪差の4着で松本マークの隅田が8分の1車輪差の5着。
 優勝した愛媛の松本貴治選手は2021年1月の松山記念以来となるGⅢ2勝目。このレースは平原と松本の力が他と比べて圧倒的上位。松本は久田の番手となったので難しいところもあるかと思っていましたが,後藤の果敢な先行で久田が不発となり,わりと早めの段階から自力を出すことになったので,ぎりぎりで優勝に手が届いたのだと思います。それでみれば後藤はもう少しだけ引き付けた方がよく,よいタイミングで駈け出せていれば,優勝は岩谷の方だったのではないでしょうか。

 ここまでのことを踏まえた上で,いよいよ國分の考察を詳しく追っていくことにします。
                                        
 スピノザは第四部定理一四で,善bonumの認識cognitioも悪malumの認識もただそれが真verumであるというだけではどのような感情affectusも抑制し得ないといっています。もしも善も悪も理性ratioによって認識するcognoscereことができるのであれば,それは道徳的なひとつの結論となり得るでしょう。ところがその認識が感情を抑制し得ないのであれば,結局は第四部定理八の様式で僕たちが善をまた悪を認識することを抑制し得ないことになります。このために,単に善ならびに悪を十全に認識するということは,道徳的な結論とはなり得ないのです。
 これを解決するためにスピノザは自己の利益suum utilisといういい回しをして,それを追求することの重要性を説くのだと國分はいいます。第四部定理二〇第四部定理二四を國分はその代表的な定理Propositioとして示していて,さらに第四部定理一八備考もあげています。その備考Scholiumでいわれているのはある意味で決定的といえますので,ここでも示しておきます。
 「理性は自然に反する何ごとをも要求せぬゆえ,したがって理性は,各人が自己自身を愛すること,自己の利益・自己の真の利益を求めること,また人間をより大なる完全性へ真に導くすべてのものを欲求すること、―一般的に言えば各人が自己の有をできる限り維持するように努めること,を要求する(Cum ratio nihil contra naturam postulet, postulat ergo ipsa, ut unusquisque seipsum amet, suum utile, quod revera utile est, quaerat, et id omne, quod hominem ad majorem perfectionem revera ducit, appetat, et absolute, ut unusquisque suum esse, quantum in se est, conservare conatur)」。
 これらの部分でいわれている自己の利益の追求というのがエゴイズムとは関係がないということは,事前に僕が説明しておいたことから明らかです。ではなぜスピノザがこれらの部分で自己の利益を追求することの重要性を説くのかといえば,自己の利益を追求することこそが他人にも善をなすことに繋がっているからです。これは第四部定理三七でみられる考え方です。
 國分はこの関係を考察しています。つまり,現実的に存在する人間が理性に従って自己の利益を追求することが,なぜ他人に善をなすことに繋がるのかということを考察しているのです。僕はそれを,第四部定理三五を援用した主体の排除という観点から一般的な規則として説明したのですが,國分はそれをもっと具体的な仕方で示そうと試みています。

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