我那覇真子の現地報告、米大統領選
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次期米大統領の命運を決める1月6日(日本時間7日)を目前に控え、日本のメディアも「万が一」に備えアリバイ記事を書き始めた。
しかも、今回は学者の手を借りて、日米主要メディア「反トランプ」の報道をしてが組織的にバイデン有利の報道をした事実を暴いて見せた。
それだけではない。
年末ぎりぎりに提出された2件の重要法案に大統領拒否権を行使し、トランプ圧勝の本気度を示した。
任期を一カ月以内に控えた大統領はレームダックであり、通常重要法案の運用は次期大統領に委ねるものなので、トランプの任期直前の拒否権行使は一種の嫌がらせと見る向きもある。
だが、トランプの一連の拒否権行使に対し、共和党のリンジー・ グレアム上院議員は 、SNSへの投稿内容に対する運営各社の免責を終わらせるべきだというトランプ大統領の判断は正しいと述べている。
トランプは1月6日(日本時間7日)ワシントンDCへの集結するよう呼び掛けている。 1月6日、なにかが起きる。
繰り返し問う。
米大統領選の報道に関し、
大手メディアを信じるか、
弱小メディアを信じるか、
あなた次第である。
★
2021.01.05
トランプがいまだ「敗北宣言」をしない「シンプルな理由」
大統領選の結末やいかに?
木村 朗
鹿児島大学名誉教授 平和学・ 国際関係論専攻
トランプ米大統領が12月26日のTwitterで「我々はすでに十分に知っている。我々は圧倒的勝利を収めたのだ」と語っているように、バイデン勝利を既成事実化する日米の主流メディアの報道とは異なり、米大統領選挙は依然として決着しておらずいまもなお継続中である。
米大統領選挙をめぐる情報戦・心理戦が日々続く中で、注目すべき大きな変化が12月19日以後のメディア報道にあらわれた。日米の主流メディア(NYTやCNN、朝日新聞やNHKなど)が前日(12月18日)にホワイトハウスで開かれた秘密会議の内容をその会議の参加者からのリークに基づき、NYTが「スクープ報道」し、他のメディアも追随したのだ。
それは、トランプ大統領が今月18日、ホワイトハウスに先月自身が恩赦を出したフリン元大統領補佐官などを招き戒厳令を出すことについて協議した、またホワイトハウスでの会合では選挙で大規模な不正が行われたと強く主張する弁護士のパウエル氏を特別検察官に任命し不正があったかどうか捜査すべきだとの議論も行われた、同席していたメドウズ大統領首席補佐官らが強く反対しどなり合いになる一幕もあった、という内容であった(NHK「トランプ大統領“選挙結果覆すため戒厳令協議”米メディア報道」 、NYT「Trump Weighed Naming Election Conspiracy Theorist as Special Counsel 」)。
これに対して、トランプ大統領は20日のTwitterで、「戒厳令の報道はフェイクニュースだ」と否定している。実際にそのような内容がホワイトハウスの秘密会議で話し合われたかどうかについては諸説ある。
しかし、今回のホワイトハウスの秘密会議では複数の反対者の意見もあって重要な決定がなされたわけではないこと、それにもかかわらずトランプ大統領と彼が最も信頼するシドニー・パウエル弁護士、マイケル・フィリン将軍などが今後取りうるあらゆる選択肢を現時点で排除していないことだけが確かであろう。
私たちはこうした主流メディアとトランプ大統領のやり取りをどのように考えればいいのであろうか。
その報道でNHKは「次期大統領就任が1か月後に迫る中でも選挙結果を争う姿勢を変えない異例の事態なだけに、大統領の動向に関心が集まっています」と指摘している。
しかし本当の「異例の事態」は、トランプ陣営の「不正投票は陰謀論ではなく事実である」「今回の大統領選挙は大規模な不正行為がなければトランプ氏の大勝利であった」との主張を 「まったく根拠がない」として、不正選挙が行われたとする内部告発者の告発や各州における裁判・公聴会の動きなどをまともに取材・報道しようとしない主流メディアや大手IT企業が運営するSNSの対応であろう。
国防権限法をめぐる隠された争点
もう一つの注目すべき大きな動きが、連邦議会上下両院での2021年度会計年度(2020年10月~2021年9月)の国防予算の大枠を決める総額7400億ドルの国防権限法(NDAA)案の採択とそれに対するトランプ大統領の拒否権行使である 。同法案は、上下両院で大統領拒否権を覆すのに必要な3分の2以上の賛成を得て、12月11日に議会を通過している(ロイター「トランプ氏、米国防権限法案に拒否権 安保措置に欠くと批判 」、中日新聞「トランプ氏が法案の拒否権行使 国防権限法、議会再可決へ 」)。
