春の嵐が日本列島を吹き荒れ、数々の被害を残した低気圧が過ぎ去ると、一挙に夏の気配が立ち込めてきた。昨日から日差しが強くなり、今日は昼飯の蕎麦を求めて行きつけのそば屋のある隣駅(上北沢)まで歩いたが、汗ばんできて長袖のシャツをかなぐり捨てたくなった。
そういえば5月1日は八十八夜、昨日の5日端午の節句は24節気の立夏である。八十八夜は立春から数えて88日目、正確にいうと立春当日から数えるので87日目となる。通常年なら5月2日となるが今年は閏年であったので1日となった。「夏も近づく八十八夜…」という歌があるがその3、4日後には立夏を迎え夏が始まる。
しかしこの時節にはとんでもない寒い日が来たりするので、「八十八夜の忘れ霜」とか「八十八夜の別れ霜」などの言い伝えがある。前者は、「忘れたころに急に霜が降ったりするので農作物などには注意せよ」という戒めだろうし、後者は「もうそろそろ霜の心配もいらないので、霜おおいなどは始末して農作にかかろう」という、微妙な季節の分かれ目を言い伝えているのであろう。12の月とか24節気に準じた雑節の一つで、ほかにも入梅、土用、彼岸とか二百十日などがある。季節の変化が人体や農耕に与える影響などを考慮して注意を喚起する日とした知恵であろう。
温暖化をはじめ、季節のメリハリがなくなったことや天候不順が続き、このような先人の教えはだんだんと姿を消していくのかもしれない。
昨夜、風呂に入ると湯槽に菖蒲(しょうぶ)の束が浮いていた。家族の健康を願う妻の心遣いである。これに浸かれば暑い夏も元気に過ごせる。
端午の節句、わが家の菖蒲湯。