四月のオランダはチューリップでいっぱいだ。花だけでなく歌も歌われている。アムステルダムのあるバーに入ってジンを呷っていると明るい歌が流れてきた。「なんという歌か」と訊ねると『チューリップの歌』だという。「この時期になると、アムスっ子は皆この歌を唄う」と話してくれた。
そのチューリップの総本山がキューケンホフ公園であろう。私はその時の旅行記に次のように書いた。
「・・・世に筆舌に尽くしがたいという言葉があるが、この公園は、その規模、種類の多彩さ、何よりも花の美しさにおいて、まさに筆舌に尽くしがたいものがある。それは世界中から人を呼べる力を持っている、ということだろう」
もともとはトルコの原野に野生していたチューリップを、観賞用に育て上げたのはオランダの功績と言ってよいだろう。というより、花までも飯の種にするオランダ経済のたくましさと言うべきかもしれない。
しかしチューリップの歴史も、今キューケンホフ公園に咲き乱れているように美しいことばかりではなかった。オランダは、現在の日本が塗炭の苦しみを味わってきた「バブル経済」を、400百年近くも前に経験するが、それはこのチューリップに起因する。
その話はいささか長くなるので明日に譲る。
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