トランプ大統領は12月23日、米下院と上院を圧倒的多数で通過したばかりの国防権限法に自身の公約であるアフガニスタンや欧州など外国駐留米軍の削減・撤退を制限する条項や、南北戦争時代の南部連合の指導者の名前を基地から削除する条項などを反対理由に挙げて拒否権を行使した。 23日はトランプ氏が拒否権を行使するか署名するかの判断期限だった。
トランプ大統領はすでに12月17日、同法案は他国からの米軍撤退を認めないため拒否権を行使するとツイートしていた。こ
の国防権限法案に関連して、共和党のリンジー・グレアム上院議員は、SNSへの投稿内容に対する運営各社の免責を終わらせるべきだというトランプ大統領の判断は正しいと述べている (BBC NEWS JAPAN「
トランプ米大統領、国防権限法案への署名を拒否 米軍撤退の制限などに反発 」)。
またトランプ大統領は、大手IT企業(ソーシャルメディア:SNS)に与えられている免責を廃止する案(米通信品位法第230条の廃止)を組み込むよう求めている。
このトランプ大統領が廃止を求める米通信品位法「第230条」は、大手IT企業が利用者の投稿内容について免責されると同時に「善意」に基づく過激な内容を制限する権利を与えるものである。
Facebook、Twitter、GoogleなどのSNS各社が同規定を利用して保守的な発言を抑圧・制限して「事実上の検閲」を行ってきたことに対する強い敵意・不信がその背景にある。
具体的には、不正選挙に言及したトランプ大統領の発言やそれに関連した情報をSNS各社が一方的に制限・削除してきた経緯があるからだ。
例えば、トランプ大統領は、今年(2020年)5月の時点で「郵送投票は実質的に不正なものにならないとは(絶対に!)言い切れない」とツイートしたのに対して、Twitterは、投稿の最後の部分に警告ラベルを付け、この主張は「根拠がない」とするウェブサイトへのリンクを貼っていた。
これに対して、トランプ大統領はすでに5月28日に、ソーシャルメディア事業者に認められている法的保護の一部を廃止し投稿内容の規制方法をめぐって法的責任を問えるようになる大統領令に署名して、ソーシャルメディアについて「野放しの権力」を有していると非難していた。
しかし、それ以降、今日まで巨大IT企業(SNS)を規制する実効的な法律案は成立しておらず、主流メディア・SNSとトランプ大統領の死闘はいまでも続いている(BBC NEWS JAPAN「トランプ氏、SNS企業の規制を狙う大統領令に署名 」)。
トランプ大統領の拒否権発動で国防権限法案は上下両院に回され、そこで両院で3分の2以上の法案への賛成で法案は可決される。上下両院は月内の再可決を目指す構えで、それでトランプ大統領の拒否権が覆され、成立する可能性が高いとみられていた。
そして、1月1日に上下両院で3分の2以上の賛成で再可決され、この法案は成立した。大統領が拒否権を発動した法案が連保議会で再可決されて成立するのはトランプ政権では初の事例となった。
また、この国防権限法案とほぼ同じ時期に連邦議会に提出された「コロナ救済法案」にもトランプ大統領は拒否権を行使して直ちに修正案を送り返した。
この件についてトランプ大統領はTwitterで、「共和党議員は自滅したくなければ1人当たり2000ドルの支給をすぐに承認するのが正しくやるべきことだ。600ドルは十分ではない。そして、通信品位法230条を撤廃せよ。大手IT企業に国を盗まれるな。民党に大統領選挙を盗ませるな。タフになれ!」とつぶやいている 。
このツイートからは、特定の付属層ではなく一般国民本位の予算案と大手IT企業による検閲禁止を含む自分の政策をこれからも(つまり、2期目になっても)一貫して追求するトランプ大統領の政権運営への並々ならぬ自信がうかがえる 。
これについて、経済アナリストの藤原直哉氏がTwitterで、「トランプ大統領が修正して突き返したコロナ救済法案、議会は可決するようだ。もし可決されればこれ自体が革命だ。議会という利権屋集団が決めた予算を民衆をバックに付けた大統領が一方的に修正してそれを議会が認めるのだから」と語っているのが注目される。
しかし、このコロナ救済法案も交渉過程で通信品位法230条の撤廃が求められず、結局、1月1日に上下両院で3分の2以上の賛成で再可決され成立した。このことからも「ディープステート」側の抵抗・圧力がいかに大きいかが分かる。
次の大きな山場は…?
