昨夜は、新宿文化センターホールでオペラ「オテロ」を観た。娘が合唱メンバーで出演したので応援も兼ねて出かけたのだが、なかなか見応えがあった。新宿区民オペラと言うとおり、オーケストラも含めてアマチュアが多いのだが、なかなかどうして、立派なオペラになっていた。日本の音楽水準も向上したと見るべきだろうし、このような公演を15年続けている新宿区に敬意を表したいと思う。
オテロは、もう8年も前になるが、サンクトペテルブルグのマリインスキー劇場で観た。これはゲルギエフ指揮の本物で、その重厚さと迫力に圧倒された記憶が新しいが、昨夜は字幕も追いながら観たので、むしろ物語の中身に改めて重いものを感じた。ヴェルディと言うのかシェイクスピアと言うべきか、よくもまあここまで描いたものだと思う。
物語はイヤゴーの言動に尽きるが、彼の言う「・・・俺は悪者だ。それは、俺が人間であるからだ・・・」と言う言葉は何とも重い。シェイクスピアは何を言いたくてこの言葉を書いたのか?
人間の尊厳にかけて「俺は善人だ。それは俺が人間であるからだ」と言いたいものだが、それを言う自信はもちろん無いし、世の中に次々起こる悪事を見ると、このイヤゴーの言葉がいっそう重みを増してくるのが悲しい。
ヴェルディの音楽の美しさが、その「人間の持つ悪の本性」をいっそうあらわにしたと言えるのかもしれない。
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