夢幻泡影

「ゆめの世にかつもどろみて夢をまたかたるも夢よそれがまにまに」

岬梨     いすみの四季

2008年08月04日 19時33分01秒 |  岬な日々


岬の国道沿いに果物や花を売るスタンドが一年を通して開いている。
農家がやっている産直のお店ではなく、一時期に一品だけおいて車で通る人へのお土産を売っている。
結構車が止まって買っているようだ。
一年を通じてほとんど果物を扱っているけど、お正月などの花の売れる時期だけは花を出している。
最近は枇杷(房総枇杷)を売っていると思ったら、桃になって、今はたぶん早稲の梨になっていると思う。
岬は梨の産地なんですね。

私はその店を横目に見ながら、今の時期は何を売っているのかなって見ているだけ。
だって、お店には悪いけど、国道を離れると農家がたくさんあって、看板を出している。
梨の農家は梨の看板とスタンド。
先日も通りすがりに一軒の梨農家によって見た。
まず、「試食しなさいよ、美味しいよ」って梨をむいて、食べさせてくれる。
今取れているのは早稲でお盆くらいまで、その後は幸水が出回るとか、あの種類はいつごろ出るだろうかとか、おしゃべりしながら試食を終えると、
5つビニールに入って500円の梨がおまけで3っつも、4っつも増えている。
もう少しすると庭先の栗や柿をおまけしてくれたり、、、
おばちゃんたちも自分たちの作ったものが売れるのが嬉しいみたい。

その日に取れた梨だから、味が全く違う。美味しい。
今の早稲の梨も初めて食べたけど、上品な適度な甘さ(二十世紀くらい)でみずみずしい。

葡萄も地元のものが売っている。



山をやめて、海そばを決めたときには、房総でこんなに果物や野菜が取れるのは知らなかった。嬉しい誤算。そして、農協や、人を使ってやっている産直のお店ではなく、農家の庭先で、おしゃべりしながらそんなものが手に入るのはとても楽しい。

この日は別なところでズッキーニを入手しました。
知人はぴかぴかのゴーヤの収穫を日記にアップしていた。

前回は食べきれないほどのキュウリを庭で取れたからってもらいました。
糠漬けにし、ラタトューユにし、そしてもちろん生で食して、、、
やはり人間は新鮮なものを食べるようにできているんだって、感慨を持ちましたね。



蝉噪林逾静  蝉もなかんで煩か  いすみ市飯縄寺の蓮

2008年08月04日 11時44分17秒 |  漢詩を長崎弁で


艅艎何泛泛  
空水共悠悠  
陰霞生遠岫  
陽景逐廻流  
蝉噪林逾静  
鳥鳴山更幽  
此地動帰念  
長年悲倦遊  
  入若耶溪
  王籍  

艅艎(よこう) 何ぞ泛泛(はんはん)たる
空水 共に悠悠
陰霞 遠岫に生じ
陽景 廻流を逐う
蝉噪ぎて 林逾々静かに
鳥鳴きて 山更に幽なり
此の地 帰念を動かし
長年 倦遊を悲しむ


綺麗か船が水面にゆらりゆらり
空も水も ゆったり

遠くの山には黒雲がかかって
川には陽射しが水の流れを追っている

蝉の声が林の静かさを際立たせ
鳥が鳴くと山の幽玄さがます

ここにおると田舎が恋しうなる
果てしない長旅の憂さが身に沁みて悲しか


芭蕉の奥の細道の立石寺の「閑さや岩にしみ入るせみの声」の原典ですね。
奥の細道には「、、、山上の堂にのぼる。岩に巌を重ねて山とし、松柏年旧り、土石老いて苔なめらかに、岩上の院々扉を閉ぢて物の音きこえず。岸をめぐり、岩を這うて仏閣を拝し、佳景寂寞として心すみ行くのみ覚ゆ」とあります。

私は「佳景寂寞」どころか、大都会、東京に戻りました。
蝉は鳴いていない。
工場と、家の建前の音が聞こえてきます。
後ろは川、舟はありますけど、カヌークラブの練習とかで、必死にあめんぼう見たいに走り回っています。


違った意味で、岬が恋しくなる。

前回はいすみ市環境と文化のさとセンター の蓮をアップしましたけど、今回のはいすみ市和泉の飯縄寺(いずなじ)のものをアップしておきます。