日銀福井総裁が村上ファンドへの投資を解約した時期について、今朝、共同通信の昨日の最終配信(6月14日23時3分更新)を見てヤッパリとの感に打たれた。
解約申しいれは、量的緩和解除直前の2月であったことが判明したという。
2月と言えば緩和解除で株式市場への資金流入が細り、ファンドの資金運用が難しくなる可能性出てきた時期だ。
市場では「売り抜けよう」という声が出てきた時期だ。
「量的緩和解除」を決定するインサイダーの親玉、いや、その存在そのものがインサイダーの日銀総裁が「その時期」に売り逃げしたとなれば、これは紛れもなく「インサイダー取引」だ。
一般にいう「インサイダー取引」とはインサイダーの情報を先取りして取引をすることをさすようだが、日銀総裁はインサイダー情報を作る立場だ。
日本の金融市場の金利さえも変えうる立場の人間が自分の子分たる村上ファンドを使って「財テク」はないだろう。
売り逃げは成功したが、今日の記者会見で如何言い逃れるつもりなのか。
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◆解約申し出、なぜ2月 日銀総裁のファンド投資
日銀の福井俊彦総裁が村上ファンドへ1000万円を投資していた問題で14日、解約を申し入れた時期が量的緩和解除直前の2月であったことが新たな問題点として浮上してきた。緩和解除で株式市場への資金流入が細り、ファンドの資金運用が難しくなる可能性があったためで、市場では「売り抜けようとしたと言われても仕方がない」(ヘッジファンド関係者)と、脇の甘さを問題視する声が出ている。
福井総裁が就任時に継続していた投資を突然解約しようとしたきっかけが何だったのかが焦点で、15日の記者会見などで説得力のある説明を求められそうだ。
総裁は13日の参院財政金融委員会で、2月に解約を申し入れた理由について、自らがファンである阪神球団の経営に関与しようとした同ファンドの行動に「強い違和感を感じた」と説明した。
(共同通信) - 6月14日23時3分更新
◆産経抄
平成18(2006)年6月15日[木]
人の懐具合をあれこれ詮索(せんさく)するのは、人品卑しい行為だと教えられた。金銭を貴び、世辞にうれしがるのは粋でないとみなされた。それでも世の中は万事色と欲だから、気になるのが人情というものだ。「通貨の番人」日銀総裁が錬金には目がなかったと聞いては心穏やかではない。
▼福井俊彦総裁が希代の錬金術師、村上世彰容疑者と親密な仲にあり、ファンド設立のさいに「激励する意味」でポンと1000万円を投資した。ファンドの利回りからすぐに計算する人がいて、平成11年から7年間で1500万円の運用益を手にしたという。
▼日銀総裁に就任するさいに、解約を考えたが、完全にファンドまかせだから「まあいいか」ということになったらしい。「法の番人」である裁判官と同じように、「通貨の番人」も独立、中立、公正が厳格に求められるとの自覚がなかったのだろうか。どうもすっきりしない。
▼まして、村上ファンドが「うちには福井総裁が資金を預けている」と営業活動をすれば、立派な広告塔になる。明らかに許容の限度を超えており、ことし2月に解約したといっても遅い。「日本銀行員の心得」にいう世間から疑念を抱かれるような利殖は慎めとの内規にも背くだろう。
▼自国の通貨がよその国でも通用するなら、その国の信頼性が高いことの証明になる。日本の「円」は、戦後しばらくは紙くずみたいな扱いを受けてきた。いまの繁栄は、日本人の勤勉、節約、才覚によって信頼性を築き上げたものだ。
▼総裁の発言や行動は、為替相場や株式市場を左右する。だからこそ「通貨の番人」は、聖人君子といわずとも公正さの体現者でありたい。いまさら、そんな日銀総裁のありようをいわせないでほしかった。