安倍政権は、従来の慣習を破って外務省出身の小松一郎氏を法制局長官に任命した。これまでの法制局長官が、どうしてもウンと言わなかった集団的自衛権行使の容認を、長官を容認派の小松氏に差し替えて、政府として容認の道筋をつけようというのだ。
しかし、これはルール違反ではないか。これまで法制局は、法の番人として「主権国家として集団的自衛権を有してはいるが、憲法9条より行使できない」としてきた。そこで、そのヘッドを容認派に取り換え、「憲法9条のもとでも行使できる」と解釈改憲して集団的自衛権の行使を容認しようというのだ。
自分の都合に合わせて、自分と考えを同じくする者だけを周囲に集めてことを決して行こうというのは、まさにルール違反というしかない。そのようなことを許していけば、先日同僚の麻生副総理が「学ぼう」と呼びかけたナチスの独裁を許す道につながるだろう。
土俵に追い詰められたらその土俵を広くするようなことを許すわけにはいかない。法制局は、「集団的自衛権を行使することは、憲法9条で許されている必要最小限度の自衛権の行使の範囲を超え、許されない」としてきたのだ。そしてそれを我が国政府は国の見解としてきたのだ。
どうしても集団的自衛権を行使したいのなら、その本当の狙い、つまり「アメリカと一緒に戦争のできる道を開きたい」という狙いを明らかにして憲法9条の改定を国民に問うべきだろう。もちろん「衆参3分の2以上の発議で国民投票」というハードルを乗り越えてのことだ。
それはそれで、国の運命を決める、国を二分する大闘争となろうが…。