米大統領選挙は、すでに、(1)11月3日:全米での投票最終日・集計開始、 (2)12月8日:全ての州で票集計と結果の確認が終了、(3)12月14日:各州の選挙人が州都に集まり、結果に従って正式に投票する、(4)12月23日:選挙人団による証明書が指定された政府高官(マイク・ペンス副大統領)に到着する期限、のプロセスが終了している。今後のスケジュールは、(5)来年1月6日:上下両院が共同で選挙人の投票を開票し午後1時に開票結果が確定、(6)来年1月20日:大統領就任式で新大統領が宣誓を行う、となっている。
また、トランプ陣営の3つの分野・戦線での戦いは、以下の通りの状況である。
(1) 法廷闘争
州レベルでの各種の訴訟も継続中であるが、現在は連邦最高裁での複数の訴訟に焦点が移っている。
特に、トランプ陣営が12月20日に提起したペンシルべニア州での郵便投票法の違憲変更をめぐる訴訟は12月23日に正式に受理されたものの、トランプ陣営が1月6日の連邦会議までに判決できるように、12月23日に弁護し、12月24日に回答できるよう迅速に処理することを最高裁に求めたのに対し、連邦最高裁は来年1月22日に回答期限を設定する決定した。この連邦最高裁の決定は、今回の大統領選挙における不正行為の有無に関する憲法判断を回避する姿勢を示しているものであることは明らかであり、トランプ陣営から強い反発・批判が出されている。
この連邦最高裁の頑なな対応に関連して、ジョン・ロバーツ連邦最高裁長官に対してはトランプ弁護団のリン・ウッド弁護士からジェフリー・エプスタイン事件(少女たちへの性的虐待や幼児売買など)との関りがあるとの疑惑が出されていることも注目される。
その後、トランプ大統領はTwitterで、「ペンシルベニアは投票数が20.5万票も投票者数より多かったのが見つかっている。それゆえ、私たちはペンシルベニアで勝っているのだ!」と伝えている。
ウィスコンシン州ではすべての有権者にID提示が省略できる不在者投票を認めたことは誤りという州最高裁の判決が下り、再集計が行われることになった。
またジョージア州では、州上院の公聴会で「フルトン郡の選挙スタッフが監視員のいない状況で不正を行う様子を撮影した動画」が公開され、ブライアン・ケンプ州知事が従来の態度を改め、郵便投票の投票用紙の署名・消印の再検査をブラッド・ラッフェンスパーガー州務長官に指示した。
ジョージア州のケンプ知事は、ラッフェンスパーガー州務長官とともに、これまで共和党員でありながら、郵便投票の投票用紙の署名・消印の再検査を求めるトランプ陣営の要求を一貫して拒んでいた(その背景として、ケンプ・ラッフェンスパーガー両氏は、ドミニオン集計機械導入をめぐる買収疑惑がトランプ弁護団から指摘されている)。
しかし、ケンプ知事がその再検査の指示を出した翌日に娘のボーイフレンドが交通事故で死亡し、またその件を調査していた捜査員がその数日後に交通事故で死亡する事件が相次いで起こったという。
そのことが原因なのか、ジョージア州ではその後の再集計作業は停滞気味となっており、トランプ大統領もそのことをTwitterで「いつジョージア州フルトン郡での署名照合の許可が出るのだ?実に時間がかかっている」と批判している。
また、ジョージア州で年明け1月5日に行われる連邦議会上院の2議席をめぐる決選投票に全米の注目が集まっている。
現時点で共和党50議席、民主党48議席が確定しているため、このジョージア州での選挙結果次第で上院の過半数を制するのが共和党なのか民主党なのかが決するからだ。すでに同州の有権者の4分の1超に相当する約210万人が郵便投票を含む期日前投票を済ませたと伝えられている。その内訳は、投票所での期日前投票は約130万人、郵便投票は72万1000人。また、約130万人の有権者が郵便投票用紙の請求を行ったという(ロイター「米ジョージア州上院決選投票、郵便含む期日前投票に約210万人 」)。
