絶好の季節の連休といっても、何の計画もなかった。とはいえ家にいるだけではあまりにもひどい。ワイフの提案で、小石川後楽園を歩き神楽坂で食事をすることになった。。
水戸光圀が、中国に学びながら京都や琵琶湖などの光景をとりいれて造った庭と言われる小石川後楽園は、小じんまりとしているが盛りだくさんの光景や教訓に満ちている。それらを書いているときりがないので、一点だけに触れておく。
中央に近い松の広場に「九八屋」という藁葺きの家がある。江戸時代の酒亭の模様を示した建物らしい。中には何も無く、真ん中に大きなテーブルがあり、その周囲を掛けて囲むようになっているだけである。
それより面白いのは、入り口に立て札が立てられてあり、
・・・酒を飲むに「昼は九分夜は八分にすべし」と酒飲みな
らず万事控えるを良しとするとの教訓による・・・
と「九八屋の由来」が記されてある。昔から節度を守ることは難しく、その最たるものが酒飲みの飲みすぎであったのだろう。酒を八分、九分に抑えることを「万事控え目」の教訓にしたのだ。
この教訓を深く胸に刻み、九八屋を後に神楽坂へ向かった。もちろん酒を飲むために・・・
日曜日であったので、お目当ての店が休みであった。いい機会にとぶらぶら歩き飲み屋を探すと、横丁に『SHUN』と言う店を見つけた。横文字だから洋食かと思いきや、立派な和食の店でなんと言っても酒の銘柄が良い。「菊姫」、「米鶴」、「庭の鶯」、「十四代」などなど・・・。
まず米鶴を注文しながら、若いウェイターに「良い酒を置いてますね」と話しかけると、「ハイ、私が選びました」と胸を張る。聞けば、すべて自分が利き酒をして選んだという。しかも、「米鶴」と「庭の鶯」を基準に据えて、毎月その周辺に良いと思う酒を選んでいると言う。
名刺を交わすと、「神楽坂SHUN・本家 ホール主任」の肩書きだ。Kと名乗るこのホール主任は未だ29歳。私は本当にうれしくなった。このような若者が、しっかりと自分の物差しを持って酒を選び、自信を持って客に薦めているのだ。
料理もおいしく、夜は八分に控えよという「九八屋の戒め」が守れなかったことを除けば、大満足の一夜であった。
500選」の「下野街道・大内宿をたどる道」、「会津史跡めぐりの道」を歩き、翌日は山古志(新潟県)の地震後の復旧状況を見てきました。今日13日は遊びに来ていた孫とつきあいました。
貴方は、週末は自然の「美しい道」を歩き、ウィークデーは読書による「探求の道」を求め、充実した生活をうらやましく思っています。
私の「酒飲みの道」は、もう一つ役に立ちませんなあ。