旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

原発に対応した三国の実例 … NHKテレビ「子供たちへ…」に感動

2012-05-03 13:42:20 | 政治経済

 

 4月30日朝8時20分からのNHK総合テレビ「子供たちへ“時任三郎世界電気の旅”」は感動的であった。原発の災禍を未来の子供たちへ残さないために対応している三つの国の探訪記である。
 まずドイツ。人口数千人の小さな町の一女性が原発に頼らない電力確保に取り組む。人々に訴え太陽パネルによる電力供給、川を利用した水力発電や自然エネルギーを求めつつ、ついに電力会社を設立。最後は、全国に訴え4億円の寄付を集め既存の電力会社から送電線設備を買い取り自給体制を確立する。
 このような背景があったからか、メルケル政権は昨年、2021年までに原発を全廃する方針を閣議決定する。因みにメルケル首相は著名な原子力学者で原発推進論者であったが、福島原発事故の3日後「日本のような高い安全技術を持つ国で起こりえないことが起きた」と発言して脱原発論者へ転向した。
 次はデンマーク。この国は将来の電力を何に求めるかを国民が見極めるため、原発にかかわる賛否両論、経済的得失などをすべて情報公開して“3年間の国民議論”にかける。その結果、総意に基づいて原発に頼らない方向を決め、風力発電を中心にした自然エネルギーに依拠した方向をとる。国の嫌われものであった風を、逆にエネルギー源に活用したのだ。
 最後はフィンランド。この国は原発を活用しながら、そこから生じる核燃料の処理に取り組んでいる。使用済み核燃料は30年から50年冷却してもなお超長半減期の放射性物質が残り、最終処理には数万年を要するのでそれを地層処理する計画だ。強固な岩盤を数キロも掘り進み、地下数百メートルに「核のゴミ捨て場」を建設しようというのだ。さすがに「ノキア」の国、技術力に頼るところはすさまじいが、その努力を見るにつけ、「人類は大変なものを生み出した」という感に堪えない。
 そこまでして核燃料を使わねばならないのだろうか? ただ、この電力会社の本社は原発に隣接しており、その本社の最上階に社長が住んで陣頭指揮を執っているようだから、東京電力などと器が違う。
 いずれも、核の災いを知りぬきその災禍を未来の子供たちに残さないように、命を懸けて取り組んでいる姿があった。

  
   再び咲いたわが家の胡蝶蘭


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