ジョージア州では、この20年間、民主党の候補が上院選挙で勝利した例はないが、(信頼性に欠けるとはいえ)世論調査ではどちらの議席についても接戦となっているという。
ジョージア州では11月3日の大統領選挙や上下両院選挙でもさまざまな不正行為が行われたという疑惑が浮上しているだけでなく、それらの疑惑のいくつかは明白な根拠・裏づけがあることも判明している。
そのような経緯があるだけに、ジョージア州での1月5日の2議席を争う上院議員選挙でも再びそのような不正行為が行われないために、全米だけでなく世界中の独立した市民・メディアによる厳しい検査・監視行動がいまこそ求められているといえよう。
(2) 議会闘争
州議会での公聴会開催を通じて不正選挙の実態を明らかにして選挙人団を州議会で決定できることを確認する取り組みは継続中である。また連邦議会でも公聴会や各種委員会の開催などが行われている。
その中で、特に、12月8日の大統領就任式両院合同委員会の非公開会合で、米連邦議会の共和党の指導部がバイデン前副大統領を次期大統領と認める決議を退けたことや上院の国土安全保障員会(ロン・ジョンソン委員長)で正選挙に関する公聴会が開かれたことが注目される。
またその公聴会では、それまでトランプ大統領の不正選挙疑惑解明を支持していた上院院内総務であるミッチ・マコーネル氏がジョー・バイデン氏が勝者であると明確に述べて、共和党上院議員たちに来年選挙人投票を数える際に下院が選挙結果を覆そうとすることに加担しないよう個人的に促したことも要注意である。
また現在、1月6日の上下両院合同会議で今回の大統領選挙での接戦6州(アリゾナ州11人、ペンシルベニア州:20人、ネバダ州:6人、ジョージア州:16人、ウィスコンシン州:10人、ミシガン州:16人)の選挙人投票の結果に異議を唱えることをモー・ブルックス下院議員(共和党、アラバマ州)が明言している。この6州(とニューメキシコ州:5人)では、州内で2つの選挙人団による異なる投票結果が存在している。
この意義申し立てには、少なくとも上下議員各1名の署名が必要だとされている。そこで、もう一人署名することが必要な上院議員として、トミー・タベルヴィル次期上院議員(共和党、アラバマ州選出)、ロン・ジョンソン上院議員(共和党、ウィスコンシン州選出)、ランド・ポール上院議員(共和党、ケンタッキー州選出)、テッド・クルーズ上院議員(共和党、テキサス州選出)らの名前があがっているという(最近の情報では、1月6日の意義をとなる議員が、下院140名、上院13名にもなっているという)。
いずれにしても、1月6日の上下両院合同会議で下院議員と上院議員のそれぞれ1名が実際に異議申し立てを行えば、その後に上限両院それぞれで審議・投票を行い、その結果、上限両院ともに過半数が異議申し立てを支持すれば該当州の選挙人投票は無効となる。
その場合、トランプ氏(232票)vsバイデン氏(227票)となり、その時点でトランプ氏勝利が確定することになる(ニューメキシコ州の5票もバイデン票から排除すれば、トランプ氏232票vsバイデン氏222票となる)。
この点に関連して、テキサス州がペンシルベニア、ジョージア、ミシガン、ウィスコンシンの接戦4州の投票結果を無効にするよう最高裁に求めた訴訟(最高裁は12月12日に訴えを受理せずに却下)には、126人の共和党の下院議員が支持を表明した。またワシントンポスト紙が12月5日に発表した調査では、共和党の上院議員でバイデン氏の勝利を公に認めたのは10%程度だったという。
さらに、1月6日の上下両院合同会議で上院議長を務めるマイク・ペンス副大統領が不正選挙の疑いがあるとされる激戦州の選挙人団の選出・投票を受理しない場合、トランプ・バイデン両氏とも選挙人が270の過半数に届かず下院での「1州1票」制に基づく投票となり、共和党が26州の票を得てトランプ氏勝利となる道が開かれる。
