会の顛末につき2点だけ記しておく。
第1点は、会への参加状況について。
このような高齢者の集りで、しかも20名もの多数となれば、通常は欠席者や遅刻者が出る。前日になって「転んで足を折った」」とか「急遽入院することになった」などの電話が入る。また当日開始時刻になって「地下鉄の出口を間違えた」とか「降りる駅を間違えた」などで遅刻の連絡が入る。
ところが、今回は一人の欠席者も遅刻者も出なかった。約2か月前の出欠確認であったにもかかわらずだ。参加者の健全な知力と体力、この集まりに懸ける思い入れの深さを痛感した。
第2点は、唯一最大、痛恨の失敗について。
この会合に準備した酒の銘柄は以下のものであった。
・乾杯の酒
『天の戸』生酛純米大吟醸、秋田県産美山錦40%精米(180L)
『GAVI』イタリアワイン、ピエモンテ州産の白ワイン
『エビスビール』と『サントリー・モルツ』、他ジュース
・談笑中に酌み交わす酒
『天の戸』純米大吟醸「白雲悠々」、美郷錦40%精米
『作(ざく)』純米大吟醸「雅乃智」、一回火入れ、中取り
『七田』純米大吟醸、山田錦45%精米
・卒寿のお二人への記念品の酒
『天の戸』純米大吟醸、今年度金賞受賞酒、秋田酒こまち35%精米
ところが、この中の唯一の一升瓶、乾杯用の酒『天の戸』生酛純米大吟醸を、会場に持ち込む寸前、私の不始末で割ってしまったのである。タクシーから降りて会場を探している間に、狭い路地を突っ込んできた車を避けようとした瞬間、手元が緩んでコンクリートの上に落としたのだ。底が割れて、アッという間に黄金色の液体は流れ去った。今回準備した最高の酒であった。一滴も参加者の喉を越すことなく、神楽坂の土に染み渡ったのである。
実はこの酒は、弟の健次が提供してくれたもので、ラベルも「祝卒寿」と特別誂えしてくれた思い入れの品であった。弟の行為を無にした申し訳なさと、みんなに飲んで頂いたらどんなに喜んでくれただろうと思う悔しさで、今も私の心を暗くしている。唯一の慰めは、これを聞いた参加者の一人、テノール歌手の所谷直生さんが、「それは交通事故を避けた厄落としだったのだ」と言ってくれたことだ。
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