夢幻泡影

「ゆめの世にかつもどろみて夢をまたかたるも夢よそれがまにまに」

秋の故郷   しほれふすまがきの霜の下荻や

2006年11月24日 15時17分50秒 |  気になる詩、言葉
しほれふすまがきの霜の下荻や
       音せし風の秋の故郷

日一日と寒さへ向かっています。
岬へはここのところしばらくご無沙汰。
もう萩の葉もしおれ果ててしまったでしょうか。
秋も帰る故郷がなくなってしまったのかな?
秋の心はどこへ行くのだろう?






西宮秋怨 王昌齢

2006年11月24日 13時48分31秒 |  漢詩を長崎弁で
秋扇の涙の数だけ
  月の影
    風車




芙蓉不及美人粧 
水殿風来珠翠香
却恨含情掩秋扇 
空懸明月待君主
  王昌齢 
  西宮秋怨

漢の成帝の寵妃であった班婕が寵を失い長信宮に移ってからのやるせない思いを王昌齢が詩にしたもの(「西宮春怨」という春の歌や長信秋詞というものもある)また唐詩選には彼女のことを歌った詩に、王維の「班婕」や崔国輔の「長信草」なども収められている。秋扇を掩いとは班婕自身がわが身を嘆いた詩(怨歌行)に秋になって不要になった扇を自らが隠すという風に使っている。ここでの芙蓉は蓮の花のことだそうです。

芙蓉も及ばず 美人の粧い
水殿 風来って 珠翠香ばし
却って怨む 情を含んで秋扇を掩い
空しく明月を懸けて 君王の待ちしを


蓮の花だって着飾った彼女の美しさには適わない
水上のこの宮に風が入ってきて、簪に花の香りを載せる
胸の想いを押し沈めながら、秋の扇を隠し
名月に徒に君の御幸を待つ我が身を照らす
              (風車)


実はこの歌にはすでに春の宮というお琴の曲がある。
その五と六歌

池の芙蓉も及びなき 人の袂に吹き渡る
風の薫りはなかなかに 花よりもなほ香ばしき

君が情を忘られぬ 捨てぬ扇の秋も更け
傾く月の夜もすがら 行幸(みゆき)を待つぞはかなき



今回僕ちゃん、ずいぶんと親切ね。なんせ天才だ~~~って騒いでも誰も何も言ってくれないんだもん。
もう止めようかとも思うんだけど、お風呂に唐詩選を持って入っていると、次から次へとでてきちゃうんだよね。

天才だ~~ 
もう自分で誉めるしかないもんね。


蓮の花だって負けて逃げてしまうような美人さん
風が吹いて花の香りを髪飾りに載せる
侘しさを抑えて、秋の扇を隠す
名月が虚しゅうその身を照らしちょるよ

ご冥福を 斉藤茂太氏; そして斉藤茂吉展

2006年11月24日 09時19分43秒 | 日記
先日、斉藤茂太氏の訃報を新聞でみた。亡くなったのだとちょっとした思いに駆られていたけど、昨日、駅で、斉藤茂吉氏らの展覧会が神奈川近代文学館で開かれているというチラシをみて、その因縁のようなものをふっと感じた。
  展覧会は;
  露伴、茂吉、寅彦と小林勇展 
   一本の道 ある出版人の軌跡
  1月14日まで
  http://www.kanabun.or.jp/tekobayashi.html

茂吉氏は父の仕事場の大先輩に当たる人で、叔父の詩のグループのスターでもあった。(私が覚えている叔父は、ビジネスマンとしてとても詩などを作るようには見えなかったのだけど)
医学と文学の両面で、私の先代たちには影響を与えた人だった。

私が前の仕事を始めてから、斉藤茂太氏の名前はいろんなところでつかず離れず輝いていた。直接お話をしたことは2,3度(多分短いご挨拶を含めても4,5回だろう)くらいしかないと思うけど、
何かの会で同席になることはしばしばあった。

山形の村山市との仕事が何度もあり、村山市を訪ねるたびに、茂吉の記念館にも行ってみたいと思ったけど、結局前の仕事場にいる間には一度も行けなかった。

陰ながらご冥福を。