また、別の観点(「ペンスカード2」)からすれば、1月6日にペンス副大統領は上院議長として誰も抗議できないほどの権限を持っており、焦点となっている二つの選挙人団が選出されている7州(アリゾナ、ジョージア、ミシガン、ネバダ、ペンシルベニア、ウィスコンシン、ニューメキシコの各州)の結果は無効となり、憲法に「最多数の票を獲得した者が大統領となる」と記載があるので、トランプ232票vsバイデン222票でトランプが大統領になる。下院投票(1州1票の投票)も必要なくなるという(American Thinker「It's for Mike Pence to Judge whether a Presidential Election Was Held at All 」)。
ただ、いずれにしても最大の問題は、この二つの「ペンス・カード」が本当に切られるかどうかはペンス副大統領次第であるということだ。
選挙人団からの受け取りの期日であった12月23日に具体的行動を起こさなかったペンス副大統領に対してはリン・ウッド弁護士らトランプ陣営の一部の人々からDINO(共和党員の振りをした裏切り者)ではないかとの懸念が出されており、今後のペンス氏の動向にいまや米国中、否、世界中の注目が集まっている。
このマイク・ペンス氏をめぐっては、「ペンス・カード」を切るための後押しをするためにアリゾナ州の共和党議員からペンス氏出されていた訴訟が結局は却下された。
その一方で、テッド・クルーズ上院議員が他の10人の共和党上院議員とともに連邦議会で選挙不正を調査するための緊急10日間選挙検証委員会(上院議員、下院議員、連邦最高裁判事各5名、計15名の構成)の設置を求める声明を発表、またペンス陣営からも予備審問を行うためか1月6日に上下両院の連邦議員に今回の大統領選挙への異議申し立てを積極的に行うよう呼びかけがなされるなど情勢は日々目まぐるしく動いている。
(3) 非常事態宣言(大統領令)・戒厳令の発動
12月18日は、トランプ大統領が2018年9月12日に制定した選挙干渉の外国人らに制裁を課す大統領令「外国からの選挙干渉に関する2018年の大統領令」の報告期限(大統領選挙の投票日から45日以内に提出)であった。
この大統領令は、サイバー攻撃やその他の手段で、米選挙への外国の干渉が明らかになった場合に、外国の企業や個人に制裁を課すというもので、外国の干渉を支援、隠蔽、加担した個人や企業・メディアの全資産を差し押さえる権限を米司法省に与えている。
また、国家情報長官(ジョン・ラトクリフ氏)が、大統領、国務長官、財務長官、国防長官、司法長官、国土安全保障長官に報告することになっており、「国家非常事態宣言」を出すことになる。
しかし、国家情報事務局は12月16日、多くの情報部門が最終的な評価を終えておらず、歴史に残る報告書になるので万全を期すため報告書の発表を来年1月に延期すると明確な期限(日付)を明らかにせずに発表した。
大統領令に定められた期日までにトランプ大統領へ大統領選への外国勢力の関与についての正式な報告書を提出することができなかったのは、「反トランプ官僚の抵抗」が原因との見方もあるが、中国(共産党)などの外国勢力の関与の程度などで内部の意見がまとまらなかったことが大きな理由だとみられている(Bloomberg「Trump Spy Chief Stirs Dispute Over China Election-Meddling Views 」、ロイター「トランプ氏、大統領令で選挙干渉に制裁適用へ=関係筋 」)。
