夢幻泡影

「ゆめの世にかつもどろみて夢をまたかたるも夢よそれがまにまに」

朝烏 早くな鳴きそ

2008年11月05日 18時48分14秒 |  昔々あるところに


昔々、あるところにおじいさんが住んでいました。
もうひどい認知症で、現実にあったことと、自分の夢だったことの区別もつかなくなってしまっています。
幸福な晩年ですね~


朝烏 早くな鳴きそ 我が背子が
    朝明(あさけ)の姿 見れば悲しも
        万葉集
        詠み人知らず

(烏よ、朝早くなら鳴かないでおくれ。家の人が帰ってしまうから)

おじいさんは、可愛い女性からそんなことを言われたと思っているのでしょうね、、
ほれ、目はでれでれ、口の端からよだれがたれている。

でも、この詩、ずっと昔にご紹介した高杉晋作の

三千世界の烏を殺し
    主と朝寝がしてみたい

と同じですね。こちらは花魁のくどき文句なんですけど。



それにしても、私もずいぶんと律儀ですね。
以前、撮る鳥がなくなって、雀や目白を撮ったときに、今度は烏や鳩なんでしょうねなんて書いていましたけど、男子たるもの、いったん口にしたことは守らねばってことですからね。
まあ、これで烏はすみました。
後は、鳩ですか。


蝶老いて たましひ菊にあそぶ哉  

2008年11月05日 16時05分54秒 |  昔々あるところに


昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
おばあさんはエステへ、
おじいさんは川へ写真撮り、

いくらエステに通っても、寄る年波は止められないのに。
かといって、不老不死なんてことにでもなったら、大変。
特に今の日本の年金や、介護では、こりゃ地獄ですね。
男性より長く生きられる女性の方々には心からお悔やみ申し上げます。


それにしても、いや~ この詩を使うのをなんどもためらいました。
今でも怖いです。
だって、私のブログの読者って女性が多いのですよね。
この詩を読んで、
自分に当てはめて、
悲観して、
はかなくなったら
どうしましょう?



蝶老いて
たましひ菊に
あそぶ哉
   榎本星布

榎本星布は江戸中期の女性俳人。詳細はこちらに
  



港の葦の末葉を誰れか手折りし

2008年11月05日 14時56分11秒 |  昔々あるところに


昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
おばあさんはジムに井戸端会議、
おじいさんは薪を背負って川原へ鳥撮りに


昔はよかった、、、 こんなじゃなかった。
おじいさんが船で出かけると、
おばあさんはいつまでも手を振って見送ってくれたものでした。


港の葦の末葉を誰れか手折りし
   我が背子が振る手を見むと我れぞ手折りし
          万葉集
          柿本人麻呂

入り江の葦の葉の先を折ったのは誰?
私の夫に私が手を振っているのを見せようと、私が折りました。

蛇の足ですけど、末葉はうらばと読みます。

まさか、葦の葉を折って自分の見送りに代えさせて、自分はジムに行っちゃったんじゃないでしょうね???