旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

これからの日本酒②

2014-04-02 15:34:15 | 


 山水舎の酒セミナー第二講は、朝日屋酒店小澤和幸氏による「日本酒マーケット現場からの提言」であった。朝日屋酒店は世田谷区の赤堤にある酒屋さんで、まさに酒消費現場からのユニークな提言であった。
 小澤氏の最初の発言も、「日本酒ブームの到来!?」というものであった。!と?マークがついているところに、その行く末に不安もよぎるが、朝日屋酒店のここ3年間の売り上げ状況を見ても、対前年度比で、清酒は22年度107%、23年度120%、24年度110%と伸びており、焼酎の同90.5%、109%、97%、リキュールの同90.4%、116%、99%に対し明らかに伸びている。清酒はこの3年間で1.42倍に伸びているのだ。
 もちろん、同店のこの伸びは小沢氏を中心にしたたゆまぬ努力のたまもののようだ。同店は,近くの東京農大醸造科に学ぶ蔵元の子息たちをアルバイトにつかっている。それも単なる腰掛的バイトではなく,相応の時間給を払って,造る立場と研究し合っての使用のようだ。今も、三重の「滝自慢」や京都の「木下酒造」などのご子息が働いている。
 また、商圏も半径7キロにかぎり徹底的な顧客開拓に励んでいる。酒の売り込みも一般論ではなく「その酒の個性」を語りかけることを中心に据えている。たとえば、原料は「どこの米」、「どこの水」、「どの酵母」など酒の特性を強調し、また「今年の酒」の個性などを売り込んでいるようだ。
 「一般論では酒は売れない」、「うまい酒と売れる酒も別問題。消費者の求める酒を造れば売れる!」とも言っていた。メニュー作りの基本は「本醸造1・純米酒2・純米吟醸2」と言っていたが、これも今の時世と消費者と向き合う中から編み出したのだろう。
 最後に、世に人気のAKBセンターの総選挙(人気投票)にならって日本酒の総選挙をやったらどうか、という問題提起をしていたが、これも現場ならではの面白い提案だ。


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