また米連邦政府の情報機関を統括する立場にあるジョン・ラトクリフ国家情報長官は、「米国と世界の民主主義にとって中国がナチスドイツ以来最大の脅威であり、政策担当者は中国政府との長期的な対立に備える必要がある」と指摘しており、中国の脅威を十分に反映した報告書を望んでいたという (Bloomberg「U.S. Spy Chief Calls China Biggest Threat Since World War II 」、岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち 「大統領令を!」――期限目前に祈るトランプ支持者 」)。
これに関連して重要だと思われるのが、「ナヴァロ・レポート」とシガン州アントリウム郡法医学チームの「科学捜査報告書」である (NEW YORK POST「A not-so-loony look at 2020 election results in battleground states: Devine 」)。
まず前者は、ホワイトハウス通商製造政策局長であり大統領補佐官のピーター・ナバロ氏が12月17日に記者会見を開き、「徹底した欺瞞 選挙違反の6つの局面」と題する合計36ページの調査報告書を公表した。
このレポートは、今回の大統領選挙の勝敗を分けたとされるアリゾナ、ジョージア、ミシガン、ネバダ、ペンシルベニア、ウィスコンシン計6州に焦点を絞り、いずれの州でも選挙運動から投票、開票、集計に至る各プロセスでバイデン氏を有利にする組織的な不正工作があったことを詳細に論じたもので、選挙での不正行為の徹底調査を求める内容だった。
前述したラトクリフ国家情報長官の報告書と同じように、この「ナヴァロ・レポート」に基づいてトランプ大統領は、2018年9月12日の大統領令「米国の選挙における外国の干渉が発生した場合の特定の制裁措置に関する行政命令」を発動して、不正実態である国家反逆罪の犯罪者に対しては、財産凍結処分までも大統領裁断で行えるとの解釈も出されている。
そして後者は、ミシガン州アントリウム郡の7人の法医学チームの科学捜査報告書である。この科学捜査報告書は、ミシガン州のドミニオンシステムの機械22台を押収し、その再現を試み、エラー率68.5%という驚くべき実態を暴露した。この背景には、ミシガン州を担当する第13巡回区控訴裁判所のケビン・エルゼンハイマー判事裁判官がドミニオン投票システムの調査を指示しただけでなく、その調査結果である法医学報告書の公表を命じたという画期的決定がある(大紀元「トランプ弁護団、ミシガン州でドミニオン機22台を法科学捜査 」、EPOCH TIMES「Attorney: Michigan Vote Flip Happened Due to Computer Program, Not Human Error 」)。
特別検査官の任命はあるのか
トランプ大統領の再逆転勝利に向けたもう一つの秘策として全米で注目されているのが、今回の大統領選挙での不正行為の有無を調査する特別審査官任命の問題である。
米紙ウォールストリート・ジャーナルは12月11日、「トランプ大統領がバイデン次期大統領が勝利した大統領選の結果を覆すため選挙不正疑惑を捜査する特別検察官の任命を模索している」と報じた。
現在焦点が当てられているのは、トランプ大統領による特別審査官の任命が本当になされるのか、また任命される場合はそれが誰でいつなのか、という点である。
この点に関連して、12月23日に「辞任」(「事実上の解任」か)した、ウィリアム・バー司法長官の言動が注目される。バー氏は、もし正当な理由があると感じたならばそうしていただろうとし、選挙不正に介入する特別検査官を任命することを拒否した。そして、「しかし私はそうしなかった。そしてそうするつもりはない」と記者会見で語った。
これはトランプ陣営にとっては明らかに不利な証言であり、その背景としてバー氏には弁護士時代にドミニオン社との関わりがあったからではないかとの疑惑が浮上している。
