旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

菖蒲湯に浸かって

2007-05-06 14:13:31 | 時局雑感

 

 昨夜、疲れを癒そうと風呂に入ると、根っこのついた菖蒲(しょうぶ)が束ねられて浮いていた。
 ・・・ああ、今日は端午(たんご)の節句か・・・・・・
と、私は菖蒲の浮かぶ湯舟に四肢を伸ばした。

 昨日は、二日遅れの結婚記念日(1963年5月3日結婚)を祝おうと昼前に出かけ、日比谷で映画を見て、帝国ホテルの「なだ萬」で、ちょっとはりこんだ昼食をとった。散歩がてらに買い物などをして帰宅したのは、かれこれ夕刻であった。
 妻はいつの間に菖蒲を買っておいたのだろうか。

 年越し蕎麦(そば)から雑煮(ぞうに)、七草粥(ななくさがゆ)にはじまり、3月には雛(ひな)を飾り、5月には菖蒲湯(しょうぶ-ゆ)を沸かす。土用(どよう)の丑(うし)の日には無理をしても鰻(うなぎ)をとり、冬至(とうじ)には柚子湯(ゆず-ゆ)に入る・・・。妻はこのような四季の営みを忘れることなく行う。
 菖蒲は「邪気をはらう」と言われ、柚子は「しもやけやあかぎれに効く」という。夏の暑気は、鰻の精力を借りて乗り切ろうとするのであろう。太古から日本人は、このように自然とともに生きてきたのだ

 私などは仕事にかまけて、このような先人の知恵すら忘れている。それを忘れることなく、さりげなく行ってくれる妻を愛しく思う。
 今の若い世代に、どの程度このような伝統が残り、伝えられているのだろうか。
                             


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