旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

西馬音内の名店『彦三』の名物蕎麦で打ち上げ

2012-08-25 14:23:50 | 

 

 「西馬音内(にしもない)を訪ねて『彦三』のそばを食べないで帰るなんて考えられない!」と各方面に言われ続け、何とか夕食をとろうとしたが、なにせ目的は盆踊りを踊ることで、ゆっくり夕食の時間は取れない。結局最終日の昼食をかろうじて『彦三』に充てて思いを果たした。
 もちろんここは早くから予約をしないととても入れない。「表に看板もないが地元に根ざし愛される店」として名高いこの店は、店主の猪岡さんが自らそばを栽培し(羽後町蕎麦栽培研究会の会長)、美味しい、珍しい蕎麦食を食べさせてくれる。
 本来なら時間をかけて「そば懐石」に挑みたかったが、今日のうちに600キロ先の東京調布までバスで帰る身、「おすすめ彦三セット」で我慢する。しかし店主の計らいでそれに「そばの刺身」と「そばがき黒ゴマだれ」を加えてもらう。
 「そばサラダ」に始まるセットの中の「そばがき揚げ」とともに、この「刺身」と「ゴマだれ」は美味しかった。きちきちとした「そばの刺身」を食べながら誰かが「この刺身、どうやって作るんですか?」と尋ねると、「それは企業秘密」と一蹴された。当然のこと!
 
 美味しく珍しいそば料理を食べながら店主の話を聞く…、
 「…蕎麦は種をまいて実るまで60日かかる。春と夏、年2回栽培している。耕作放棄地を増やさないで、耕地を守っていくことと、グリーン・ツーリズムにつなげるのが夢…」
 「土産に2キロばかりそば身を差し上げるので、みんなで分けて家で育ててほしい。プランターで大して水もやらないで育つのでトライしてほしい」

 そして最後に「そばの蜂蜜」を一口ずつふるまってくれた。これはまた、強烈にそばの香りのする蜂蜜で驚いた。
 大サービスはこれにとどまらない。「みなさん、せっかく踊りに来てくれたんだから、本場の踊りをひとつ」と見事な男踊りを披露してくれた。『天の戸』の森谷杜氏に引き続き、まさにプロの世界を見せつけられる思いであった。

   


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