これに対してトランプ大統領は、バー氏が司法省を去った同じ日に、「2020年選挙に多くの選挙不正を見た後で、強く、厳格で、公正な特別検査官が『直ちに』必要ではないという何人にも私は同意しない」「これは我が国の歴史の中で最も腐敗した選挙であった。綿密に調査される必要がある」とマイアミのマー・ア・ラゴクラブからツイートし、選挙不正を調査するための特別検査官を「直ちに」招くと改めて言及している。
また未確認ではあるが、先述したホワイトハウスでの秘密会議以後も密接に連絡を取り合っているシドニー・パウエル弁護士をトランプ大統領はすでに特別検察官に任命しているが、司法省での任命手続きが手間取っており、パウエル特別検査官が正式な活動を開始するにはいたっていないとの情報も出されている。そして、この特別検察官について、トランプ大統領は不正選挙だけでなくバイデン氏の次男の捜査も任せたいと考えているという(The Washington Times「Trump renews call for special counsel on election fraud as Barr leaves office 」、共同通信「トランプ氏、依然逆転狙う 選挙捜査の特別検察官模索 」)。
そのシドニー・パウエル弁護士は、EPOCH TIMES(エポック・タイムズ)のインタビューの中で、11月3日の選挙における外国からの干渉疑惑により、2018年に出された外国からの干渉に関するドナルド・トランプ大統領の執行命令を引き起こすには十分以上だ、と主張するとともに、その執行命令のために、トランプ大統領に「あらゆる種類の権力を与えることができると信じている、と語っている。また、不正選挙を調査するために、関連資産を占有して物事を凍結することからすべてを行うには、投票マシンの没収を要求する、と述べている (THE EPOCH TIMES「Sidney Powell: Trump Could Trigger 2018 Executive Order on Foreign Election Interference 」)。
大統領選の結末
これまでトランプ大統領と主流メディア・大手IT企業(SNS)との対立・摩擦などを見てきたが、いま米国内で行われているのは、単なる不正選挙をめぐる「共和党(トランプ)」vs「民主党(バイデン)」ではない。
最近のホワイトハウスの動きをめぐる報道で私たちが垣間見たように、現在進行中の歴史的大事件には、トランプ政権に対する「ディープ・ステート」による「クーデター(米国版カラー革命)」であり、「グローバリスト(エスタブリッシュメント)」vs「反グローバリスト(反エスタブリッシュメント)」という本質的な側面・構図があると言ってよい。
このトランプ大統領と「ディープ・ステート」との暗闘は、前回の大統領選挙から今日までかたちを変えながら一貫して続いており、今後はトランプ大統領の決断次第で、「オバマ・ゲート」、「ヒラリー・ゲート(メール事件とベンガジ事件、エプスタイン事件の関連も含む)」、「ハンター・ゲート(バイデン氏の次男の「ウクライナ・ゲート」&「チャイナ・ゲート」疑惑)」などの秘密解除と真相解明につながる可能性もある。
(西森マリー著『ディープ・ステイトの真実 日本人が絶対知らない! アメリカ大統領選の闇 』秀和システム、副島隆彦・ベンジャミン・フルフォード著『今、アメリカで起きている本当のこと 大統領選"不正選挙"から米国内戦へ 』秀和システム、副島隆彦著『 Lock Her Up ! ロック ハー アップ ヒラリーを逮捕、投獄せよ』光文社などを参照)
しかし、ここで大きな懸念があるのは、トランプ陣営の主だった人々(シドニー・パウエル弁護士、リン・ウッド弁護士、マイク・ポンペイオ国務長官、ジョン・クリトリフ国家情報長官など)が、今回の大統領選挙に外国勢力が関わっているとして、中国(共産党)、イラン、ロシア、ベネズエラ、セルビアなどを名指して非難していることである。
