旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

ルーベンスを観てきました

2013-04-13 10:48:26 | 文化(音楽、絵画、映画)

 


「どれほど規模が大きく、取材が多様であろうと、たじろいだことはない」 (ルーベンス)

 このような発言のできる人間にして初めて描けた、というスケールの大きさを感じさせる絵が並んでいた。とはいえ、ここ渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムに並べられてあるものは、ルーベンスにしては規模の小さいものばかりだ。
 ブリュッセルの王立美術館のルーベンスの間で見た、超大型絵画の数々には圧倒された。またアントワープ大聖堂の「キリストの昇架」と「キリストの降架」もしかりだ。これらの大型絵画は、輸送の関係もあり持ち込めないらしい。
 もちろん、スケールの大きさというのは、単位画面の大きさに依るものではない。小さい画面の中にも、その構想の大きさ、物語性の豊富さがあふれ、その筆力とあいまって豊かな気分を見る人に与えてくれるものがある。

 特に、ルーベンスを特徴づける豊満な女性美もその一つであろう。ティツィアーノの作品を模写したという「毛皮をまとった夫人像」などその典型で、胸や腕のふくらみ一つをとっても、もはや模写ではなくルーベンスそのものだ。
 男を描いても同じ。「復活のキリスト」という絵があったが、筋骨隆々、何ともたくましいキリストで、多く見てきた弱弱しい十字架のキリストからは想像もできない、。死を克服して復活した姿をたくましく描いたのだろうが、ルーベンスだから許される、という感さえした。

 ルーベンスは、数か国語を話し、歴史や文学に秀で、学位も持ち、「工房の仕事をしながら、歴史物語を聞き、同時に来訪者と言葉も交わした」と聖徳太子的な人物であったらしいから、まあ、並の人間にはないスケール感を持っていたのであろう。


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