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「プロ中のプロとして悔しい」。
逮捕直前に開いた「独演会」で村上容疑者が自分を「プロ中のプロ」と何度も繰り返した。
が、何かおかしい。
自他共に認める「プロ中のプロ」が大方の予想を裏切っていとも簡単に白旗を揚げてしまうなんて。
当初、「インサイダー取引疑惑」の立件には困難が伴うと言われていた。
ましてや被疑者は「プロの中のプロ」、ホリエモンの例と同じく長期戦が予想された。
が、村上容疑者は次の諸点をあっさり認めた。
①インサイダー取引を認める。
②阪神株は手放す。
③証券業界から身を引く。
やはり何か胡散臭い。
事前の任意の事情聴取で検察当局と何か裏取引でもしたのか。
例えば、
「あっさりゲロしたら証券取引法違反だけ(300万円以下の罰金?)で済むよ」。
「徒に抵抗すると、藪をつついて蛇を出す事になるよ、・・・いや、ハゲタカの巣も突っつかねばならなくなるよ」とか。
*
逮捕直前の緊急会見冒頭で頭を下げた後、村上世彰容疑者が噺家のような“百面相”とオーバーなリアクション、冗舌で喋り捲った語録。
「“それ行け、やれ行け、ニッポン放送だ!”と(ライブドアの)宮内(亮治被告)さんが言うのを聞いちゃったと言われれば聞いちゃった」。
「寝耳に水」、「悔しい。こんなことで」。
「一方通行に知らずに入り、後で標識があったことに気づいたようなもの」。
「残念ながら(情報を)聞いちゃってる」。
「自分にもミステークがあった。プロ中のプロとして認識が甘かった」。
「反省する必要がある。そうでないと自分の生き方に反する。人生で初めて闘うのをやめた」。
(阪神タイガースの星野仙一SDの発言に対して聞かれると、)
「青少年を育てる元野球選手が『天罰下れ』という言葉を使っちゃいかん。おかしい。うちの子供にも影響した」。
「金もうけは悪いことですか?」。
「無茶苦茶もうけましたよ。短期間に2000億円ほどもうけた。私が嫌われるのはもうけすぎたから」。
「きょうをもってこの世界から身を引く」。
「何をしていこうか決めていない。小説を書くのか…。映画や慈善事業のようなものかな」。
会見終了から約5時間後の午後5時20分、「独演会」の主役は逮捕され東京拘置所へ。
「人生を見つめるいい機会かも」とつぶやいた通り、「モノ言う株主」は塀の中へ消えた。
村上容疑者は当初は株主利益の向上に情熱を燃やす理想主義者だったという。
知人の1人は「運用資金が増え、期待される利回りに応えなければとの焦りがあったようだ。彼の中で株主利益向上という目的とファンド運営という手段が逆転したのでは」と述懐している。
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