特に中国(共産党)に対しては、「米国にとっての最大の脅威」「共産主義は民主主義の敵」として全面対決する姿勢を示しており、今後あらゆる分野・側面で対中敵視政策が取られ、これまでの米中対決がさらにエスカレートして本格的な「米中新冷戦」となる明らかな兆候が見え始めている。
すでにトランプ大統領が、大統領選挙の投票日であった11月3日以降、中国に対するさまざまな制裁措置(中国要人の資産凍結・入国禁止、中国企業との取引禁止や一部の中国人研究者・留学生の追放など)を発動しているだけでなく、ポンペイオ国務長官も11月3日以前にも言及していた「中国の国家転覆(体制転換)」の呼びかけをさらに拡大・強化しているのだ。
このままでは、米中対決は単なる経済・貿易・金融分野だけでなく、軍事・安全保障分野での「全面的な戦争」(サイバー戦争・宇宙戦争を含む)に突入しかねない状況となっている。
このような中国に対しての一切の妥協・譲歩を排除する米国の強硬姿勢は、近い将来において米中間での軍事的な攻撃・衝突を招きかねない危険性を秘めている。
それはまた、かつての米ソ冷戦時代と同じように、今後長期にわたって国際社会を強制的に分裂・二極化させる可能性が高く、到底容認することはできない。
こうしたトランプ陣営の余りにも前のめりな好戦的な姿勢に、悪しき「米国例外主義」と単なる反共主義というイデオロギー的対立・倒錯を超えた宗教的熱狂・憎悪に似た極めて危うい気配を感じているのは私だけではないのではないか。
また少し気がかりなのは、トランプ大統領の暗殺というもうひと一つのシナリオである。これまでの米国史を考えるならばあながちあり得ない事態とは言えないだろう (大原浩「暗殺率約10%! 米国大統領という危険な職業の実態を考える 」)。
トランプ大統領が支持者にワシントンに集まることを呼び掛けている1月6日まではいつ何が起きても不思議ではない状況となっている。というのは、トランプ陣営がその1月6日にこれまでに出されていない証拠開示と驚くべき秘密解除とを行うと宣言しているからである。
今後予測できない出来事が起きて、これまでの流れが一変するかもしれない。まさに嵐の前の不気味な静けさである。最近起きた米国政府関連機関へのサイバー攻撃(バイデン陣営はこれをロシアの仕業であることを強調したが、トランプ大統領はその可能性は低いと否定している)とテネシー州ナッシュビルでの爆発事件は、その不気味な前兆であろう。
1月6日以降、米大統領選挙の決着次第では、全米での大規模な暴動の発生、1807年の反叛乱法に基づく戒厳令の発令、軍事法廷(FISA)開廷による不正選挙関係者の断罪などが予想されている。こうした米国内での混乱・地殻変動は、新しい大統領の就任式が予定されている1月20日以降も続く可能性もある。
これまで見てきたように、今追い詰められているのは、トランプ陣営ではなくバイデン陣営であることだけは確かであろう。今後の「憲法と民主主義を守る戦い」の帰趨は、国防総省・軍部がほぼ一枚岩でトランプ大統領に忠誠を誓っているかが一つの重要なカギとなる。
この点で、国防総省が引き続きバイデン・チームへの移行手続きを停止中とのトランプ大統領との強い絆を裏付ける情報もある。
とするならば、最後の決着は、今回の大統領選挙で不正行為があったと考え、その真相究明を願っているという圧倒的多数の民衆のトランプ大統領への支持の強さいかんにかかっていることは間違いない。
そうした状況の中で、トランプ大統領は12月28日、「1月6日にワシントンDCで会おう。このチャンスを見逃すな。追って詳細を連絡する」とツイートで1月6日に予定されている抗議運動に参加するよう支持者に呼びかけている。
いずれにしても、わたしたちは毎日のように揺れ動く米国での緊迫した情勢(新たなテロの発生や内戦の勃発、中国やイランとの軍事衝突・戦争開始を含む)から当分の間は目が離せそうにない