コタキナバルに戻って、一か所だけ行ってみたいところがあった。
町の海沿いから対岸に見える水上集落だ。陸から見ると3か所に分かれて水上集落が
あるのがわかる。集落からボートで頻繁に人がやってくる。一応、魚市場の脇がボー
トの発着所になっているのを探しあて、適当に料金も聞かずに3人で乗り込んだ。
一目で外国人とばれたが、特に何も言われなかった。
あとで分かったことだけれど、本当は乗り込む前に降りる場所を伝えないといけない
ようだった。というのも、ここからのボートは家の前まで運んでくれるからだ。
私たちが乗ったボートは、次々にそれぞれの家の前で客を降ろしていった。最後の人が
降りる時、その人に「ここで降りて、集落を歩いてもいいですか?」と聞いてみた。
すると…
「ダメだ、ここはプライベートだから…」と、そのおじさんに言われてしまった。
この水上集落、遠くから見るとわからないが、近づくと貧しさが際立っているのがわかる。
ボロボロのトタン屋根でハンドメイドで作られたような作りも多く、窓すらない。
しかも集落と言っても家同士が通路で繋がっていないことも多く、それぞれが分離して一
つの集落を形成している感じだった。
昔、ブルネイで水上集落を訪ねたことがあった。そこは一見、質素に見えても家もしっかり
したつくりで、ほぼすべての家にエアコンは設置されていた。外から大型テレビなどの家電製品
も確認でき、そこには貧困を感じさせるようなものは全くなかった。
コタキナバルはブルネイから近く、国は違えど、なんとなく同じようなものだと思っていた。
けれど、ここは違った。どちらかというと、土地を持てない貧困層の集落という感じだった。
それでも、一応、学校やモスクもあった。
来てはいけないとこもある。その土地の人が拒むのなら、なおさらだ。
困ったのは、これからどうするかだ。ここで降りようにも降りれなくなってしまったからだ。
これで帰るのも味気ないし、一応、船頭さんに「このまま、チャーターしてこの3つの集落を船か
ら見たいんですが、いくらくらいですか?」と、聞いてみた。
すると、1000円くらいの金額を言われたので、それで承諾し回ってもらうことにした。
やはり、どの集落も同じだった。
中には家の中に家財道具すらほとんどない家もあった。また、スラムに近い様な雰囲気の場所も…。
降りなくて良かったと思った。危ない、危なくないは別として、そういう場所を覗き見るなんて
限りなく失礼なことだからだ。
そして、やや、重たい気分のまま町に戻った。
娘も終始、無言だった。
あとから感想を聞いてみると、「船は楽しかったけど、あとは、少し怖かった…」とのこと。
子供は子供で、事情がわからない中でもいろんなことを感じ取っている。自分が住む日本とは
別の国があって、そこでは、自分たちとは少し違う人たちが、様々な事情の中で暮らしている、
ということが、なんとなくわかってきたような感じだった。
また、疑問があると、なんでも聞いてくる。そういう反応が、とても興味深く、面白く感じた。
こうして、一週間の旅行が終わった。
次は、中国かインドにでも…。
町の海沿いから対岸に見える水上集落だ。陸から見ると3か所に分かれて水上集落が
あるのがわかる。集落からボートで頻繁に人がやってくる。一応、魚市場の脇がボー
トの発着所になっているのを探しあて、適当に料金も聞かずに3人で乗り込んだ。
一目で外国人とばれたが、特に何も言われなかった。
あとで分かったことだけれど、本当は乗り込む前に降りる場所を伝えないといけない
ようだった。というのも、ここからのボートは家の前まで運んでくれるからだ。
私たちが乗ったボートは、次々にそれぞれの家の前で客を降ろしていった。最後の人が
降りる時、その人に「ここで降りて、集落を歩いてもいいですか?」と聞いてみた。
すると…
「ダメだ、ここはプライベートだから…」と、そのおじさんに言われてしまった。
この水上集落、遠くから見るとわからないが、近づくと貧しさが際立っているのがわかる。
ボロボロのトタン屋根でハンドメイドで作られたような作りも多く、窓すらない。
しかも集落と言っても家同士が通路で繋がっていないことも多く、それぞれが分離して一
つの集落を形成している感じだった。
昔、ブルネイで水上集落を訪ねたことがあった。そこは一見、質素に見えても家もしっかり
したつくりで、ほぼすべての家にエアコンは設置されていた。外から大型テレビなどの家電製品
も確認でき、そこには貧困を感じさせるようなものは全くなかった。
コタキナバルはブルネイから近く、国は違えど、なんとなく同じようなものだと思っていた。
けれど、ここは違った。どちらかというと、土地を持てない貧困層の集落という感じだった。
それでも、一応、学校やモスクもあった。
来てはいけないとこもある。その土地の人が拒むのなら、なおさらだ。
困ったのは、これからどうするかだ。ここで降りようにも降りれなくなってしまったからだ。
これで帰るのも味気ないし、一応、船頭さんに「このまま、チャーターしてこの3つの集落を船か
ら見たいんですが、いくらくらいですか?」と、聞いてみた。
すると、1000円くらいの金額を言われたので、それで承諾し回ってもらうことにした。
やはり、どの集落も同じだった。
中には家の中に家財道具すらほとんどない家もあった。また、スラムに近い様な雰囲気の場所も…。
降りなくて良かったと思った。危ない、危なくないは別として、そういう場所を覗き見るなんて
限りなく失礼なことだからだ。
そして、やや、重たい気分のまま町に戻った。
娘も終始、無言だった。
あとから感想を聞いてみると、「船は楽しかったけど、あとは、少し怖かった…」とのこと。
子供は子供で、事情がわからない中でもいろんなことを感じ取っている。自分が住む日本とは
別の国があって、そこでは、自分たちとは少し違う人たちが、様々な事情の中で暮らしている、
ということが、なんとなくわかってきたような感じだった。
また、疑問があると、なんでも聞いてくる。そういう反応が、とても興味深く、面白く感じた。
こうして、一週間の旅行が終わった。
次は、中国かインドにでも…。